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なぜ統失?第2部「閉鎖病棟入院編」⑪高校生の彼女

前回の続き

幻聴は、入院後一週間くらい経つと、

いつの間にか消えて聞こえなくなってました。

でも、強烈な薬の副作用は一向に治る気配はありません。

僕は、起きてる間ずっと廊下を歩き続けることになるのですが、

歩いてる間にも声を掛けて来る人はいます。

一番困ったのは、

前回紹介した仮称、仙人です。

僕が、麻雀が出来ると言ったばっかりに、
しょっちゅう麻雀に誘ってきます。

僕がどれだけ断っても、
この人、諦めることを知りません。

駄々っ子のように、”やろうやろう”
と、誘ってきます。

あまりにしつこいので、
何度も諦めて麻雀に参加していました。

麻雀は長時間座ってやるので、

アカシジアが強烈に発症している僕にとって地獄そのものでした。


もう、わざと振り込んででも早く終わらせたい。

限界が来て、
途中で何か理由をつけてよく逃げてました。

UNOやトランプにも
看護師に誘われて、
半強制的に参加させられることもありました。

気の弱い僕は、

”じっとしてられないので出来ません”

そんなことも言い出せず参加していたんです。



前回紹介した、
握手くんとは仲良くなりました。

握手くんもずっと廊下を歩いてます。

握手くんとすれ違うたびに、

昼は握手、夜はハイタッチを一緒にやってました。

毎日500回以上はやってたと思います。

僕は気が弱いので、
求められると拒否することが出来なかったんです。

まぁ、握手もハイタッチも別に嫌じゃなかったですけどね。


廊下をウロウロと歩いてると、

高校生くらいの女の子が、

服を脱いでストリップをしてるのを見てしまいました。

後に僕の彼女になる仮称、Mちゃんです。

この子は、マトリックスに出てくる、
エージェントスミスの幻覚が見えてたそうです。

将来、アイドルになりたいらしくて、

よく、歌を口ずさみながらダンスの練習をしてました。

結構可愛かったので、

頑張れば、今でいうB級アイドルくらいには余裕でなれてたんじゃないかと思います。

廊下を早歩きしている僕についてきて、
アカシジアで余裕のない僕によく話しかけてくれました。

一緒に歩いてるうちに、

「付き合って!」

と、言われて付き合う事になりました。

人生2人目、10年以上ぶりの彼女です。

ちなみに、最初の彼女は、
半年くらい付き合ったんだけど、

最後まで手も握れないうちに振られてしまいました。

その振られた時のショックで、

半年くらい鬱になってご飯が喉を通りませんでした。

僕は、子供の頃
女子に毛嫌いされてたので、

自分から女子に声をかける事も触ることも出来ないくらい、
奥手になってしまいました。

なので、

これまでの人生で、自分から女子に告白したことは一度も無いんです。

初めての彼女も、
僕があまりにも何もしないので振られたのかもしれません。

もちろん、この時はまだDTでした。

僕が、催眠音声にハマったのも現実の女子と付き合うことを完全に諦めてたからですし。

Mちゃんとも、

結局、最後まで手を握る事もありませんでした!

まぁ、病院内ですからね。

Mちゃんは、短期間でぐんぐん症状が良くなって、

出会って一ヶ月後くらいには、

ストリップもしなくなったし、幻覚も見えなくなったみたいです。

ぶっちゃけ、付き合ってたって言っても、

一緒に廊下を散歩してただけなんです!

退院後、一度だけ手紙の交換をしました。

元気に高校に通ってる。
また会いたいと書いてありました。


次回へ続く





















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