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2024年3月に読んだ本

3月は疲れていたので、エンタメ多めに。スキマ時間の読書が多かったかな。

創約とある魔術の禁書目録9/鎌池和馬

単体で書いてます。

不思議の国のアリス/ルイス・キャロル

あらゆる創作物に引用されるアリス。初めて読んだのは高校時代で、その頃はなんだかよく分かんなくて挫折。その後も何度も登場し追いかけてくるアリスに白旗をあげて再び手に取った。(禁書目録にも創約になってからアリスが登場するぞ!)
高校の頃は起承転結の一般的な物語(ラノベ、エンタメ、人気作)を読んでいて、それらの安心感に慣れ親しんでいた。だからナンセンスなアリスにはどうやって読んだらいいのか分かんなかったのだと思う。逆に小、中学生ぐらいならば素直に目の前の文章を追って読める気がする。

今だとアリスに対して「こういうもの」という知識があるからあの頃よりは面白がって読めたんじゃないかなと思う。構造や筋は気にしないで、シンプルに目の前の文章や言葉遊びを読んだだけなのだが。

ロリータ/ナボコフ

世界文学で、技巧に凝った小説という先入観というか情報を元に読み始めた。凄さを説明する感想は書けそうにないので訳者の解説や別の方に任せるとして、素直に感想を書いてみる。

動機は100分de名著のローティ回にて引用されると聞いたからだ。(ローティ回そのものには虐殺器官を引用するという情報から釣られた)
ローティへの感想は今回は無し。「ロリータ」のみの感想を。

気持ちの悪い小説、変態小説と称されることも多い本作をぼくは素直にその気持ち悪さを堪能していた。倫理的にはズレているけれど、同等の気持ち悪さはコミックやアニメに幾らでもある。要はコミックやアニメのような感覚で読んで、楽しんでいた。
年端のいかない女の子を男の大人(年齢不詳、若くてイケメンに描写されるけど不明瞭)が連れ出してあんなことやこんなことをなんやかんやする話(誤解を生みそうな説明だけど間違ってない)

第一部は主人公の語りがあたかも正常なようで、さも自分が変態じゃないかのように正当化している。信頼できない語り手だ。やたら美文でナルシスト的な気持ち悪さも引き出している。読み味が良い。ロードノベルとしても読める。乗城雄介の「旅する練習」がたしか似たキャラ配置で読んでみたい。

第一部は素直に面白くて、サクサク読んでいた記憶。あたかも純愛かのように見える関係性が変な気持ちにさせる。

第二部からは偽装が徐々に瓦解し、第一部にかけられた魔法が解け、怪しさ、気持ち悪さが増す。小説にかけられたギミックも主張し始める。主人公に謎の暗号が現れ、ミステリ的な展開も動き出す。

正直第二部は間延びした感じがして、意志の力で読書していた。様々なギミックが仕掛けられていることが解説にあり、再読の勧めが書かれている。ギミックに気を配ると更に面白いのだろうけど、良い読者では無いぼくは、再読するにしても何年も経った後になるだろう。

よく分からない暗号から解釈を試みるという行為はピンチョンの「競売ナンバー49の叫び」の暗号から暗号を見出して、陰謀論じみた解釈を生み出すあの感じを思い出す。「ロリータ」の主人公も「ロリータ」のギミックを読み解こうとする読者も近い立ち位置に立たされてる。

調べてみるとピンチョンはナボコフの講義に出ていたらしい。「競売ナンバー」はピンチョン自信がナボコフの著作を解読する様子を書いたのかもしれない、とその場で思いついた解釈を書いてみる。解釈の膨らましは楽しい。
けれども、のめり込んで呑まれないようにと自分に戒める。

貧しき人々/ドストエフスキー

2作目のドストエフスキー。「罪と罰」を1冊目に読んでいて、次は「カラマーゾフの兄弟」予定していたけれど、ドストの熱い語りをもっと読んでたいな~という気持ちになって、どうせなら順番に読もうと思って「貧しき人々」をチョイス。少女とくたびれたおじさんが手紙をやり取りする話(誤解を生みそう)
偶然にも「ロリータ」と構図がにていて、「アリス」もロリータ小説で、dlsiteでロリに規制がかかるロリータ月間に。

