【超短編小説】平凡ボンボン
みなさんの子供のころの夢って何でしたか?
スポーツ選手になって人気者になること、社長になって大金持ちになること、やりたいことをやって楽しく生きること。
人それぞれ思うことはあったのではないか。
じゃあ、大人になって今はどうですか?
大きければ大きいほど夢をかなえられた人はごくわずかだと思う。
私も小さい頃はCAになって飛行機で世界中を飛び回って、可憐な生活夢見ていた。
そして、頑張ればそうなれると思っていた。
でも、なれなかった。
今になってみれば、そう当たり前のこと、しょうがないことだと理解できるんだけどね。
CAになれなかった私は今、とある会社の受付嬢をしている。
平日は毎日会社へ行き、来訪者の入館手続きや電話応対に追われている。
休日は家でゴロゴロしたり、ちょっとショッピングモールなんかに行ってみたりして、気に入った服があれば買ったりして。
まあ、実際に買うことはほとんどないのだけれど。
そんな今の私は、子供の頃に見ていた夢とはとてもかけ離れている。
生活に可憐なんてことばはない。
言ってしまえば、何もないかもしれない。
子供の頃に見ていた将来の私はレインボーだった。
では、実際の今の私はせいぜい2色か3色くらいであろうか。
でも、それでよかった。
可憐でなくても、大金持ちでなくても、超有名なスーパースターでなくても、私は生きていけている。
ただ、生きているだけでなく、普段のちょっとしたことで笑えたり、仕事終わりのビールを飲んでぷはーっと言ったり。
そんな私は、他人から見たら大したことないかもしれないけど、私から見た私は世界で一番幸せに満ちている。
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