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ちびたの本棚 読書記録「カーテン」アガサ・クリスティー

ポアロさんの最後の事件ということで、もったいなくて読むのを先延ばしにしていた。
ずいぶん前にドラマ版の方は見てしまったのだけど、あれ?誰が犯人だったっけ?と忘れていた。(この作品では「X」 エックスと言われている)
いつものミステリーあるあるです💦

最後のページを読んで、さらに後書きを読んだ後も、その次のページをめくってみたりした。もしかしたらエピローグか何かあるんじゃないかと。
シャーロックだって終わったと思ったら、またシリーズが続いたでしょ。
でも、やはり、ポアロさんのシリーズは潔く終わってしまいました😢

この「カーテン」では、ポアロさんとヘイスティングスの友情と愛情、そして何よりも信頼を今まで以上に感じた。
難民となり英国に逃れたポアロさんが、探偵デビューをしたのがこのスタイルズ荘だ。
だが、かつての美しい屋敷は今では安い下宿屋と化している。この舞台設定からして物悲しい。
ポアロさんの老いと病、ヘイスティングスの人生における悲しみ、スタイルズ荘に集う人々の様々な過去、そしてこの屋敷の悲惨な過去が、屋敷全体に漂う陰鬱な空気を醸し出している。

殺人を決して許さない、というポアロさんが抱き続けてきた信念。それが最後に取った形に感服する。
善と悪とは、また正義とは何なのかと考えさせられた。

悲しく寂しいけれども、最後の事件としてふさわしい作品だと思う。


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