有泉りりか

言葉が好きです。ここでは、創作と随筆が入り混じっています。

有泉りりか

言葉が好きです。ここでは、創作と随筆が入り混じっています。

最近の記事

自転車

 夜に時々サイクリングしていますが、驚くほど道路に誰もいないです。  初心者の私には走りやすいですが、倒れても誰にも気づいてもらえないとなるとちょっと不安です。  買ったクロスバイクがかっこよすぎて、汚れるのが嫌なので部屋の中に置いて眺めてにやにやしていたのだけど、購入店の人に「早く乗ってほしいんです」と言われ、そろそろとおろしました。  買いに行った時、お店の人(私よりたぶん二十五歳くらい若い)と話していて、結果的に二時間ほど話して購入を決めたのだけど、その人から「ここ

    • コメディアンに似た何か

       以前、翻訳講座の先生と話していて、「あなたはどこに行ってもマイペースでいいねえ」と言われたので、「いえいえ、その場になじもうとして全エネルギーの80~90%くらい使ってますよ、仕事でも講座でも。それでも、ずれてるんじゃないかと思ってしんどくなって辞めてしまいます」と言ったら、「じゃあ、講師になるといいですよ」ということだった。話の展開がよくわからずに聞き返すと、「講師は教室でたった一人の存在であり、元々浮いてるじゃないですか。だから大丈夫」とのことだった。  普段か

      •  これは何の飲み物なのかしら

         ちょっと前に、とある店に行った。飲み物は何があるのか、列に並んでいる間に選びたいけれどメニューが見えず、注文カウンターに行ってから素早く決めないといけない。こういうシステムに未だに慣れない。カウンターの前に立つとものすごく焦ってしまう。その時も飲み物を早く決めなくてはと慌ててしまったけれど、メニューの目立つところにレモネードがあるのが見えて、それを指さしながら注文した。私は酸っぱいものが苦手なのだけど、レモネードはとても好き。ホット用のグラスに入っていておいしそうだったし、

        • 電車の中で

           新聞の投書欄に、電車で席を譲る話がよく載っているのだが、どうしてあんなに頻繁に載るのだろうといつも不思議に思っている。ほかに話題がないのだろうか。そしてどうしてあんなにみんな悩んでいるのだろうと不思議に思う。私は最近、悩んだことはない。  大学生の頃はなかなかうまくできなかった。席を譲って断られたらどうしようとか、お礼を言われるのが恥ずかしいとか思って、とても難しく考えていた。そこで編み出した方法は、さもこの駅で降りますよ、というようなふうで席を立つという方法だ。でも、そう

          空 (そら)

          『空』 あまりにも青いので、思わずカメラのシャッターを押す。 写真を見返して、思う。 あの青い空間。そこに 結局は私たちは何を見ているのだろうか。 なぜあんなに青いのだろうか、青い何があるのだろうか。 すごく遠くに物体があるのだろうか、それを見ているのだろうか。 いくつもの物体が、遠くに、近くに、すごく遠くに、すごく近くに、やや遠くに、やや近くに、無数に散らばっていて、それらを一つにして知覚しているのだろうか。 一番遠いところには何があるのだろうか。 無意識層では知覚できな

          空 (そら)