誰のことも傷つけずに生きていくことなんて、 本当は不可能なんだと思う。 人に出会えば出会う分だけ考え方もそれぞれで、 それらの欲望を全て満たすことなんてまずできない。 例え仮にできたとしても、 それは自分自身を傷つけていることになるんだと思ってやまない。 他人を守りすぎて自分を傷つけていることに気が付いていない人は 多分だけど想像以上に多い。 自己肯定感の低さもあながち無関係なものじゃない。 幸せとはとかどうあるべきとか何が普通とか生きる意味とか、 そういうものにがんじ
先日、といっても半年ほど前に結婚式をした。 友人60名、親族20名ほどのまあまあな規模のやつ。 結婚式というのは特殊なもので、 あんなウン百万という金額を動かすにも関わらず 一年以上前から日程を押さえたにも関わらず 三か月前程度からの数回の打ち合わせで ふわっと全てが決まっていってしまう。 さらに恐ろしいのは 地に足をつける間もなく ふわっと5秒くらいで終わってしまう当日だということは言うまでもない。 その中で私が旦那さんと二人で 打ち合わせが始まる前から楽しみに ちょ
昔から何者かにならなければ、 という焦燥感も感覚も特になかった。 歴史に名を残すとか有名になりたいとか そういう類の憧れも全くなく生きてきた。 所謂自称【成功者】のような人間が youtubeみたいなコンテンツで 「お前はこのままでいいのか?このまま死んで良いのか?」 「今動かなかったら一生後悔するぞ!」 みたいな勢いでまくし立てているのを冷めた目で見ていた。 結局人生に成功も失敗もなくて やりたいと思ったことをある程度その場で行動に移せる自由さと やりたいと思ったこと
辻仁成著。 なんとも儚いというか、切ないと言うか、あるようでなさそうな小説。 でも誰しも分かるなあとつい思ってしまう小説。 主人公は水アレルギーのごく普通のOLで、浄水器を開発する男と交際している。 彼が昔交際していたのが主人公の友人で、彼女は事故で死んでしまう。勿論彼女が死んでから交際に発展する訳なんだけども、主人公はその死んだ彼女の過去から逃れることができない。彼にどんなに大切に扱われても、どんなに優しくされても、『彼女にも同じことをしていたのではないのか』『彼女もこ
恋愛は人をつまらなくする と常々思ってた。口には出さなかったけど。 でもこの年になってそれ以上に結婚が人に及ぼす影響を肌で感じる。 自分もそうなのかと思って他人に目を凝らすと、確かに自由に飛び回っていた生活に幅のあったはずの人間が静かに止まり木で羽を休めているようにしか見えない。なんなら羽すら切り落としてしまったのでは?という程に。 両親兄弟はいても「自分」というテリトリーに誰も入れる必要がなかったはずなのに、結婚はそうもいかない。血の繋がっていない他人を受け入れたこと
御馴染の山崎ナオコーラ著。 もう何冊目になるんだろうかという感じだけれども、大好きな作家さんの一人。 今回の本は、恋愛小説でもなければ社会小説でもなく、かといってなんでもないほっこり日常系でもない、メッセージ性の詰まった本。 シオちゃんこと栞が主人公。気が強くて芯のある女の子。紙川さんという大学の先輩と所謂恋人同士にはなるけれど、成長するに従って「好きだという科白は一人の異性にしか使ってはいけない」「男に養ってもらう」「社会の中でうまくやっていく」「現代社会に合わせて人
白石一文著。 前回同様、初めましての作家さん。この世は本当に数多くの才能で満ちているな…。白石さんも個人的にはかなりハマった。 なんでもない一サラリーマンの日常。サラリーマンといってもかなり大手企業の役員職の男、芹澤在実(せりざわ ありのり)。結構歳のいっている男なのかと思いきや、恐らく仕事の腕を買われて若くして昇進したクチで、周囲の人間の発言を読むとこのまま出世すれば社長職も範疇内という男。 そんなデキる男のバリバリキャリア小説、という訳でもない。 冒頭幼くして死んだ
野中柊著。 本とは関係ないけど、元々は本の備忘録と自分自身の思ったこと言いたいことの書き殴りは違うnoteに書いてたのよね。 でも、書いていくうちになんだかんだ本の備忘録を書いていても結局は自分の思考に収束するし、だったら統一してしまえとこの場所に一本化した訳。 その化学反応でか、自分の思考を書き連ねるnoteのタイトルを考えるのが楽しくなってしまった。小さい頃から作文やら図画工作やら何かしら「タイトル」が必要なものには何故かタイトルだけやけに気合いを入れていた記憶がある
