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ちびたの本棚 読書記録 「ポワロの事件簿2」アガサ・クリスティ

ポアロシリーズの「チョコレートの箱」を探したら、この短編集に収められていた。今のところドラマ版ではこのストーリーが一番のお気に入りだ。

ベルギーの警察官時代、ある事件の真相を調査してほしいと依頼してきたビルジニー。その品のある美しさと、彼女への気持ちの全てをこめたポアロさんの眼差しが素晴らしいのだ。それにポアロさんがいつも襟に付けているピンブローチの逸話も実に切ない。

原作の方はどうかというと、ドラマ版とは違ってロマンス的要素はなかった!
ぜんぜん、まったくない😅
でも、それはそれ、これはこれ。ドラマも小説も両方を楽しみたい。

また、この短編集の中の「料理女を探せ」は、ミステリーの基本を押さえた作品だと思う。
ありふれた日常に起こった使用人の失踪。やり過ごしてしまうようなこの出来事が、思わぬ大事件につながっていく。

この作品では、当時のイギリスの中流家庭の様子が詳細に描かれている。主人と使用人との関係、使用人の生活やその待遇など、どの点も上流階級の場合とはスケールが違うが、その分リアルに感じられる。

この短編集でのポアロさんとヘイスティングスの雰囲気は、シャーロックとワトソンに似ている。訳者による違いもあるかもしれないが、二人の会話は若々しくてテンポも良く、スルスルと読めてしまう♪


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