見出し画像

リフレクション(内省・振り返り)の重要性

働いている人であれば、どんな人でも共通で持っている課題があると思います。それは、今与えられている仕事のアウトプットを向上させることです。一流のスポーツ選手が少しでも良い成績を残すために、努力するように、どんなことであっても常に革新の余地があり、改善の余地があります。そして、アウトプットは試行錯誤を行い、より良い結果に結びつく方法を見つける(学ぶ)ことによって、向上します。

Study(学習)とLearn(学び)の違い

日本語の場合、学習も学びも近い意味となりますが、英語のStudyとLearnでは、意味が異なります。通常Studyとは、本を読む等、学習をする行為を指すことが多く、Learnは、習得した結果を指すことが多いです。また、Learnは、他にも英語では、Takeawaysと言ったりします。持ち帰ることができた成果物といった感じの意味になるかと思います。

個人的には、このStudyとLearnの違いは、朱子学と陽明学の違いに近いと思います。朱子学には、理気二元論の中で、「先知後行」と言う言葉がありますが、知(知識・学問)を先に学ぶことによって、行(行動・実践)ができるようになるという考え方です。これに対して、陽明学には、「知行合一」という言葉があります。こちらは、知(知識の獲得・学び)と行(行動・実践)は、分けることができず、一体化したものだという考え方になります。よって、後の行動のために知識を蓄えるというStudyは、朱子学の考えに近く、行動の結果学ぶというLearnは、陽明学の考えに近いと考えます。

学びのメカニズム

Studyのような学習は、本を沢山読み知識を蓄えることによって、実現できることが多いため、比較的メカニズムはシンプルに思えます。では、学びとはどのようなメカニズムで得られるのでしょうか?経験学習サイクルで有名なデービッド・コルブ氏の論文の中で、以下のように結論付けています。

Learning is the process whereby knowledge is created through the transformation of experience.
学びとは、経験が変化し作り出される知見のプロセスのことである。

つまり、経験がナレッジ(知見)へと変換され、その変換されるプロセスが学びであると言っています。それでは、どのように、経験がナレッジに変換されるのでしょうか?デービッド・コルブ氏は、同じ論文の中で、経験を振り返り、そこから、抽象化できるものを導き出し、それをナレッジとするとしています。

有名なPDCAサイクルも、改善すべき項目を見つけるという意味では、向上させるために、改善すべきことを学ぶ行為であると考えます。そのPDCAのサイクルにおいても、実行のDoの後、改善のActionの前に、評価というCheckがあります。これも、プロセスを向上させるためには、やはり実施したことを振り返ることが必要だということを物語っていると思います。

リフレクションの重要性

ジアーダ・ディ・ステファノ氏、フランチェスカ・ギノ氏、ゲリー・ピサノ氏、ブラッドリー・スターツ氏らのリフレクションに関する論文の中の研修の実験において、10日間毎日15分間リフレクションを実施した社員は、リフレクションをしなかった社員に比べ、研修の最終評価において、平均より23%良いスコアを残せたと記載しています。

そして、論文の最後に、かつて、アメリカの哲学者である、ジョン・デューイが残した「私たちは、経験から学ぶのではなく、経験を振り返ることによって学ぶのだ。(We do not learn from experience. We learn from reflecting on experience.)」という言葉の通りであることが実証されたと結論付けています。

このことは、いくら色々な経験をしたとしても、それによって、何を学んだのかということを振り返らない限り、本当の学びにならないことを示していると思います。

よって、学習によって習得のできないノウハウ等のナレッジを蓄積するためには、経験をすることが重要であり、その経験を振り返り、それを学びにするというプロセスが大事だということが言えるのではないでしょうか。


現在、GROWモデルといったコーチングおよび内省や経験学習のフレームワークを活用した、目標およびアクションマネージメントシステムを開発しております。製品に関するご意見を募集しておりますので、何かございましたら、以下よりお気軽にご意見お寄せください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?