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私がセクハラにあった話

私が受けたセクハラについてや、それについて書く部分がありますので、こういった話題が苦手な方は今回の記事は飛ばしてください。



この間、ネットで「ハラスメントハラスメント」について議論しているのを見かけた。

現代はなんでもかんでも「ハラスメント」と言い過ぎでこれでは何もできないではないか派と、不愉快なんだからハラスメントと称していいだろう派が議論していた。
傍観しながら、個人的にはまあどっちの言い分もわかるかなというのが本音なのだが、私は上司がセクハラだと感じて仕事を辞めたことがある。

入社してすぐに、2人きりになるように仕向けられた仕事の割り振りをされ、ラインの交換、プライベートで出かけようとの打診。
アパレルで長く働いていた私は、今まで店に数人しかスタッフがいなかったので、職場の人とラインを交換するということ自体は普通のことだと思っていたので、ましてや上司に該当する人物。特に断る理由もなく交換したが、交換した直後私のラインのアイコンを拡大し、かわいいねえと一言。結婚してる?彼氏は?

キモすぎてそれ以来私はラインアイコンに一切自分の写真を載せていない。

休憩時間が決まっていることから、ランチは一緒に行こう。仕事終わりにご飯へ行こう。家へ招待してくれ。今度みんなで出かけよう。何でもかんでも誘われた。
入社初日からそんな感じだったので、流石に家への招待や仕事終わりの食事は断ったが、誘っていただけて嬉しいです〜ぜひ〜と新人の私はニコニコ言うしかなかった。

髪型を変えたりネイルを変えたりした日にはすかさず「かわいいね」と声をかけてくるか、斜め前に座っているというのに業務中にラインでメッセージを送ってきたりする。
似合ってるか不安?俺にとってはかわいいから安心してだなんて送られてきた時にはスマホを粉々にしてやろうかと思った。上司の。

物を手渡しする際には必ず手を握る形で受け取られ、毎日そばに寄ってきていい匂いがしますねだとか言ってくる。
こんなのが4、5人いた。この令和にどうなってるんだ。

しまいには会議室に呼び出され、入社3日目にして何をやらかしただろうとビクビクしながら行くと、率直にいうと顔がいいから社内の男性社員が食事に誘ってくると思う。トラブルを避けたいから気をつけてほしい。という話だった。

???

上司の言う通り、私の顔が良くて、食事に誘われる機会が多くて、社内の風気を乱すことになったとしよう。百歩譲ってそれで良い。
でも、もしそうなら誘う側に手を出すなと注意すべきでは?私にそんなことを言われても仕方ないではないか。
私の顔が良くても悪くても、素行自体に問題がなく真面目に勤務しているのであればきちんとした業務環境と評価を与えられて然るべきであろう。

何かあったら俺に相談してねとキリッと私を見つめた上司は、結局一番セクハラがひどい大ボスだった。もう笑うしかない。

しかし、幸か不幸か、(不幸だけど)なぜか昔から変な人に好かれる節があるので、若干耐性があった。
ストーカーに遭うだとか、帰り道に不審者につけられるだとか同級生からの好意がいき過ぎているとか。
なので、流石に街中で出会うそういう男へは恐怖心があるけれど、多分奴らが思うような「か弱い女の子」ではなかったのだ。

加えて、アパレル歴も長く、レディースブランドだったためしょっちゅう不審者が店へ来ていた。レディースブランドなので、スタッフが女性しかいないと向こうもわかっているので店にやってきてセクハラ行為をしたり、電話での問い合わせを装って卑猥な質問をしてきたり。
それと戦っていたのでちょっとやそっとじゃめげない。むしろ店長だったから率先して対峙しなければならなかった。
これ、アパレルあるあるだと思うんです。結構どこのブランドでも起きてる。

しかも、多分そういう不審者って女性側からキャー!みたいな反応が欲しくてやるんだろうけどこちらも鍛え上げられているので後々バックヤードで「今日の変態」と報告という名の晒し上げ会に出されるだけなので、本当にやめたほうがいいと思う。

私も、アパレルにいた時はなんならもうどれだけキモい発言をされたかネタにしてやろうかと、かかってこいという気持ちだった。

つまり、上司たちは私を見誤ったと思う。
辞めたのも、セクハラが辛い、よりもこんな奴らと働いてられっか!と部署のトップに全部報告して辞めた。
驚いたことに「あ〜やっぱりね」との反応。
どうやら同じ上司たちが同じようなことをして、女性社員・アルバイトはほとんど辞めていった環境だったらしい。やっぱり働いてられっかと告発してよかった。
ここに書いた以外にも、色々あったし。

