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フランスの伝統は生きている。

Netflixでフランス制作の『Lupin』を見終えた。パート4にも期待したいのだけど、パート3でほぼすべての伏線は回収しているので、ここで終わってもまぁいいかという気もしている。

原作の怪盗アルセーヌ・ルパンの良さを忠実に守りながらも、アフリカ系の「ルパン」が実にうまく現代のフランス社会にぴったりと収まるようなストーリー展開となっていて、原作を知らない人もこの作品を通してモーリス・ルブランのルパンを知りたいと思うだろうし、原作を知っている人ももう一度原作を読み直したいと思わせる秀作だった。

フランスの移民政策は「失敗」だったという人々もフランス国内に多くなってきているようだ。極右党と言われるルペン氏への指示も年々に増えてきていることからも想像できる。フランスの伝統が失われると危惧する人々もいるなかで、この「ルパン」の成功は異文化を取り入れてもフランスの伝統は滅びないということを証明してくれたような感じがする。

21世紀の「ルパン」を作り上げるのに、ルパン役にアフリカ系の俳優オマール・シーを持ってくるという手法に「驚いて」しまうのは、私がもう古い世代の人間だからなのだろう。イギリスでも長年の人気テレビシリーズ『ドクター・フー』の主役にアフリカ・ルワンダ生まれのチュティ・ガトゥを採用したように、それまで白人の俳優が演じて当たり前だと思われていた役に白人以外の人種が選ばれていくことは、今後は決して「驚く」ことではなくなってきている時代が来ている。

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