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南アフリカの治安の話をする前に、その美しさも知ってほしい

2018年11月に南アフリカ共和国というところに旅行してきました。ヨハネスブルグに駐在する大好きな友達を訪ねがてらの観光です。
友人の話から何となく素敵な暮らしぶりは垣間見えていたものの、日本から入手できる南アフリカの情報といえば「サファリ」「ワイン」「治安が悪い」程度のもの。浅い知識と一抹の不安だけを胸に出掛けて行ったのですが、到着してみると実際は、自然も文化も豊かで明るく、とても魅力的な国なのでした。

「世界一貧富の差が激しい」と言われるこの国で私が見たのは、国民の2割しかいないという富裕層の世界のみ。残り8割を占める一般市民やダウンタウンに暮らす人々の生活はほとんど見ていません。が、気楽な旅行者の目に映った南アフリカの風景を、「食」を基点に記録しておきたいと思います。

南アフリカってどんなところ?

南アフリカ共和国は、アフリカ大陸の最南端に位置する国で、日本から行くには飛行機を乗り継いで20時間以上かかります。
近年はアフリカ経済の中心を担っており、そこに進出したい外資企業がまず拠点を置く国としても知られます。そのためもあり、国内での貧富の差が激しく、治安の悪い地域としても知られます。

気候は、年間を通じて30℃前後と温暖ですが、かなり湿度が低いので、日陰や夜間は急激に気温が下がります。温暖ながらも四季があり、春に当たる9〜11月頃には「ジャカランダ」という紫色の綺麗な花が、日本でいう「桜」のように咲き誇っているのが見られたりします。

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そんな、自然も経済も豊かな南アフリカの食に関して、私の印象に残っているのは以下の4点。

・シーフードがおいしい!
・ワインが安くておいしい!ワイナリー巡り最高!
・お肉がおいしい!
・カフェもレストランもスーパーもおしゃれ!

それぞれについて、紹介していきたいと思います。

シーフードがおいしい!

南アフリカに到着してまず目を瞠ったのは、シーフードがおいしいこと!日本にいる時には、アフリカで海鮮が食べられるイメージが1ミリもなかったのですが、よく考えたら南アフリカは海に面した国なのだから、魚介も食べて当然ですよね...。
特に、南アフリカの人はみんな大好きという代表的観光都市・ケープタウンでは、美しい港に面して新鮮なシーフードを食べられる素敵なレストランがたくさん軒を連ねています。

えび
旅行中とにかくよく食べたのが、えび。元来えび好きの私に合わせて友人がアレンジしてくれた所為もありますが、様々に調理されたぷりぷりのえびをたくさん食べました!日本に比べて値段がお手頃なのもまた嬉しいところ。

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上:ケープタウンの港に面したレストランで供されているえびプラッター。バターソースでソテーされた伊勢えび(?)と手長えび始め、数種類のえびが大量に盛られてくる。これで1人前。

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上:えびの天ぷらも食べられた!これはテーブルマウンテンのケーブルカー乗り場近くにあるレストランで食べたもの。カラッと揚げられた小さめのえび天を、トロピカルなソースとめんつゆで食べる。観光地併設のレストランがこんなにおしゃれでおいしいなんて...南アフリカおそるべし。

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上:ヨハネスブルグのポルトガル料理屋さんで供されたえび料理。味わい深すぎる謎のソースにえび味噌を滲ませ、山盛りでやって来る。ヨハネスブルグはシーフードがおいしくないと聞いていたのに、この味わいは反則。この旅行のおいしかった料理No.1!

牡蠣
アフリカで生牡蠣!これまた意外でびっくりしたのですが、特にケープタウンでは牡蠣を提供しているお店をよく見かけました。

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私は牡蠣が苦手なので味を確かめることはできなかったのですが、同行した日本の友人たちは「おいしーい!」と大喜びで食べていました。

イカ
イカ料理は、ケープタウンでもヨハネスブルグでもよく食べられていました。小さめのイカがグリルやフライにされていることが多いです。柔らかく、臭みもなく、とてもおいしかった。

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上:ヨハネスブルグのステーキハウスで前菜に頼んだイカのグリル。シンプルだけど、スパイスソルトとスイートチリ風のソースが香ばしいグリルによく合っておいしい。

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上:前述のポルトガル料理屋さんの前菜盛り合わせにもイカが入っていた(写真手前)。肝の旨味も感じる、妙においしいソテーになっていた。一緒に盛り合わせられていたのは、こんがりグリルされた鶏レバーや、絶妙な味付けの砂肝ソテーなど。

ワインがおいしい!

