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白いしるし


西加奈子著


宇多田ヒカルの「ともだち」が
頭にずっと流れてた

芸術に近いことを例え職業じゃなくても
手から生みだしてる人って
色んなことにのめり込みがちなイメージがある


恋愛もきっとそう


ただの恋愛の話で
でも只事じゃない恋愛の話

「この人に深く飲み込まれちゃいけない」
「この人は危険」
っていう信号って
女の人は少なからず受け取ったことがあると思う


現代セックスフレンド、所謂セフレと呼ばれる男に
ずぶずぶハマっていく女の子は
多分そこここにいる

それと同じで
いい大人になったら
自分がどう出ても相手が平行線であることは
なんとなく出会った時から分かっちゃうし
故にその相手を土俵に立たせることは
自分にとっては不利なことは分かってて
でも女の子たちは危険な橋を渡りたがる


危険な男の匂いってなんであんなにも強いのかね

「危険な匂い」がその男の魅力なら
その魅力を自分のものにする女は
一体どんな魔力を持つんだろうって考えちゃうよね



後半の西加奈子のスピードに唖然として
これの備忘録は書けないなと思っちゃった


そして何より芸術はどうあるべきなのか
芸術を評価する立場の人間はどうあるべきなのかを
言葉でここまでしっかり書けた西加奈子は
一体何者なのだろうか


「描くことかって、究極のエゴです。」
「ほとんど吐き出すときもある。
本当に、一方的な作業なんです。
でもそれが、作品として完成して、
人の目に触れたときに、
見る人のエゴによって、こちらのエゴを
相殺してくれたりする。」
「作品は、作品を自分で仕上げた時点で完成しているんです。
人に見られる時点で、それは『成功』なんやと思います。
嫌いだと思われても、一目見られた後一生誰にも見られなくても、
自分以外の誰かが、自分の作品を観た、という時点で、
その作品は成功しているんやと思います。」


本と重ねてるのかなあ

それとも所謂芸術家というやつに
取材でもしたのかなあ


そうでもないとこの文章は書けないし
なんか全然泣かせるところじゃないだろうに
ぽろっと涙が出たこの力は
一体どこから来たんだろうね

西加奈子の話は確か前にも一冊読んだことがあって
「さくら」だったかな、忘れちゃったんだけど
普遍的な書き方に見えて
強くて壮大で勇ましい印象を受ける


いつかふと気になって西加奈子、でググってみたら
凛とした、でもどこか柔らかい若い女性で
すとんって音がするくらい腑に落ちたのを
未だに覚えてる

この人の話はみんな背景に青空があって
雲一つない、気がする



上手く書けんなあ

私はこんな気持ちすら上手く書けんのに
みんな本書く人ってよう書くよなあ


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