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うちのこ。名前は「ぐー」③

トラウマ。心的外傷と定義されている。これは犬も影響を受けるものなのか、人間だけが感じえることなのか、犬を飼うまでは考えたこともなかった。ぐーが散歩デビューをして5〜6年の間、トラウマ的になってしまった出来事があった。その頃公園には何台か自転車で走りまわる中学生がいた。男子の集団は小さな「ぐー」の横を通る時、あ、その時の「ぐー」は完全に自分の世界に入っており「友達からの手紙」=草の匂いを嗅いでいた。その時、「わあーーーっ!」と大きな声で脅かしたのだ。

びっくりした「ぐー」は咄嗟に、わん!!わおーーん!! と自転車に向かって威嚇した。が、相手は中ぼう男子集団だ。逆に追いかけ回されたのだ。全速力で逃げている。わたしは「ぐー」を捕まえようと全速力で走る。みんな走る。走っていた。よほど怖かったのだろう。尻尾は下がりキョロキョロしていた「ぐー」をやっと確保できた。それから何故か、勘違いしてるのか、単なる嫌がらせなのか、中高生のラブラブなカップルが仲良く公園で座ってるのを見つけると、わざわざ側へ行き「わおーーーん」ひと声叫んで差し上げるのだ。「すいません。」と頭を下げるわたし。ひつこく吠えるあのこ。「あの時の中ぼうじゃないで。」

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一緒に歩いた道。一人で歩く道。同じ道なんだけどな。前を歩くきみだけが居ないんだ。そう思う時、隣にいる気がしてならない。

7才くらいの頃、人間の赤ちゃんがする指しゃぶりを「ぐー」もするようになった。前脚の指の間だ。動物病院の先生曰く、「寂しいや暇だなという時にする感情からくるものだ」と聞かされた。日々の生活でお留守番は当たり前になっていた。犬を飼っている方はわかると思うのですが「早く帰ろう」「待ってる」といつも急ぎ足で帰宅する。それでも、一人でお留守番は寂しいのです。もっと、もっとかまって欲しい。その表れだったんだと思います。待つんです、犬は。

指の間は赤くなり歩き方もべた足になった。炎症した部分の細胞組織を採取し、検査したが悪性の腫瘍はないとのこと。それ以上悪化しないよう、光線温熱療法というレーザーを患部にあてる治療を週2〜3で通うこととなった。熱くも痒くもないこの治療。ただおとなしく、3分じっとしてること。意外にできるこでした。

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犬は我慢するんです。元気にみせたりもするのです。たぶん、飼い主が心配しないように、「大丈夫やで。」って何度も言われた記憶があります。人間はつい、弱音をはくこともあります。愚痴も言います。犬は強いのです。過去とか未来とかの概念はなく、いまが全てだったんだ。楽しいな、今日も。そう感じて生きていたんだと思いたい。

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うちのこになった頃、この二冊と出会う。読むこと、書くこと、写真を撮ることが好きなわたしは何度も、この本を読み返した。いいな、犬がいる人生。この上なく幸せだったよ。今日もありがとう。

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