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ちびたの本棚 読書記録「ブラック・ヴィーナス 天才株トレーダー・ニ礼茜」城山真一

プラチナブロンドのショートボブ。黒ずくめのスラリとした姿は完璧なフィギュアのようだ。ニ礼茜はそのいでたちから黒女神と呼ばれている。

城山真一さんの作品を最初に読んだのは「看守シリーズ」だ。そのプロットの精巧さは、まるで熟練の職人のようで、読み終わった後もその余韻を反芻した。この「ブラック・ヴィーナス」は彼のデビュー作品と知って期待が高まった。

もちろんこの作品もしっかりとした構成だ。主人公の茜の外見が派手なこともあり、看守シリーズよりはエンターテインメント系で取っつきやすいかなと思う。

感情をあまり表に出さないために一見冷酷そうに見える茜。だが依頼主にやみくもに難易度が高い条件を提示しているわけではない。彼らの心の内をはかり、その真剣さを見きわめようとしているのだ。

茜は勘やヒラメキだけで億単位の金を操るわけではなく、株取引で利益を出すために常に情報をインプットし活用している。また長時間に及ぶ取引に耐えられるように趣味でもある筋トレも欠かさない。うーん、とにかくカッコいい。些細なことではぶれない意志の強さにほれぼれする。

相棒にレクチャーする茜の説明はとても分かりやすく、株取引に詳しくなくても問題なく読み進むことができる。

続編の「仕掛ける」もさっそく読みたくなった。




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