「ロリータ」のような気持ち悪さは一切なくて、おじさんと少女が家族に示すような親愛をそれぞれ持っていて、大切にしているが故の人間らしいすれ違いがあり、とにかく、人間模様を書くのが上手いなと思って読んでいた。

ついでに作中で引用されていたゴーゴリの「外套」も読んだ。主人公(おじさん)の立ち位置が「外套」に寄せていて意識された物になっているから、今から読む人は「外套」もセットに読むといいと思う。

夏への扉/ハインライン

なんとなく「君の名は」とか「時をかける少女」みたいなエモエモ系でスリリングなジュブナイルSFだと想像していたら、動的な動きよりも街の描写とか未来ガジェットが作品を立ち上げるような、細かさが凄く良くて、期待以上に面白かった。
すぐに否定するようで変な感じになるが、ストーリーは結構大味で(強引、ツッコミどころがある)、細かくないし終盤は最大風速で駆けるスリリングさもある。
でもそれは物語を収めるため、読者を酔わせるためのテクニックで、本質は未来の街や生活に近いガジェット達にあると思う。
時間移動のプロセスにもさほど凝っていない。冷凍睡眠はH.Gウェルズの引用と作中で明言しているし、タイムマシンによる移動もかなり無理矢理だ。未来の街を描きたい、という目的の為に時間移動という手段を用いたのではないだろうか。

あと序盤の会社乗っ取りはSFとか関係なくすっごい面白くて、ストーリーテラーだな~と楽しく読んでいた。

若草物語1/オルコット

佐藤友哉先生のお腹から出てくる小説(『僕のお腹の中からはたぶん「金閣寺」が出てくる。』参照)
知り合いから「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」という映画の話を聞いたのがきっかけ。せっかくなら原作を読んでから映画を見てみたいと思って読んでみる。お風呂のお供にちまちまと。
ちょっと説教くささはあるけれど、それぞれキャラが経っていて良いんじゃないでしょうか。少し古めの吉田勝江訳で引き続き2を読んでいる。

オーバーライト 2巻/池田 明季哉

お気になラノベ。イギリスを舞台にグラフティに音楽に、想いを乗せた創作を描く青春小説。
ぼくは創作というテーマに弱い。作り手の小説哲学が分かるからだろうか。
キャラクター達の熱さが向こう側の読み手まで動かせる。

しあわせの書ー迷探偵ヨギガンジーの心霊術/泡坂妻夫

※「世界でいちばん透きとおった物語」のネタについて触れてます。
「世界でいちばん透きとおった物語」のフォロー元ということで購入。
「透き通とおった」は好きでは無かった。ギミックの為だけの小説になっているからだ。
京極夏彦の名を出したのも良くない。
京極夏彦は読者を驚かせる為にレイアウトにこだわっているのではなく、読ませるための手段としてこだわっているだけなのだ。
そして、肝心の小説部分が面白くなかった。
そんな「透きとおった」の元ネタということで多少不安があった。杞憂だった。「しあわせの書」は小説として、ミステリとして面白く、その上で「透きとおった」のようなトンデモギミックが搭載されているのだ。ギミックは物語の味付け程度の役割で、主ではない。「透きとおった」の不満点を全て解消していた。ぼくは断然「しあわせの書」が好きだ。

少女星間漂流記/東崎惟子

新刊のラノベ。SFっぽさから興味を持って。
短編集というよりはショートショートか。「キノの旅」みたいなイメージを持ってもらえれば分かりやすいんじゃなかろうか。読んだことないけど。

女の子二人が地球から移住するため星を渡り歩く。で、その星にはそれぞれ変わったルールや倫理観があって、異星人に巻き込まれたり、観光したり、とそんな話。
女の子の片方が戦闘がめっちゃ強い設定だから住人とドンパチする展開が多い。そのせいか異能バトル物として読んでいた。星のルールを探って、弱点を見つけて、ドンパチしたり、逃げ出したり。ジョジョのスタンドバトルを思い浮かべていた。
小、中学生の朝読書とか通勤時間とかスキマ時間にオススメ。

柳生忍法帖 上/山田風太郎

下を読んだらまとめて感想を出す予定。
すごーーーくおもしろい。Theエンターテインメント。





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