ハッピーバレンタイン!ゴーイ観察日記(ゴーイの担任の語り)より
みなさん、こんにちは、ゴーイの担任です。ゴーイのこと語る前に、自己紹介させてください。私はルーメー神聖霊国出身で、普段はゴーヤード王国の学業区にある王立学校で教鞭をふるっております。担当は、初等科の教科全般的です。趣味は多肉植物を育てることで、特技は・・・、あっ、ゴーヤード王国に関してはこちらの記事をご覧ください。
・・・ということで、私のことはまた機会がありましたらお話します。本題はゴーイのことです。彼が授業をさぼるようになってからは、毎日観察日記をつけるようになってました。
バレンタインデー
いつものように日記をつけようと思ったのですが、今日はバレンタインデーというじゃありませんか!?なにやら校門が騒がしいと思っていたら、そういうことですね。
北東の国よりバレンタインという文化が入ってきて、早58年、節目の年です。そしてバレンタインとは、パブリックに愛の告白をする日ですね。私も若いころはそれはそれはモテてモテて、毎回のように私の前には行列ができていた・・・夢をよく見てました・・(-_-;)
私のことはどうでもいいのですよ。今回のバレンタインデー、いつもと雰囲気が違いますね。例年だったら、ゴークァくんに集まっていた子たちも、どうやら、動かず誰かを待っているようでした。ゴークァくんもそれなりにもらっているようでしたが、どこか悔しがっているようです。
ゴークァくんが悔しがるものは何者でしょう?しばらく待ってみましょう。
待っている間、うちの生徒の名簿でも見直しましょうかね。
生徒名簿
ゴーイ
ゴーヤード王国で久しぶりに生まれた純血のゴーヤボーイで、私のクラスの問題児。
ゴチ
ゴーヤイヌ。ゴーイと仲がいい。自由奔放で、ゴーイの次に問題児。普段は二足歩行。私のクラスの子。
ゴーハ
ゴーヤとハブのハーフの女の子。ピンクのかわいいものが好き。隣のクラスの子。ゴーシャと仲がいい。
ゴーシャ
霊力科の優秀な生徒。霊力も学力も申し分ないが、極度の恥ずかしがり屋なため、普段足以外はすべてゴーヤに隠している。ゴーハと仲がいい。
ゴーヤム
霊力科の子で、ゴーシャと同じクラス。身体が大きいため、教室に入らないので、いつも外で授業を受けている。誰に造られたか不明な人工ゴーヤン。ゴーイの仲間。
ゴークァ
上の5人より学年が上。成績優秀、スポーツ万能、イケメンで学級委員長。目立つことが生きがいなところもある。でもモテる。派閥の頂点。
次は、王女姉妹の・・・
!?
外が一段と騒がしくなりました。一旦名簿チェックはやめにします。
モテるとは
どうやら、ゴークァくんを悔しがらせるものがやってきたようです。
うん??
いつもの5人組ですね・・・
校門で待っていた子たちは、獲物を狙うケモノのような目で光のごとく駆け出します!
誰に向かっているか、予想できませんでした。5人組のうしろに誰かいるのかと思いました。
ゴーヤムにぶつかる子もいっぱいいましたが、どうやら違うようです。
目を疑いました。
まさか!?まさかのまさか・・・
ゴーイの周りに群がります。そして、義理なのか本命なのかバレンタインゴーヤが積みあがっていきます。
くぅ~~~~うらやましい・・・
・・・は!
ハハハ・・・ゴーイなわけ、あるのね。
騒ぎを聞きつけ、全校生徒や先生たちも窓から身を乗り出します。
なんで、なんで!?ゴーイなの?
渡し終えて帰って来た子に聞いてみました。
「だって、先生とのかけっこのおかげで、授業早く終わるし、そのお礼」
「それだけ?」
「それにかわいいし、なんか」
「そうなんだ・・・ありがとう」
ゴーヤを渡した子たちはみんな嬉しそうな顔して、教室に戻っていく。
意味がわからない。私とゴーイの追いかけっこのお礼って、そんなんでバレンタインゴーヤがもらえるなんて。
なんて、うらやましいんだーーーー!!
はっ!
それだったら、私にもゴーヤをくれてもいいはずだが・・・なんで・・・
顔を洗ってこよう。
戻ってきたとき、騒ぎはなくなっていました。しかも、大量のゴーヤと5人組もいないようです。
ゴーイたちの行方を聞くと、学校裏に行ったようでした。またサボるのか。様子を見に行かなければ。他の先生に1限目自習を言い渡し、私も向かいました。
ゴーイ意外とモテる
なんて量のバレンタインゴーヤなんだ!?ゴーヤムくんより高く積みあがってるじゃないか!!
くぅ~~~~ちょっとわけて・・・
は!?
うん??ゴーイの様子がなにか変だ。小刻みに震えている。と思ったら、黄色のオーラに包まれ始めた。なんだ?テンションがあがっているのか?
てか、テンションもっとあげて騒ぐぐらいだろ!それぐらいの量のバレンタインゴーヤもらっているし。ゴチが騒いでいるのが普通でしょうよ。
それより、女の子たち、どこにいったんだ・・・?
あれ??遠くに・・・
まあいいか。
ここは、担任としてガツンといわなくては。私はゴーイたちに近付いた。
「あ、先生!」
「おはよう、ゴチ」
私はゴーイの目の前に立った。
「・・・」
「先生、見てこれ、すごいでしょ」
「・・・」
「どうしたの、先生?」
「ゴーイ意外とモテる・・・」
「だよね、びっくりだよね」
「まあ、私にはかなわな・・・」
「先生、好きなゴーヤあげるよ」
え!?
ゴーイ観察日記
「・・・と、まあ、なんとも騒がしいバレンタインデーでした。了」
私はゴーイ観察日記を閉じた。一連の騒動を想い出しながら、ほくそ笑む。
ゴーイいいところもあるんだな。
と、担任は目の前のゴーヤに手を伸ばした。
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