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民泊での思い出

民泊をしていた時期があります、短いけど。
いろんな国の人がやってきて、楽しい思い出になっています。
忙しくなって止めたけど、またしてみたいなと思っています。
民泊で思い出に残る人たちを紹介しますね。


身重のマリアさん


マリアさんは妊娠5か月でドイツから夫婦でやって来ました。
安定期に入ったとはいえ、大胆な方です。
夕食を一緒にとりながら楽しく過ごしました。

民泊では、調理師の免許を持たない私たちは料理を有料で提供できません。
食事希望の方は一緒に作ったり片づけたりします。もちろん無料です。
材料を買ってくる、慣れた方もいます。
また、外食希望の方には手作りの「食堂地図」を渡しました。

マリアさん夫婦が来たのは冬だったから、夕食は夫の得意料理である「ぶり大根」にしました。
大根は自宅の畑で穫れたものです。

ぶり大根を一口食べて、マリアさんは
お母さんの味だ!」と嬉しそうに、でも涙目で言ったのです。

マリアさんのお母さんは日本人でした。
ドイツでぶり大根を作って「お母さんの国、日本の料理よ」と言っていたそうです。
お母さんは癌を患って、若くして亡くなりました。
マリアさんの知る限り、お母さんは一度も日本にお里帰りをしていません。

今回日本に来たのは「お母さんの一周忌で、どうしても日本に来たかったから」なのです。
たまたま泊まった民泊の宿で、お母さんとの思い出深い「ぶり大根」が出てきた。
マリアさんが驚いたり喜んだりするのもわかります。

こういう旅の目的もあるんだなと、しみじみ思ったことでした。

小学校校長のキムさん


韓国で小学校の校長をしているというキムさんは、お母さんと来ました。
キムさんは日本が大好き。お母さんは日本がキライ。
お母さん年代の方は、複雑な歴史問題や教育の問題があって難しいです。
でもキムさんは自分が大好きな日本をお母さんと旅したい、見てほしい気持ちがあります。

「キライ」と言いながらよく一緒に来たなぁ、やはり娘と一緒に旅したいのだな、と思いました。
2人は「食堂地図」をもって出かけていきました。
帰ってきてから、キムさんと旅の話などをして楽しい時間を過ごしました。
でも、お母さんは部屋から出てきません。
日本語も英語もわからない、となればそうなるかな。

夜は親子で語り合ったことでしょう。
ふだん忙しいキムさんだから、久しぶりに親子でゆっくりできたら良いね、と思いました。

翌朝、お母さんはご飯も食べません。
何か、買ってきたもので済ませたのでしょうか。

しかし、出発の時キムさんの陰からすごくはにかんで
ありがとう」と小さい声で言ったのが聞こえました。
しかも日本語で。

今思い出してもジーンとくる場面です。
お母さんは確かにほほ笑んでいたのです。
満面の笑顔とはいきませんが。

人づきあいが苦手な方かもしれません。
言葉がわからないから、きつかったかもしれません。
移動で疲れていたかもしれません。

しかし、あのほほ笑みはお母さんの思いを伝えるのに充分でした。
表現はうまくできないけど、感謝の気持ちは伝わってきました。

本当に、戦争は罪です。

どうか、日本を楽しんでください、と心の中で思いながら送り出しました。

勉強家のみどりさん


中国からの留学生で、日本の大学で勉強していたみどりさん。
本名の中に「緑」という字が入っているから「みどりさん」。
アルバイトをして、お金を貯めては日本国中を旅していました。
勉強とアルバイトと、日本を知る旅を上手に両立しています。

3度、ウチに来てくれました。
今は日本で就職して頑張っています。
人懐っこくて勉強家です。

どうしているかな、と久しぶりにメールをしたら返事が来ました。
なんと、今は沖縄で働いているということです。
元気そうで安心しました。
また会いたいな。

ライターの中村さん夫婦


中村さんは雑誌に記事を書いているライターさんです。
パソコンがあれば、どこでも仕事ができるのです。
だから好きな所へ行って、記事を書きます。

そういう働き方があるのだと、初めて知りました。

大きなワゴン車から大きなワンちゃんが出てきたときはビックリ!!
一緒に旅をしているのです。
ワンちゃんと散歩したり、仕事をしたり、自由です。

中村さんはピザを生地から作ってくれました。
その手際の良さに驚いたものです。
「作った方が安いよ」と笑っていましたね。

今はどこを旅しているのかな?

NASAで働いていたシャロンさん


アメリカから来たシャロンさんはNASAで働いていた、と言いました。
そしてNASAのお土産Tシャツをくださいました。
仕事を辞めて、日本に遊びに来たのでした。

シャロンさんは自由になってから遊びに来ましたが、休暇をもらってくる人が多いです。
しかも休暇は2か月とか3か月とか、日本では考えられないほど長いですね。

働き方の違いをしみじみ思うことがありました。

時間とお金があれば、外国に遊びに行きたい。
いろんな国に行きたい。
しかし、それが叶わない時「来てもらう」方法があります。

民泊のように、来てもらってその方の国のことを教えてもらう。
教えてもらって、日本のことを知ってもらって。
いろんな国の人とふれ合うのは興味深いことが多いです。

少しだけ、ホントに少しだけ、遠い国のことを思う。
地球上のあちこちに友達をつくる。

人と人のつながりで、平和な地球にできたら良いな。


最後まで読んでいただきありがとうございました。


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