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Relayずっと続いていく【音楽の神様に乾杯!~サザンと僕の30年ほどの逢瀬の日々~エピローグ】

2023年、45周年を迎え、茅ヶ崎ライブの開催を控えていたサザンオールスターズは、3つの新曲をリリースした。『盆ギリ恋歌』『歌えニッポンの空』、そして『Relay〜杜の詩』である。この中で、茅ヶ崎ライブのセットリストから外れた楽曲がある。それが『Relay〜杜の詩』だ。

後に発売された『茅ヶ崎ライブ2023』の完全生産限定盤に付属されている『DOCUMENTARY FILM「茅ヶ崎ライブのすべて」』にて、アンコールの大トリに『Relay〜杜の詩』を検討した結果、やめようと提案する桑田佳祐の姿が映っている。

この楽曲は、サザンや桑田さんがレコーディングに使用している青山ビクタースタジオに近い、明治神宮外苑の再開発計画に対して音楽で問題提起している。発表以降、SNSやメディアで大きく取り上げられ、その反響は凄まじかった。誹謗中傷もあったはずだ。

でも、いつかの雑誌インタビューで、桑田さんは「おかしいことはおかしいと思うものだし、それを歌えない空気も、歌えない自分も、僕は嫌なんだ」と述べているのを読んでいたから、このご時世にあっても変わらないスタンスでいてくれるのが僕は誇らしかったし、嬉しかった。僕も、自由であることを何よりも大切にしたい。そのおかげで痛い目にも遭ったこともある。でも、ある種の犠牲を払ってでも、守っていかなきゃいけないものだと確信している。

茅ヶ崎ライブでは、アンコールを終えたエンドロールで『Relay〜杜の詩』が流れた。もちろん、ライブ本編で披露された数々の楽曲に心躍らされ、心震わされたのは言うまでもない。ただ、それと同じくらい、エンドロールで流れた『Relay〜杜の詩』が強く印象に残っている。

サザンだけでなく、他のミュージシャンのライブにもいくつか訪れているけど、こういった感覚は珍しいものだった。茅ヶ崎ライブで目の当たりにした、サザンが戦ってきた45年もの歴史に深く思いを馳せることができたのだ。それに、この楽曲を通して、70歳という年齢を前にしても彼らが見ているのはあくまで未来というのがわかるから、明日に向けての活力が身体の奥底にしっかりと沈着したからなのかもしれない。

『Relay〜杜の詩』のミュージックビデオ終盤では、サザンのメンバーがふっと消えていなくなる。何とも言えない寂しさを感じる場面だが、そこに不思議と悲壮感はない。「これからも続いていくんだよ」。そんなメッセージを勝手に受け取っている。

サザンとの逢瀬の日々は、早30年が過ぎ去った。10歳だった僕は40歳になった。これまで書いてきたように、僕の人生はサザンによって彩られ、サザンに救われ助けられ、勇気づけられて、そして大人にしてもらった。逢瀬は、これからも続いていく。

最後に、もう一度書く。

僕にとって、サザンこそが音楽の神様だ。

音楽の神様、サザンオールスターズに乾杯!ありがっとう!

(おわり)

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