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【社内コミュニケーション改善事例】経営統合後の交流不足から連携強化へ。若手社員が会社を動かした「若者円卓会議」とは!?

アワードの受賞・ノミネート取り組みに限らず、全国のみなさんが取り組むさまざまなGOOD ACTIONを取材しご紹介していきます。


【企業・団体名】

セブンセンスグループ

【取り組みの概要】

経営統合のメリットは、それぞれのグループの独立性を維持しながら経営効率化が図れることです。しかし、独立性があるがゆえにグループ同士のコミュニケーションがうまくいかないというデメリットもあります。

2019年、静岡と東京でそれぞれ会計士、税理士事務所を経営していた2つのグループが統合して生まれた「セブンセンスグループ」もそのような問題に直面しました。この状況をどうにかすべく立ち上がったのは、20〜30代の若手社員たち。彼らは「セブンセンスグループの10年後を創る」を目標に掲げ、交流の機会創出を目指す「若者円卓会議」を始動しました。

若者円卓会議の取り組みは、チャレンジコンテスト、ランチ交流会、SNS・広報という3つの柱で構成されています。結果として、若手社員から積極的に業務改善の案が出てくるようになったほか、拠点間の交流が広がりました。

GOOD ACTION note編集部は、若者円卓会議の発起人であり、リーダーを務める二神悟さん、推進メンバーとして活動する山岸博子さんにインタビューを行いました。

▲本プロジェクトの発起人でありリーダーの二神さん

●せっかく一緒になったのに、繋がりがないのはもったいない!

ーー二神さんが「若者円卓会議」を始めようと思ったのはなぜでしょうか?

経営統合が大きな理由です。弊社は2019年11月、東京・千葉の東京税経センターグループと静岡のアイクスグループが経営統合をしたことで生まれました。会計事務所主体の経営コンサルタントを行なっています。

しかし、統合後半年ほど経っても両グループ間で社員同士のやりとりが少なく、「せっかく一緒になったのに、寂しい。もっと繋がりを持つことで事業にも良い影響があるのではないか」と思うようになったんです。

その後は構想を練ったり、上司への提案や推進メンバーの募集を行ったりなどして、2021年7月に社内で正式に若者円卓会議が発足しました。同年12月には、(※)3つの活動チームができました。私たちの活動方針は、「夢・若さ・ユーモア」です。ユーモアを入れたのは、社名のセブンセンスが第7感、ユーモアであることに由来しています。

【TEAM KAIZEN】
「Seventh Senseチャレンジコンテスト」を運営。日常業務の改善や新たな企画案をグループ全体で募集。採択された提案はグループのバックアップのもと、実行。

【TEAMグループ間交流
主に「ランチ交流会」を運営。全国の拠点をオンラインで生中継して、各拠点の社員をゲストに招いている。インタビュー等、コミュニケーションの場をつくる。

 【TEAM SNS・広報】 
社内外向けに広報を担当。noteや広報誌でグループの諸活動を紹介。

ーー取り組み名は「若者円卓会議」ですが、若者に限定したのはなぜですか?
若者が未来を創ってくれるのではないかという期待からです。
未来、10年後を担う若者が働き続けたいと思うことができる、そんなグループ、プロジェクトにしていきたいと考えています。また、同年代の方が声をかけやすかったこともあります。ただ、正直にいうと「若者」の定義は難しいですね。現在は20〜30代をターゲットにしていますが、実年齢を問わず「気持ちが若い」と思えるなら「若者」と捉えています。

ーー推進にあたり、難しかったことはありますか?反対意見はなかったのでしょうか?

若手社員ゆえに経験が不足しており、どうプロジェクトを軌道に乗せればよいかの知見があまりなかったことです。メンバーと相談をしながら進めていきました。上司や役員から強い反対意見はありませんでしたが、「そんな活動に充てる時間はあるのか?」と仕事への影響を心配されたことはありました。

ーー現在は3つの活動チームを作り、3つの柱を決めているとのことですが、二神さんが施策を考える際、どのようなことを重視したのでしょうか?

自分が興味あること、やりたいことを軸にしてアイデアを出しました。自分が楽しいと思えるほうがいいじゃないですか?

とはいえ、自分目線だけでなく、日頃の雑談で感じた「社員が興味を持ちそうだな」と思うことも参考にして施策を導き出しました。僕はアイデアを出すことがメインで、ここにいる山岸のようなメンバーが具現化に向けて動いてくれて助かりました。

●社歴が浅い社員が、アイデアを全社に発信

ーー若者円卓会議の推進メンバーの人数や役割分担を教えてください。

メンバーは約10人です。私がリーダーを務め、3つの施策それぞれにリーダーがいます。メンバーとのやりとりは社内のチャットツールを使っていて、アイデアを書き込んだり、それに意見を言い合ったりしています。意思決定のスピード感は非常に速いと思っています。

ーー施策の効果を感じたエピソードを教えてください。

チャレンジコンテストを経て、若手社員が日常業務でも先輩や上司に提案をしやすくなったと感じます。通常であれば社歴が浅い社員がアイデアを全社に発表するハードルは高いものの、「社内イベント」という理由をつけることで、自分の考えを伝えやすい環境を作りました。コンテストでの経験が自信に繋がったのもあると思います。イベントを通じて、東京、鳥取、沖縄など全国にある10拠点間での交流が生まれました。

2か月に一度、全国の拠点をビデオ通話で繋ぐランチ交流会も社員同士の関係に良い変化をもたらしました。ベテラン社員や何かに特化している人、グループで注目されている人をゲストに迎え、司会者が質問をする、というプログラムです。生放送ならではの臨場感が好評です。社員を知ってもらう場を設けることで、「この人が得意なことはこれなのか」「これに困ったら、この人に相談してみよう」と思ってもらえるようになりました。時には新入社員をゲストに迎えたりもしています。

ーーSNS・広報の取り組みはどのようなものなのでしょうか?

