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コンテンツ東京2019 新設ゾーン観察:ブロックチェーン&VTuber

㈱クロスデジタル CEO・㈱ブロックチェーンハブ CMO の増田 剛です。

先日2019年4月3日(水)〜5日(金)、東京国際展示場(東京ビッグサイト)においてコンテンツ東京2019が開催されました。

当展示会イベントでは以下の7つのコンテンツ系EXPOで構成されており、東京国際展示場の西館1階・2階を使って行われました。
・ライセンシングジャパン
・先端デジタルテクノロジー展
・クリエイターEXPO
・コンテンツマーケティングEXPO
・映像・CG制作展
・広告・デザインブランディングEXPO
・コンテンツ配信・管理ソリューション展

東京国際展示場には久しぶりに来場しましたが、来年の東京オリンピック2020を控え、青海展示場が2019年4月、南展示場が2019年7月に新規オープンする一方で、東展示場が2019年4月から利用制限に。1996年4月の開業から早くも24年、いまなお展示会業界では中心的な存在であり、五輪期間中の影響は心配されるところではあります。

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今回、コンテンツ配信・管理ソリューション展の一画に、「ブロックチェーンゾーン」が初めて設けられました。コンテンツビジネスとブロックチェーンは親和性が高く、現地の様子を見に行ってきました。

今回出展していたのは以下の5社(意外に少ない・・・)。
・Sony Music Entertainment / Sony Global Education
・CFunジャパン
・LastRoots
・アートリガー
・クリプトグランズウェル
正直もっと多いかと思ったのですが、ブロックチェーンに対する幻滅期・仮想通貨の冬など、一時の投機的な熱狂過ぎ去りし現実といったところ。しかしこの規模のゾーン設定で「ブロックチェーンゾーン作りました!!」と声高に宣伝するのはやや行き過ぎのような気も・・・。

Sony Music Entertainment / Sony Global Education

Sonyグループは以前からブロックチェーンの活用には非常に積極的でした。今回も他の出展者に比して大きな陣取りです。内容としては昨年10月に発表したデジタルコンテンツ権利情報処理システムについて。

ブロックチェーン基盤を活用したデジタルコンテンツの権利情報処理システムを開発(教育コンテンツを始めとした多様なデジタルコンテンツに適応)
2018年10月15日
ソニー株式会社、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント、株式会社ソニー・グローバルエデュケーションは、ブロックチェーン技術を応用してデジタルコンテンツの権利情報処理を行うシステムを開発しました。本システムは、ソニーとソニー・グローバルエデュケーションが開発した「教育データの認証・共有・権限管理システム」をベースに、デジタルコンテンツに関わる権利情報を処理する機能を追加した新システムとなります。
(出所:Sony公式)

音楽・映像・VRコンテンツ・電子書籍などのデジタルコンテンツには著作権・利用権など様々な権利関係が存在します。これらの権利情報をブロックチェーンに記録し改竄されないかたちで証明することができれば、コンテンツ作成者も安心して制作に励むことができ、また二次流通のマーケットプレースができることにより、利用者の裾野の拡がりも期待されます。

教育の分野ではSonyグループが展開するロボット・プログラミング学習キットKOOVでの学習履歴の記録管理が紹介されています。なお、KOOVのネーミング由来は・・・

「K」と「V」はプログラミングに使われる「<」「>」を連想させ、また、「Key(キー)」と「Value(値)」を表してもいる。ふたつの「O」は無限マーク(∞)も意味し、「想像力が続く限り、KOOVでは無限の組み合わせが可能だ」ということを表現しているという。
(出所:WIRED 2016.3.10

また、Sony主催のオンライン算数大会「世界算数(Global Match Challenge)の成績証明の記録管理にも、2017年12月に開催された第5回大会から試験運用が始まっています

CFunジャパン

韓国発の漫画・動画などの所有権・使用権管理プラットフォームで、「米国・日本・韓国などのコンテンツ供給地と中国・マレーシア・ベトナムなどのコンテンツ消費地を結ぶ」ことを標榜しています。

CFUNWORLDは2018年末で米国証券取引委員会(SEC)にSTO登録を行い、世界で初めてSECによるセキュリティ・トークン販売許可を受けた二次元ブロックチェーンプロジェクトとなりました。
(出所:CFun公式)

LastRoots

仮想通貨c0banを使った動画広告・取引所・送金/決済に取り組み。なお、仮想通貨交換業としては未登録の「みなし業者」にあたります。昨年8月にSBIホールディングスから出資を受けていましたが、今年2月にオウケイウェイヴがSBI持分を買い取り子会社化されています。今後、オウケイウェイヴのもとで登録をm昨年8月にSBIホールディングスから出資を受けていましたが、今年2月にオウケイウェイヴがSBI持分を買い取り子会社化されています。今後、オウケイウェイヴのもとで登録を目指すということでしょう。

アートリガー / クリプトグランズウェル

アートリガー:クリエイター・クライアントのマッチング(コミュニティ内通貨「WOW!」を使用)

クリプトグランズウェル:ブロックチェーン開発。今回はNEMベースのデジタルトレーディングカードや競馬ゲームなどを紹介。

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ブロックチェーンゾーンの他に、注目された新設ゾーンとしては、映像・CG制作展におけるVTuberゾーン。

upd8Activ8株式会社のVTuber支援プロジェクトで、読み方は「アップデート」)の存在感はやはり大。

upd8の看板VTuber キズナアイも、最近マスへの露出が増えてきたような。
阪神タイガースのマスコット・トラッキーとのコラボ動画(2019年4月)
NewsZeroに生出演し有働アナと対談(2019年1月)
ソフトバンク iPhone発売イベントに出演(2018年9月)
Lawson大型キャンペーン(2018年6月)

他展示と比べて、(パネルはキャラを前面に押し出しているが)ビジネス面を強調した説明をしていたのが印象的。

株式会社スパイスはモーションキャプチャの実演で注目を集めていました。

スパイスのブースでは、昨年11月に当社が提携を発表した株式会社オプトの企画した茨城県公式アナウンサーVTuber「茨ひより」の紹介も。

地方自治体での活用が進んでいるという事実は、VTuberというメディアが一定の市民権を得てきた、ということなのでしょうか。おそらく、VTuberを商材にしたビジネスは今後益々拡大していくことが予想されますし、期待もされます。一方で、今後VTuberが濫造されていくとすれば、それはかつての「ゆるキャラ」ブームを思い起こす既視感。

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今回のコンテンツ東京2019は規模が大きく、また複数のEXPOの複合体のため、やや雑多な感じは否めませんが、今回取り上げたブロックチェーンやVTuberなど新しいものが散見されて、面白いですね。

主催者によると、来年はブロックチェーン単体でEXPOを立てるとのこと。来年、ブロックチェーン業界がどうなっているのか・・・!

(以下、おまけ)

併設のクリエイターEXPOはこんな感じ。