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〈本の姫〉は謳う2

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  • 〈本の姫〉は謳う2

  • 多崎礼

  • 講談社



前置き

タイトルに2とあるように本書はシリーズ物である。ジャンルはファンタジー小説に分類されると思う。

本シリーズとの出会いは、作者である、多崎礼さんの別作品「レーエンデ国物語」シリーズを読み、どハマりしたたことがきっかけ。

ちなみにレーエンデ国物語のシリーズは全5巻の予定で現在(2024年3月時点)で第3巻まで出版されている。2024年本屋大賞作品にノミネートされており、話題も呼んでいるため、手にとってみてはいかが?

物語の主題が「革命」だけど、主題とは裏腹に、美しく、気高く、繊細な物語が広がっており、夢中になって読んだ。レーエンデに入国してから出国するまでに時間がかかってしまった笑。

文量はそれなりにあるけど、サラサラ読めてしまうので、普段あまり読書をたくさんしない人でも十分楽しめる作品だと思う。

さて、レーエンデ国物語の話は一旦置いておいて。

本書(〈本の姫〉は謳う)のシリーズは2007年10月に中央公論新社C★NOVELSから刊行された同タイトルの作品を新装版として加筆・修正したものとのことで、新刊とばかり思っていたが、以前刊行されていたものだった。

レーエンデ国物語がが刊行され話題を呼び、さらに、2024年本屋大賞作品にノミネートされた影響なのか、新装版が出てきてくれたことに感謝。

概要

第1巻について、まだ記事を書いてないから、少しだけあらすじを書こうと思う。

この物語は自分の記憶ではない記憶を持つ少年アンガスと本に宿る妖精(?)が共に旅をして、邪悪な力を持つ文字(スペル)を回収する旅を描いた物語。文字(スペル)が存在すると言われている遺跡を巡る中で、仲間(セラ、アンガス、アーク)ができ、共に旅をしていく。

また、主人公以外におそらく、アンガスの記憶の主だと思われる人物の物語も同時に展開される形をとっている。

あまり詳細をここで語ってしまうと、ネタバレを踏んでしまうかもしれないからこの辺で。

感想

レーエンデの時もそうだったけど、この物語でも主人公は宿命を背負わされて、なかなかに辛いものがある。希望が見えてきたと思ったら、押し潰されたり。それでも、主人公は自分の信念のために立ち上がるところを見ると、少年漫画のような何か映画を見ている気分になってくる。

また、旅の途中で仲間もできる。主人公自身はあまり仲間に対して執着はなく、どこか一匹狼のような感じがするが、周りが放っておかない。アンガスはお世話してあげたくなる人物なのかもしれない。

王道だけど、困っている時に助け合い、お互いを必要としている感じが読んでいてほっこりする。基本的に暗い話ばベースとなっているので、そういったほっこりする話はバランスが取れて、気分が落ち込みすぎず読むことができる。

冒頭でも書いたけど、悲惨な辛いシーンもあれば、情景描写がとても繊細かつ美しい。そして、ありありとイメージできるところが作者である多崎礼さんの素晴らしい点だと思う。

このような壮大な物語に一度浸かってしまうと、なかなか抜け出せなくて困るものだ。

私は、事実に基づいて考えたことを、伝えるということでも苦労するのに、完全に自分で考えた世界観を伝えるのって、本当にすごいと思います!ハリーポッターの作者J・Kローリングさんも然り。壮大な世界観と伏線回収は見事で、もう才能なんでしょうね。

全く状況は違うけど、自分も辛い状況にある時、あのキャラクターだったらもっと頑張ってるだろうな。あのキャラクターはさっさと諦めるだろうな。そう考えながら、自分だったらどのキャラクターになりたいか。そのためには今の辛い状況をどう乗り越えるかまで考えちゃう時があるくらい、本作品のキャラクターの魅力がある。ある意味で心の支えになれる物語のような気がしている。

特に主人公は、物語の終盤では自分の目的に対して熱い一面を持つ一方で、どこか冷静で、自分自身が幸せになることをどこか諦めてしまったような物悲しい雰囲気もあって…。今後続編が2巻続くらしいので、見守っていきたいと思う。

今はまだ物語の中盤なので、今後も事件や辛いこと多くある段階だと思うけど、最後は幸せなエンディングになって欲しいなあなんて思いながら続編待ちたい。

ちなみに、連続刊行なので、3巻は2024年3月、4巻は同年4月に発売されるらしい。

それではまた。


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