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ビッグスターに歓喜【音楽の神様に乾杯!~サザンと僕の30年ほどの逢瀬の日々~④】

2005年12月、ついにこの日がやって来た。当時は大阪ドームと呼ばれていた現・京セラドーム大阪で、初めてサザンのライブへ。まだ僕はファンクラブ「サザンオールスターズ応援団」に入会しておらず、友だちのシゲが何とかチケットをゲットしてくれた。

もうひとりの友だち・ワタリとその女友だち、シゲ、僕の4人で大正駅からドームに向かう。その道中から高揚していたし、何ならライブの数週間前からソワソワしていた。

入場したあとは、売店で買ったビールを飲みながら開演を待った。けっこう緊張していたように記憶している。照明が落ち、暗くなると、会場中が沸いた。向かって舞台左から、ゆっくりと歩いて登場した我らがサザンオールスターズ。もう19年も前のことだし、座席はスタンド上段でステージからはかなり離れていたけれど、その光景は今も鮮明に覚えている。シゲは、初めてサザンを目にした僕が泣くんじゃないかと思っていたらしい。でも、涙は流れなかった。たぶん、あれが放心というやつだったのかもしれない。

1曲目は「Big Star Blues(ビッグスターの悲劇)」。サザン史上、最低売上枚数の作品らしいが、そんなの関係ねえ。僕にとっては、単なるセットリストの1曲目ではなく、僕とサザンの生の逢瀬の始まりを告げる役目を担ってくれた。もともと好きな歌だったけど、もっと好きになったし、思い出の一曲のひとつになった。

その後は、その年にリリースされたアルバム『KILLER STREET』に収録されている楽曲を中心に『勝手にシンドバッド』や『TSUNAMI』まで聴くことができた。ライブに行く前、大学の友だちに「『TSUNAMI』歌ってほしいなぁ」とふとつぶやいたところ、「歌ってくれるよ」と返してくれたが、セットリストを知っていたのか、テキトーに言っただけなのか、それは今もわからないままだ。

そして、その日は原由子の誕生日で、途中にはみんなでお祝いする一幕も。今思えば、初めて行ったサザンのライブがアニバーサリーと重なるとは、なんて幸運なんだろう。

最後を飾ったのは『心を込めて花束を』だった。僕が初めて自分で買ったサザンのアルバム『Young Love』に収録されている楽曲で、大好きだったから、これもまた沁みた。ちょうど大学卒業を控えたセンチメンタルな時期。「期待に応えられなくても、人並みに愛を叶えていけたらいいな」。万感の思いを胸に人生初のサザンライブを鑑賞し終えた僕は、外の世界へと踏み出した。

(つづく)

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