最近は日本の酒屋さんでも、南アフリカワインの台頭は目覚ましいですよね!南アフリカの広い国土の中でも、ケープタウン周辺は地中海性気候ということもあり、ワイナリーがたくさん建立されています。
今回の旅は酒飲み多めのメンバー編成だったこともあり、300軒以上のワイナリーが集まる南アフリカの一大ワイン産地「ワインランド」の、「ステレンボッシュ」というエリアに、泊まりがけのワイナリー巡りにも連れて行ってもらいました。
宿泊施設つきのワイナリーに1泊しながら、2日間で7軒のワイナリーを巡って試飲しまくるという夢のようなレクリエーションです。

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上:ワイン好きの知人から絶対飲んでくるように念押しされていたKANONKOPでの試飲の様子。ここの赤は個人的にも大好きな味でした。老舗らしく、ワイナリーも質素で堅実な雰囲気。ただしワインのお値段は他のワイナリーよりもややお高め(2,000円〜1万円くらい)。

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上:白では1番好きだった、Spierのシュナンブラン。お値段はボトル1本で600〜700円と、超お手頃!ワイナリーにはレストランばりのお洒落な試飲スペースやアートショップ、広い庭園も併設されていて、年若いお客さんで溢れていた。

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上:おしゃれすぎるだろ!とはしゃいでしまった、Jordanのワイナリー。素敵なベーカリーと、ガーデンビューが素敵なレストランが併設されていて、ここでランチをいただいた。

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上:当然ワインを飲む。お通し(?)に、ほの甘いテーブルロールやスパイスの効いたパン、軽いクリームチーズが挟まったピタなどおいしいパンがたくさん出てきて、これだけでいくらでも飲めてしまいそう。

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上:私が前菜に選んだレバーパテ。軽くマリネしたりんごやベリーがたくさん添えられていておいしい。そしてポーションが大きい。メインに頼んだ鴨のコンフィもおいしかったけど、とにかくお腹いっぱいになってしまい、デザートは友人の旦那さんに引き受けてもらった。

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上:ちなみに南アフリカでも最近クラフトビールが人気になってきているそう。これはワイナリー巡りの最後に訪れたSpice Routeのブルワリーでの試飲の様子。1人数百円でこの量を試飲できます。

牛肉がおいしい!

南アフリカで忘れてはいけないのが、お肉のおいしさ!豚肉も鶏肉もよく食べられていますが、中でも牛肉は特に好まれている様子。レストランでもスーパーでも、立派なものをよく見かけました。サシの入らない赤身のお肉が主流ですが、どこで食べても柔らかくておいしいのが印象的でした。

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上:スーパーで買ったTボーンステーキを、友人がおうちで焼いてくれたもの。スーパーには豪快なお肉のほか、お肉を焼くための多種多様なスパイスも売られていたのが印象的。

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上:ステーキハウスのキッチンを見学させてもらった時の、お肉の貯蔵庫の様子。赤身のお肉を熟成して出してくれるお店だった。

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上:同じお店のステーキ。欧米の流行に則っているのか、「グラスフェッドビーフ」と「グレインフェッドビーフ」を食べ分けられるのが看板メニューのようだった。たぶん流行は「グラスフェッド」なんだけど、昭和生まれの舌には「グレインフェッド」の方が柔らかくておいしかった...

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上:南アフリカの国民食とも言える「ビルトン」(乾燥させた牛肉。ビーフジャーキーのようには乾燥させきらず、ちょっと生っぽいのがまたおいしい)。ステーキハウスで出していたビルトンは、スーパーで売っているものとまるで違って、びっくりするおいしさだった。持ち帰れないのが残念。

ジビエもおいしい!

そんな牛肉以上に琴線に響いたのが、ゲームミート、つまりジビエです。豊かな自然と気候のおかげで、南アフリカでは日本では食べられないような種類のジビエをいただくことができます。代表的なものは、ダチョウ、クドゥ、スプリングボックなど。総じて赤身で柔らかく、牛肉よりもさらにさっぱりとしたものが多いです。また、鮮度が良いのか、クセや臭みも感じないのが印象的でした。

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上:ヨハネスブルグのフォーシーズンズホテルで食べたダチョウのグリル。ダチョウ肉は南アフリカのローカル食材の代表格のようで、ヘルシーさも相まって、推しているお店が多かった。肉質は、鶏肉のような白いお肉ではなく、かなりしっかりとした赤身肉。筋が多いようで、お店によってはパサついたり固かったりすることもあったが、このフォーシーズンズのグリルはものすごく柔らかくて絶品だった...。

