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結婚したくないと言う女性と結婚したい

私は偏屈な人間なので、相手がどんなに好きな女性だとしても「結婚して」と言われた瞬間に一気に冷めてしまうことがある。

今から数年前。
私より9個歳下の女性からなぜかいきなり告白されたことがある。
当然私は天にも昇る思いで浮かれたのだが、付き合ってわずか1ヶ月後に「いつ結婚してくれるの?」と聞かれた瞬間、私の脳内の熱が一気に冷めた。

なんだ。結局俺のことが好きなんじゃなく、結婚がしたかったのか。

「好意」ではなくただ「条件」として見られていた事実を知り、1人浮かれていた自分が恥ずかしくなった。

どうして女性はこうも結婚第一主義になるのだろうか。
結婚の条件にさえ当てはまっていれば、相手は誰でも良いのだろうか。

身体的なリミットもある女性が結婚を急ぐ理由はよく分かる。
ただ、結婚はあくまで幸せになるための一つの手段であって、目的であるはずは無い。
せめて「好き」の結果が「結婚」であって欲しい。
私のこの考えはあまりにも男性優位な勝手目線なのだろうか。

このことを一度だけ何人かの男友達に話したことがあるが、

「いやいやいや、それは考えすぎだって!」

と一蹴され、全く賛同を得られなかった。
どうやら男の共通の心理ではなく、単に私の考えが歪みまくっているだけらしい。

ところが、私のこの歪んだリアクションを全く同じように言い表した岡本太郎の言葉が悩む私の心を救ってくれた。

ぼくを急速に興ざめさせる言葉がある。ちょっと付き合って、お互いにまだとけあっていないのに、すぐに”結婚して”と言われることである。こうなると一瞬に情熱が冷めてしまう。結婚というのがまるで就職かなんかのよう。打算であり、心はその次ということ。

自分の中に毒を持て(青春文庫) 岡本太郎著 P1226

そうそう!俺が言いたかったのはまさにそういうことだよ!

婚活という言葉が一般化している現代だが、すべての根底であるはずの「心」を後回しにして手段であるはずの結婚を目的にした姿はまさに本末転倒だろう。

太郎の一節は、数人の友人の言葉に勝る。
よくぞ言ってくれた。
ありがとう、太郎。

太郎のように優れた実績を持つ人間が言えば真理を付いた名言となるが、私のような凡人が発したところでサイコパス扱いされてしまうのが辛いところではあるが。

ところでつい先週、
会社のプロジェクトで「コロナ以降の結婚についての価値観を考察する」というテーマでディスカッションをする機会があった。
コロナ以降縮小に苦しむ結婚業界のクライアントからの要望により、世の中の結婚に対する認識を突き止める為のプロジェクトである。

私のように歪んだ結婚観を持つ偏屈な人間が発言すると議論を歪めてしまう可能性があるので、自分の意見はあまり言わずひたすら聞き役に徹していた。

「結婚て自分たちだけじゃなく家族や友人の為にするものですよね。」
「コロナ後は、地味婚もアリですよね。」

と、あくまで”結婚はするものである”という前提に立った議論に違和感を覚えながらも、そこに意義を唱えるだけの勇気もなかったので私はひたすら傍観していた。

そんな中、私と同じくずっと黙っていたプロジェクトメンバーの1人の30代半ば程のギャル系美人の発した言葉が、私の心を掴んだ。

「私、そもそも結婚したいと思ったことはないのですけど・・」

・・え?
何この人?
こんな女性もいるの?

結婚を目的としていない女性のその姿勢に、強烈に惹かれた。

結婚を目的とすることに違和感を抱いていた私だが、
こういう人となら結婚したい
と直感的に思った。

結婚が目的になっている女性には興ざめするけど、
結婚なんてしなくても良いと考えている女性とは是非結婚したい。

この逆説的な真理、分かってくれる人はどれだけいるのだろう。

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