しかし、世の女性がみんな私のように「今日の変態」と思える訳ではないだろう。
私も最初は嫌で嫌で怖くてたまらなかったし、アパレル時代、店に来た不審者なんて怖くてたまらなかった。どこの誰かも知らない何をしてくるかわからない不審者と、対面しているのだから。
百万歩譲ってセクハラならまだ、と我慢したとして、刺されたりしたらどうしよう。暴れられたら腕力では勝てない、と。
映画館で痴漢に遭い、上映後腕を引っ張られ車で来てるので送りますからと引きずられそうになった時は本気で死ぬかと思った。

でも、自分のメンタルを守るためにキモさをネタにしてやれと思うように心掛けて、なんとかネタにして笑いにしてやろうと努力して、こうなったのだ。普通は無理だと思う。だって怖いし気持ち悪いもん。

しかも何が嫌って、相談しにくい。
もし体を触られたりとかしたならそれを説明しなくてはいけないし、言われて嫌だった発言をもう一度自分で言わなければならない。

ここまで読んで、そんな風に言われるなんてさぞ顔が可愛いんでしょうと思った方もいるでしょう(いないかもしれませんが)。

普通に顔を褒められる分にはどうもありがとうございます!という気持ちなのだが、セクハラに関してはそういうのも、告発するのを躊躇ってしまう理由です。

可愛いねと言いながら食事に誘われます。
今日のメイク可愛いねと業務中にもラインが来ます。

あくまでも相手に言われたことを報告するだけなのに、自分で自分を褒めるような発言をしなければならない。可愛いって言われたんです。字面だけ見れば誉められているし、これは舞い上がってもいいだろう。
でもそうではない。それを自分で他人に言わないといけない。

しかも最悪なことに相手に理解がないと、上に書いたようにもうそのまんま「可愛いって言われてるんだからいいじゃない」とか言うのだ。
しつこく食事に誘ってくるんです、なんて言えばニヤニヤしながら話を聞いていたり。モテるね〜なんて茶化された時には手元のボールペンをへし折ってやろうかと思った。上司の。

一応言うと、別に私の顔は所謂「上」に該当するようなレベルではないと自分で思っている。
これもまた、その顔で?とか「可愛かったら」セクハラとかあるよねえなんて言われることもあるのだ。あなたの顔のレベルでは被害には該当しませんよと言わんばかりに。

パワハラなど、他のハラスメントで悩んでいる人を決して軽視している訳ではない。
自分もパワハラにあったことがあるからわかる。
ただ、たまたまセクハラにも経験があるので、これについて書いてます。

けど、どれだけ酷い暴言を吐かれたり、自分宛でなくても上司がみんなにわかるようにわざと特定の人を晒しあげているような状況を訴えるより、「私はセクハラだと思います」と声を上げる方が私にとってはよっぽど勇気が必要だった。

デリケートな問題なので、自分の経験を書くかすごく迷った。
でも色んなSNSで悩む女性、言い出せない女性、勇気を出して告発したのにあしらわれた女性を見て、もう少し周囲からの理解があればいいなと思ったのだ。

セクハラという行為がまず、そもそも絶対に許されてはいけない、というのは大前提のもと、口に出して被害を訴えるのもまた同じくらいもしくはそれ以上の勇気が必要なことで、大きな心の傷を負うことだと、理解されたい。

今思うと、正直セクハラの内容よりも周囲から理解されない方が辛かった気がする。

ちなみに、ここで「男性全て」と主語を大きくするつもりはないし、どうしても経験上理解し合えない部分があると感じる。それは仕方のないことだと思う。
私も男性特有の悩みやトラブルには寄り添おうと努力はするものの、きっと本当に理解することはできないと思うから。
同性からのセクハラとかもあるからね。たまたま、私への加害者は「よくない男性」だっただけです。

最後にもう一度、決して「男性」を批判したりする気持ちは全く無いこと、たまたま私が逞しく、乗り越えていける方法を見つけただけで被害にあった女性が傷ついて、辛い気持ちであることを否定する気持ちも全く無いことを強調させてください。

幼少期からの経験、アパレルでの経験、実際に職場で起きた経験。
自分にも色んなことがあった。本当は笑えないようなこともあった。
それを踏まえて、女性側に寄り添っていきたいなと思う。

強くなったと見せているけど、嫌だった気持ちは、みんな消しちゃいたいなと思うこともある。
それでも、この先生きていかなくてはいけない。
なんだかまとまりがなくなっちゃって、ただの記録になってしまったし、私自身が自分の過去を整理する向き合うみたいな感情的な記事になってしまったけど、私の記憶を思い起こしたセクハラの経験談でした。

先ほども書きましたが、デリケートな話題かつ私の稚拙な文章で不愉快な気持ちにさせてしまった人がいたり、傷付けてしまった人がいないことを祈ります。

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