ティーカップの揺めき
私はティーカップを持った際のコーヒーや紅茶の揺めきが好きだ。
なんとなく柔らかい感じがして、緊張や締まりが全くない。
照明の光が白く反射して、ゆらゆらとしている様子はどうしても和んでしまう。
そもそもティーカップの揺めきが魅力的というのは、それそのものに魅力があるだけでなく、
ティーカップがある状況にも起因するだろう。
考えてみてほしい。
冷たい飲みものは時間のない時でも一瞬で飲み干すことができる。
蓋つきのタンブラーはお茶やコーヒーを楽しむというよりも
仕事や何かの合間に飲むものだ。
だがティーカップのお茶やコーヒーは違う。
丁寧にティーカップの下にソーサーを敷き、スプーンでも添えてあれば、
それは憩いの象徴だろう。
時間がゆっくり流れる。
聴いた音楽が体に染み込むように伝わる瞬間。
そんな状況も含めて、
ティーカップの揺らめきは素敵だと思うのだ。
私は思うのだ。
人は一日にティーカップ一杯分のぼんやりした時間があってもいいのだと。
お茶やコーヒーを一杯飲み干すという、気温や状況によって変わってくる時間が。
アイスティーやアイスコーヒーではなく、
湯気が立つほどの飲み物。
日々のゆとりはティーカップと共にあり。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?