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上:友人が食べていたスプリングボックのカルパッチョ。こちらも綺麗な赤身で、生ハムとマグロの刺身の中間のような感じ。ジビエをカルパッチョでいただくのは少し衝撃的だったが、マリネされたフルーツとよく合っておいしかった。

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上:ヨハネスブルグのレストランで食べたダチョウのステーキ。フォーシーズンズのものに比べると固かったが、味わい深くておいしい。トロピカルなソースがよく合う。

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上:こちらはラム肉のタジン。旅の終盤、汁物や煮込み料理に飢えていたので頼んだ。なぜか南アフリカには、スープのような料理があまりなかった。ただ、都市部には多種多様なレストランがあるので、お店を選べばエスニックや中華・韓国料理なども食べられる(和食は少し高い)。

おしゃれなカフェ飯も充実!

意外性が高くて印象に残っているのが、日本で言うところの「カフェ飯」たちです。エッグベネディクトやブリトーなどを提供しているカフェが多く、朝食やブランチのお店には事欠きません。またこの国は、「アボカド」がやたらとおいしい!おそらく国内生産しているためと思われる、フレッシュでむちむちのアボカドを食べたくて、ブリトーをよく注文してしまいました。

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上:ケープタウンのカフェで朝食に食べたエッグベネディクト。スモークサーモンもしっかりおいしかったが、このお店はビーチ沿いで景観も良く、ここはハワイかな...?という気持ちになった。

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上:ブランチ営業中のビアバーで食べたブリトー。クラフトビールもきっちり飲みました。

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上:別のカフェのブリトー。アボカドとクリームチーズがとてもフレッシュでおいしい。写真ではわかりにくいが、サイズも大きくて、これだけでおなかいっぱい。

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上:これはカフェメニューではないけど、おいしくて、日本に上陸してほしいなぁと切に願ったファストフードチェーンの「ナンドス」。KFCみたいなポジションで、フライドチキンではなくグリルチキンを売っている。安価なのにおいしいしヘルシー。ちなみに南アフリカの定番調味料に「ペリペリソース」というチリソースのような辛いソースがあるが、スーパーの棚を1番取っているペリペリソースは、このナンドスが出しているものだった。

スーパーも楽しい!

最後に番外編として、スーパーマーケットの様子と、そこで買えるお土産情報を紹介しておきます。と言っても、私たちが行ったのは高級めのスーパーばかりだったので、リアルな買物事情はお伝えできないかもしれません。

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上:「ジャクソンズ」という、相当ハイエンドなスーパーの様子。カフェのような内装の(実際にカフェも併設)ゆったりとした空間に、オーガニックでピカピカの生鮮や、おしゃれな加工品が並んでいる。価格は安くはないが、日本ほどは高くないという印象。

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上:お土産に人気の「オリックスデザートソルト」シリーズ。南アフリカは黒胡椒や塩、その他スパイス類がとても豊富で味も良い。パッケージもおしゃれなものが多い。

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上:アボカドオイルもよく売っているのを見かけた。こちらは日本円で500円くらいなので、日本で買うより断然お得。

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上:こちらもお土産の定番、ペリペリソース。様々な種類がたくさん売られているが、ナンドスのペリペリソースはパッケージも可愛いのが良い。

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上:スーパーで目についたものを買ってきて作った食卓。野菜、パン、チーズ、ワイン。どれもおいしかった。手前のアボカドは醤油わさびで食べたら最高だった。

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上:今回の旅行で私が買ったお土産たち。食べ物は、南アフリカ名産のルイボスティーやチョコレート、各種スパイス、オイル、ビルトンなど。他に、「シュエシュエ」という布を使った製品や、南アフリカの花をモチーフにした明るい色使いのポーチ、ビーズ細工や、アフリカの作家物のアクセサリーも可愛かった。この他に別送で、ワインも6本購入。

また行きたい、南アフリカ!

遠いし、治安も良くないし...と、日本にいると良いイメージを持ちづらい南アフリカ。今回の旅は友人のアテンド力に依るところも大きいとは思うものの、実際に行ってみると、「食」を切り取っただけでも、こんなに豊かで魅力的な国なのでした。
確かに都市部の治安はよろしくはないのですが、その一方で発展のスピードも目覚ましく、近年は物価も急上昇してきているそうです。親世代にとっては、昔のアメリカと状況が似ているのだとか。
もしも機会に恵まれることがあれば、高級な旅行先になってしまう前に、足を運んでみると良いと思います!

note初心者です。発信力を研鑽したくて書いています。