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「なんとなく」「無意識」の差別にどう抵抗するか|GoodMorningゼミ #2 『GO』

こんにちは、GoodMorningの齊藤です🙋
今回は社内の読書会、「GoodMorningゼミ」の第二回の様子をお届けします!
GoodMorningは、メンバーそれぞれが社会課題に関心を持っているチームですが、それぞれ専門領域や、興味のある分野は少しずつ異なります。
様々な視点から一つのテーマについて対話することで、社会課題への学びのみならず、お互いについても深めていく時間になれば、との思いで月一回、読書会を開催しています。

第一回の様子はこちらです👇

課題図書(映画)について

第二回は『GO』という作品をテーマに実施しました。

『GO』は、朝鮮籍から韓国籍に変えて日本の高校に進学した杉原が、差別や偏見の中でもがきながら成長していく姿を描いた青春作品です。
自身の経験を元に書かれた金城一紀さんの原作を、2001年に映画化した作品で、国内の映画賞を数多く受賞しています。

予告編はこちら👇

本編中で何度も強調されるのが「これは恋愛の映画だ」ということ。
今回の読書会では、身近にある「無意識」の差別について、そして「恋愛」だからこそ起こる差別や偏見の複雑な問題について話しました。

その様子を一部お届けします。
⚠️一部シナリオやセリフに触れる箇所がありますのでご注意ください⚠

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差別感情の複雑な背景

劇中では、主人公の杉原と、パーティーで出会った桜井の恋愛模様が描かれています。最初は順調に進んでいく二人の関係ですが、杉原が「在日」であることを告げると、桜井は杉原を拒否してしまいます。そこで、なぜ拒否するのか尋ねられた桜井は、「親が言っているから」「頭ではわかっているけど、怖い」と口にします。

この場面では、「差別はいけない」とわかっていても、生まれ育ってきた背景、家庭での教育などの影響から差別感情を持ってしまうケースが描かれています。人種や国籍など、異なる背景をもつ人々と交流する中で、無意識な思い込みや、「なんとなく怖い」という理由で差別的な感情が生まれてしまう状況に、覚えがあると語ってくれた人もいました。「自分が同じ状況にいたら、どんな反応をしていただろうか」と考えながら、この場面を見ていたメンバーが多かったようです。

このような無意識の差別を抑えていくためには、自分の言動が誰かに対する偏見を助長していないか、また差別的になっていないか想像する必要がある、という意見が上がりました。

また、プライベートな場面で起こる差別や偏見の複雑さについても議論が白熱しました。

『GO』は20年ほど前の映画ですが、国籍を理由に交際・結婚を反対されるケースは未だに起こっています。実際に、身近な友人がこのような差別に直面していた、と語るメンバーもいました。

特に、出自を理由に結婚や交際を反対してしまう背景には、家族を大切に思うからこそ心配する気持ちなどもあり、その気持ち自体は否定できるものではありません。しかし、家族が大切だからという理由で、差別的な発言を黙認してよいわけではないはずです。

しかし、近しい人であるほど差別的な言動を指摘しにくく、そのまま受け入れてしまう場合があるという指摘もありました。また、結婚などのプライベートな問題において、第三者が介入することもなかなか難しいのが現状です。このように、結婚など、プライベートで、第三者の介入がしづらいところで差別が発生している場合が多いのではないか、という意見も上がりました。

「無意識」的な差別的発言を無くしていくためには、それがまず「差別」であるということに気づく必要があります。身近な人が差別的な言動をしていた場合でも、問題のある発言についてはしっかりと指摘していく姿勢を持つことが大切なのだと思いました。

「持てる者」であるということ

また、日常的な会話の中で見えてくる、「在日」である杉原と、「日本人」である桜井の対比が印象的だった、という声が多く上がりました。例えば、桜井が杉原に「田舎はどこか」と聞く場面があります。杉原は少しの沈黙のあと「ない」と答える反面、桜井は躊躇なく両親の出身地について話しはじめます。これも彼女が出自で偏見を受けることがないからこそ、できたことなのかもしれません。

私達の日常生活の中にも、このような場面はあるのではないでしょうか。
例えば、ついつい「彼女/彼氏いるの?」などと聞いてしまうことも、根底には「相手が異性愛者である」「誰もが性的指向や恋愛的指向を持っている」という思い込みがあります。
「私も無意識に乱暴な質問をしてしまっていたかもしれない」と反省するメンバーもいました。自分にとっては「普通」でも、相手にとってはそうではないかもしれない、という想像力をもつ重要性に改めて気付かされました。

また、問題に気づかなくてすむということがすでに大きな特権である、という意見もありました。問題の当事者は、問題について知り、声を上げざるを得ません。例えば、沖縄の基地問題などは、県外の人の関心の低さが問題になっています。知らなくても特に支障がないという時点で、すでに「持てる者」であることを認識する必要があると感じた、と語るメンバーもいました。

「無意識」からくる差別的発言を無くしていくためには、今の社会において、自分がどのような特権をもっているのか認識し、言動を注意深く振り返っていくことも必要だと感じました。

おわりに

今月もGoodMorningゼミの様子をお届けしました。
差別や偏見は、とても大きく、根深い問題ではありますが、まずは自分自身や身の回りから変えていくことが重要なのではないでしょうか。
みなさまも『GO』を見て、日本、そして世界各国で起こっている差別の問題、そして自分自身の身の回りことについて、考える時間を持ってみてくださいね。

ではでは!👋

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