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ちびたの本棚 読者記録「蛸足ノート」穂村弘

ベッドでパンを食べるのが好き♡というエピソードが有名な歌人 穂村弘さんのエッセイ集だ。現在も読売新聞に連載中だ。本の方は見開きのページでひとつの話となっていて少しの時間でも読みやすい。

穂村さんの日常は短歌の世界そのものだ。彼の目を通して見た日常の世界は、いつも新鮮な驚きに満ちている。
物事に対する彼のその素直な感情は小学生のようで、そんなに慌てたりうろたえたりしなくても大丈夫だよ、と思わず背中をポンポンしたくなる。

穂村さんは、自分は時々パラレルワールドにいるようだと書いている。他の人とは違う世界を見ているという一種の疎外感は、別の言い方をすれば確固たる自分の世界を持っているということだろう。ごく平凡な世界に住む者からしてみたら、なんとも羨ましい限りだ。

今回のエッセイは奥さんについての話題が多い。彼女もまた独特の感性を持っていて、さすがあの穂村さんのパートナーだと納得した。

今回のエッセイの一つに、〇〇を冷蔵庫に保管していたという、誰もが驚愕する出来事があるが、それこそがまさに彼の持ち味だと思う。ただ年齢のせいか、はたまた新聞掲載という枠があるせいか、以前のエッセイよりもかなりお手柔らかだ。

彼自身の目で見て感じた出来事や偏愛する何かについて、もっと思う存分切り口鮮やかに書いて欲しい。普通の人にならずに、いつまでもほむほむでいてほしい。




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