日記(2024.2.29)
長い夢を見ていたのかもしれない。一人で過ごす時間に生の実感が伴っていなかったのは、決して憂鬱のためなんかではない。もっと浅はかで低い次元にある、あるいは卑俗な、些末な本能のためである。それに突き動かされたのは、ともすれば憂鬱が原因の一つであるかもしれないが、憂鬱こそが原動力であるはずがない。
久しぶりに自室へ帰り、溜まったごみが未だ異臭を放ってはいないことに安堵してすぐにそこから出る。エレベーターでマンバンの男子大学生とすれ違い、エントランスに貼られた注意書きや住民向けの