14年後にあなたに出会う
私が最後にパートナーがいたのは14年前。
今まで年下と同じ歳と年上と付き合ったけど、14年前、失恋して、もの凄く悔しい思いして涙も流した。
こんな思いするなら、勉強に打ち込んだ方が良いと打ち込みまくった。
リポート完成させるために本も資料も目を通して、ネットで調べたり、わからないことは人に質問したり聞いたりした。
成果は半年後目に見える形で出て、応援してくれた両親に「苦労が報われた」という形を見せて安心させたかった。
仕事についても、ついていくのに必死で、恋愛の兆しもあったけれど、それも気が付かないフリして蹴とばした。
一番酷い言い方して、興味を失せさしたりした。
人伝えで、「貴方が気になっているんだって」と言われた時の返事は。
「自分の言葉を直接伝えないで、人伝えしてくる臆病者とお付き合いしたいと思うの?」
直接言われた時の返事は。
「ごめんなさいね、私よりもっといい女が転がっているわよ、貴方にお似合いのアクセサリーが見つかると良いわね」
ここまですれば縁結びの神様も、恋愛の神様も「こいつはもうだめだ、もうお手上げだ」と諦めて匙投げてくれるだろうと信じていた。
かぐや姫すらも驚くような無理難題を応えることができれば、その人との恋愛を考えますと手も合せた。
甘かった、恋愛の神様はどうも諦めが悪かったらしい、毎晩毎晩、顔を見せにくる、あの人に出会うまでは。
何故なのか、あの人は毎晩、酒を飲みに来て色々と話しにくる。
それが2ヶ月も続いたある日、あの人はとうとう口を開いてこう言った。
「なぁ、俺結構アプローチしていたんだが」
さすがに天罰だろうか、気づかないフリがいつの間にか本気で気づいていなかったのだ。
でも、14年前にあった嫌なことを考えると、もう嫌な思いしたくなかったので、意地の悪い私は試すことにした。
それも、多分これが最後の恋でチャンスだとどこかで信じた。
私はあの人に、小野小町がした百夜通いを提案した。
小野小町は「私のもとへ百夜通ったなら、あなたの意のままになろう」といった。
まぁ、私は決して美人ではないのだけれど。
「もし、百夜通いができたら、あなたのこと考えましょう」
そう言うと、「百日だな?」とあの人は何故だか面倒くさがるわけでもなく、どこか自信満々なのだ。
百日なんてあっという間だし、よそ見する隙だってあるから、それで他の人の所へ行ったらその時はその時で私の勝ち。
そう思っていたのに、あっと言う間に負けた。
気が付けば、百日はあっという間に過ぎたし、私はあの人に質問した。
「百日間どうだった?短そうに見えて長かったでしょう?おまけに毎日だから面倒じゃなかった?私以外の女の人に余所見だってできたでしょうに」
「なんでだ?俺的には不可能じゃねぇからできたし、他の女じゃなくて、お前が良かったから」
ここまで言われると、ちゃんと相手のことを考えないとってなったし、一緒に居てストレスも無いし、お互いに好き嫌いがハッキリしているから気がついたら知らず知らず背中合わせになっていた。
馬鹿なことしても、バカなこと言ったとしても笑っていられる。
そして、今現在お付き合い継続中でお互いこう思っている。
「お前/あなたを逃したら、もう次は誰かと一緒に添い遂げないかも」
そう言ったら、母から「パパと同じこと言ってるわね」と笑っていた。
この出会いに、私は多分後悔しない気がする。
もっともっとこれからも一緒にいたい、ただその思いだけ。
生涯を共にしたい、添い遂げたい相手の出会い方なんて千差万別。
だから、相手に対して思いやって大事にしたい、されるという心も必要だと思っている。
歳を取った時の姿まで想像して、花丸までいくかわからないけれど二重丸でも丸でもいいと思っている。
あの人は8年後に私に出会うけれど、私は14年後にあなたに出会う。
【後日談】
相手から「お味噌汁作ってくれ」というのはわかるけど、あの人は「おにぎり作ってくれ」と言ってきた。
珍しいお方だ。
御簾越しに 藤の香りが 訪れて あれよあれよと 百夜過ぎ去る
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