経営統合後、以前にはあった広報を担う部署が社内にはまだなかったことから、手を挙げ、若者円卓会議で広報を担当できるようになりました。研修や若者円卓会議といった社内の取り組みの様子を、主にnoteを使って発信しています。役員クラスと新入社員がインタビュー形式で対談も行なっています。

●新入社員の提案が、全社の取り組みとして採択された

ーー2023年のチャレンジコンテストでは、「オフィスで野菜を摂ろう」が採択されたそうですね。

山岸さん:静岡オフィスで試験的に導入しており、オフィスの入り口に小型の冷蔵庫を設置しています。冷蔵庫の中には、サラダやフルーツ、惣菜などの小分けパックが入っており、キャッシュレス決済で商品を購入できます。実はこのアイデアは新入社員2人からのアイデアでした。彼らが業者さんとメニューや納品の頻度について調整をしています。

▲人気でお昼後にはもうだいぶ品薄状態に!

ーー新入社員からの提案とは、すごいですね!ところで、なぜ野菜なのでしょうか?

山岸さん:静岡を拠点としていたグループが健康経営に力を入れていたのもあり、何をするにも健康あってなので、体を労ろうとの気持ちからこの取り組みが生まれました。また、静岡オフィスの近くにはコンビニがないため、買い物の不便さを解消したいとの狙いもあります。

●若手社員の「交流の場からチャレンジの場へ」

▲若者円卓会議を支えている山岸さん

ーーここからは山岸さんをメインにお伺いしたいのですが、若者円卓会議のメンバーに加入しようと思った理由を教えてください。

山岸さん:人の活動を応援したい気持ちからです。会計事務所に入ったのも、経営者をサポートしたいと思ったからです。挑戦している人のために、自分ができることをしたいと思っています。

ーー各施策の成果の発表やメンバー募集などはどうされているのでしょうか?

山岸さん:月に一度の全体会議で活動内容を報告しています。会議での持ち時間は5〜7分で、ランチ交流会の案内、チャレンジコンテストで採択された案のその後、SNS記事の紹介など、月間の活動内容、来月の見通しを報告しています。

ーー2021年7月の発足から約2年半が経ちました。現在、お二人が感じている課題はありますか?

二神さん:「頑張っているね」と応援してくれる人は多いものの、「一緒にやりたい」と手を挙げる人は少ないのが現状です。現メンバーは静岡のグループ出身者が多いため、東京のグループ側の社員にも参加して欲しいです。

山岸さん:繁忙期が長いという業界の特徴もあり、推進メンバーへの参加のハードルが高いと感じている社員も多いです。毎年2月〜翌年5月あたりまでは法人の決算業務で忙しい時期となります。そうなると、どうしても繁忙期には若者円卓会議の取り組みが止まってしまいます。改善の視点で考えると、活動を止めてはいけないのですが、なかなかうまくいっていません。業界の特性に合わせ、もっと良いやり方がないかを模索中です。

ーー最後に、今後の展望をお聞かせください。

二神さん:若手社員と話す中で、彼らが「挑戦したい」「主体的に動きたい」と思っていることを知りました。若者円卓会議が、そんな若手社員の「交流の場からチャレンジの場」の役割を果たしてきたと感じます。

チャレンジの場となってきた、コンテスト、ランチ交流会、SNS・広報の3つの柱を継続しながら、各拠点との繋がりを深め、ビジネスを生みたいと思っています。全国に10拠点あり、各拠点にはそれぞれの良さがあります。交流を通じて、仕事に結びつけるのが私の目標です。そのためには、若手だけではなく、経験豊富な中堅社員も巻き込んでいきたいです。

あと、若者円卓会議と似たような取り組みを行なっている企業とコラボするのも面白いかもしれないですね。業種は関係なしに、そうした企業との接点を持ってみたい。

山岸さん:これからも、何事も否定せず、受け入れることを大切にしていきたいと思っております。二神リーダーはたまに突拍子もないことを言うのですが、やってみたら実際は非常に楽しかったという経験が多々あります。「とりあえず、やってみる」ということを今後も大事にしていきたいですね。

若手が有志で立ち上がり取り組んでいる、職場のコミュニケーション改善事例をご紹介しました。

みなさまが職場で新たなACTIONを起こすきっかけやヒントになると嬉しいです。

インタビューにご協力いただいた皆様、ありがとうございました!次回の更新もお楽しみに。

WRITING:薗部 雄一 
※本ページの情報は2023年11月時点の情報です


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