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<本の姫>は謳う3

毎月刊行される、多崎礼さんのファンタジー小説「<本の姫>は謳う」シリーズ3作目。

前回の感想記事はこちらから↓

前回は、主人公アンガスの過去編がメインのお話だった。

今作から最終章に入り、物語が大きく進む。また、今までの旅路でアンガスやその一行が助けてきた人々が、今度はアンガスと共に立ち向かうべく、協力するシーンが数多くあって、胸が熱くなる展開だったと思う。

第1巻の一番最初のシーンで出会ったセラは登場時、声が出せない少女でだったけど、第2巻終盤、アンガスが危機に陥った際に声が復活。

話せるようになってから、セラがアンガスに好意を寄せていることが明らかになり、アピールはするものの、鈍感なのか意図的なのかはっきりしなかったアンガスの気持ちも徐々に明らかになってきて、二人には幸せになってほしいと願うばかり。

今更なんだけど、まさかのですわ口調に、拍子抜けしちゃいましたね。

敵対するレッドとの対決の行方がどうなるのか、スペルを回収し、世界の平和を取り戻すことができるのか。スペルを回収した後の世界で、アンガスはどう生きるのか。そもそも、生きていくことを選択するのか。

また、本作は、2つの物語が同時に進んでいる。ソリディアス大陸でスペルを回収するアンガスと、かつて第13聖域で天使(だった)アザゼルの物語。
序盤はアンガスが現在の話で、アザゼルは過去の話なのかと思っていたが、どうもそう単純な話ではないらしい。

アンガスとアザゼルの記憶が互いに交差し始め、アンガスの方は、度々過去の幻影を見るようになっている。

この伏線、交差が今後どのように描かれていくのか楽しみ。

気になることが多くて、4月の発売日が待ち遠しい。

なにかとシリアスの場面が多い作品だけど、アンガスと仲間とのやりとり、セラとの関係など、物語を明るく、楽しげにしてくれる場面があるので、個人的にはかなり好きな部類の小説。

なんといっても、ファンタジー小説ならではの美しい世界の描写があって、装丁にも現れているため、表紙を眺めているだけでも楽しいと思う。

それでは、また!

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