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愛聴盤(15)ショーソンのコンセール

エルネスト・ショーソンというフランスの作曲家がいます。彼の曲では、ヴァイオリンと管弦楽のための「詩曲」が最も有名です。

「ヴァイオリン、ピアノと弦楽四重奏のためのコンセール」(作品21)は、気品あふれる、素晴らしい音楽です。

タイトルの「コンセール」を「協奏曲」と訳すと、古典派以降の楽曲に慣れ親しんだ人に誤解を与えそうですが、六名の奏者による室内楽作品。四楽章からなる楽曲で、独特の世界観が全体を構成していて、曲として良くできているなあ、と思います。

YouTube動画で、実際の演奏会の動画を見ると、弦楽四重奏の四名が普通に着席した状態で、左端に独奏ヴァイオリンが立って演奏、彼らの後方にピアノが位置しているようです。

独奏ヴァイオリンと、弦楽四重奏の掛け合いが聴きどころなのですが、映像無しで鑑賞すると、独奏ヴァイオリンと弦楽四重奏の1stヴァイオリンの音が混濁してしまい、曲の魅力が伝わりづらくなります。

私の愛聴盤は、以下のもの。

ヴァイオリン:ピエール・アモワイヤル
ピアノ:パスカル・ロジェ
イザイ四重奏団
録音:1994年

演奏も録音も文句のつけようがありません。ハイフェッツの弟子アモワイヤルのヴァイオリンは、清らかな水の中を魚がい泳ぐように瑞々しく歌い上げます。彼の盟友ピアニストのロジェは、全体をしっかりと支えていています。

しかも、このCDは、ショーソンの師匠であるセザール・フランクのヴァイオリン・ソナタも収録されており、これがまた素晴らしい演奏です。

アモワイヤルの音が左手前で立奏、その後方中央にロジェのピアノとイザイ四重奏団が着席して演奏しているようです。

弦楽四重奏が休んでいる時はヴァイオリン・ソナタのようであり、独創ヴァイオリンが休んでいる時はピアノ五重奏曲のようです。こうした変化を楽しめる面白さがあります。

音楽の性格は、フォーレよりもフランス的かもしれません。センスに溢れています。

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