今日も死にたい人間がどこかに何人もいて、背負いきれない気持ちを抱えたまま愕然としているんだろうな。 例外なく画面の向こうに輝いて見える芸能人ですらそう思うんだから、そうでない人間が思わない訳がないよね。 私の周りには「死にたい」と口にする人間が過去に数人いて、そのうち大半は疎遠になってしまったからその後は知らない。勿論今も関係が続いていて、尚且つ今は幸せにやっている例もある。 なんで「死にたい」と言うのか、そもそも本当に命を絶ちたいと思っているのか、それとも他人の気を引き
別にすゝめではない。 でもちょいと思ったことがある。 ここ最近はバタバタしていて、頭の中で疑問を投げかけたり文章を組み立てたり誰かに問うたりする余裕がなかったんだけれども、漸く少し日常に馴染んできて時間の使い方が上手くなった。いや、まだそうでもないかも。 前々から言っている通り(言ってなかったっけ)、頭で何も考えずにただ流れるように息をする毎日を過ごしているとなんだか生きている心地がしないタイプの人間なので、常にこういうところに投げかけるテーマを探すつもりで少々のことにも引
「電車の中で泣いている子供の親はみんな頭が悪そうな顔をしている」 「子連れであの店に来ないで欲しい」 なんていう旨のツイートを見た。 あんまり細かく書いてしまうと元のツイートが見つかってしまうと思うので「あの店」とだけ書いておくけど、そんなに敷居の高い店でもなければ高級レストランでもない。上品とは言えない女子大生だって利用していそうな店。だったらなんで子連れだけが弾き出されるのか。なんで子供が泣いただけで育て方どころか親の知性まで疑われてしまうのか。 なんでこんな世の中
みたいな質問何度かされたことあるんだけど、この質問が世の中にこれだけ飛び交っているということはそれだけ成立しない派閥が存在するということなんだろうね。 そして私みたいな少しばかり他人の相談に乗ることが多いだけの一般人がこの質問に何度かぶち当たったことがあるということは、それだけこの問題に悩んでいる人が多いことが伺える。 話は少し脱線して、現代私の世代かもしくは少し下くらいの世代の人達は「セフレ」という三文字を聞けば良し悪しは別としても大体どんなものなのか説明するのは容易い
町田康著。 前にも町田康の本を貸してくれた会社の人が有無を言わさず私のデスクに置いて行って貸してくれた本。その人は昔バンドでベースを弾いてたらしいんだけど、この著者の町田康はどうやらミュージシャンだったようで。確かにWikipedia見るとミュージシャンであり役者であり小説家だそう。それでか分からんけどこの人をすごく推してくる。 この本は小説ではなくて質問箱に寄せられた質問に町田康が答えていく形式のとっても読みやすい書籍。それも小説家にありがちな抽象的な答え方をしたり綺麗
ないものを数えるよりもあるものを数えなさい。 と言ったのは誰だったか。英語だったっけか。 Count what you have now, don't count what you don't have だったか。違ったらごめんなさい。 ググったら竹内まりやがそんな感じの歌を歌ってるね。私はそれで知ったんだったか。忘れたけど。 特に今はコロナも長引いてストレスが発散できないのか、電車に乗ってもスーパーに買い物に行っても苛々してるような顔をした人に遭遇する。気持ちも痛いほ
井上荒野著。 大嫌いな男と一緒にいることと、最愛の男に旅立たれたことはどっちが不憫なのか。考えたこともなかった。 この本ではどちらの境遇の女も「自分の方がかわいそうに決まっている」と思い込んでいる。 かつては好き同士で夫婦になったはずなのに決定的なきっかけがあった訳でもなく夫、光一を大嫌いになってしまった能海まりと、幸せに暮らしていたのに最愛の夫、俊夫を病気で突然亡くした園田実日子のエピソードが順番に書かれている本。なんだかどちらの話を読んでいても辛くて、些細な人生の歯
綿矢りさ著。 誰しも頭の中で他の誰かと会話しているんじゃなかろうか。私だけだったらちょっと怖い。いや、実は私だけなのかもしれない。でも少なくとも、この本を書いた綿矢りささんは私の気持ちを分かってくれるからこういう本を書けたのだろうと信じたい。 脂ののったいい歳のOLがてんぷらの食品サンプルを作るシーンから始まる。なんでもない独身女の日常が進んでいくのかと思いきや、その出来上がった食品サンプルの家での置き場についてさらっと新たな登場人物、「A」が出てくる。そのAこそ先述した