ごまばなな

30代。女性。人から評価されることを気にせずに自分を表現できる場がほしいと思いnote…

ごまばなな

30代。女性。人から評価されることを気にせずに自分を表現できる場がほしいと思いnoteを始めました。読書/映画/ラジオ/発酵食品etcが好き。

最近の記事

『犬のかたちをしているもの』女性として生きることのやりきれなさ

 高瀬隼子『犬のかたちをしているもの』の読書感想文です。  ひとことで言うと、「女ってやりきれないなぁ」というのが感想です。  高瀬隼子さんは『おいしいごはんが食べられますように』で第167回芥川賞を受賞された作家さんです。そんな高瀬さんのデビュー作が『犬のかたちをしているもの』で本作で第43回すばる文学賞を受賞されています。  以下、あらすじです。    女性は大人になると、結婚、妊娠、出産、子育てというルートを通るものだと社会的にみなされている。私は既婚者で子ども

    • ザワークラウトと私

       3年ほど前からザワークラウトを作り続けている。  ザワークラウトとはいわゆるドイツのキャベツのお漬物だ。酸っぱさが特徴で、その酸っぱさからお酢が使われていると思われがちだがお酢は使われていない。  きっかけはコロナ禍でお家時間が増えたことと、もともと私が胃腸の調子が悪くなりやすく、何かいいものはないかとネットで調べていたところ、発酵食品のザワークラウトが腸の調子を整えるということが分かったことだった。  作り方はいたってシンプル。千切りしたキャベツに総重量の2%程度の

      • 父から息子へと受け継がれる「強さ」という呪縛 ー映画『The Son 息子』感想文

         『The Son 息子』は『ファーザー』で老いゆく父の生きる世界をミステリータッチで描いたフロリアン・ゼレールの監督作品第2弾。父と息子のすれ違う思いがひしひしと胸をうち、最後の衝撃を受け止められずに思わず涙してしまう。  キャッチコピーは 愛しているのに届かない親と子の<心の距離>を描く、衝撃と慟哭の物語 ーーーここからネタバレあるので、ご注意くださいーーー 息子ニコラスのよき理解者であろうとする父ピーター   タイトル『The Son 息子』があらわすように、父と

        • 読書感想文『覚醒するシスターフッド』

           「シスターフッド」女性同士の連帯。#Me Too運動の高まりとともによく耳にするようになった。#Me Too運動のような大きな社会運動だけではない、身近なところにあるシスターフッドに気づかせてくれる物語が『覚醒するシスターフッド』だ。現代を代表する国内外作家10人が描いた短編を集めたものであり「覚醒するシスターフッド」特集の『文藝』(2020年秋号)を増補の上、単行本化したものでだ。  収められているのは以下の10編。 サラ・カリー『リッキーたち』 柚木麻子『パティオ8』

        『犬のかたちをしているもの』女性として生きることのやりきれなさ

          【読書感想文】READING WOMEN 読書する女たち フェミニズムの名著は私の人生をどう変えたか

           昨年末にフェミニズムと出会ってから、まだまだ私のなかでフェミニズムに対する興味は渦巻いています。  そんななか、今回の読書感想文はアメリカの作家ステファニー・スタールのエッセイ『READING WOMEN 読書する女たち フェミニズムの名著は私の人生をどう変えたか』です。  この本が面白いのはフェミニズムの理論が著者のステファニーの生活と密接に絡み合って描かれているところ。まさにフェミニズムとは女性の人生、生活そのものだと感じられます。  ステファニーは第三波フェミニ

          【読書感想文】READING WOMEN 読書する女たち フェミニズムの名著は私の人生をどう変えたか

          【読書感想文】<おんな>の思想 私たちは、あなたを忘れない

           昨年末に図書館でたまたま目について借りて、時間がかかったものの、ようやく読み終えました。  一言で言うなら、「読み応えのある本」です。頭めっちゃ使います。  著者は社会学者で女性学、ジェンダー研究である上野千鶴子先生。その著者の思想や人格形成に大きな影響を与えた様々な著作が紹介されています。いわば、「わたしの血となり肉となったことばたち」。そのことばたちを紹介するとともに、そのことばたちから著者が聴きとり感じたことが書かれています。  取り上げられているのは、第一部は

          【読書感想文】<おんな>の思想 私たちは、あなたを忘れない

          器の大きい人って?

          「器の大きい人になりたいとは思わない?」  先日、夫とケンカしていたときに言われた一言。  そのとおりです、器の大きい人になりたい。  正しい。でも、なんだかその一言にモヤッとした。どうしてだろう。しばらく考えてみた。考えたことを言葉にして残しておきたくなった。  きっかけは私が仕事の愚痴をもらしたことだった。「今日職場でこんなこと言われたんだけど、困るよね」という他愛もない愚痴。それに対し夫が「そんなの社交辞令なんだしほっときゃいいじゃん」と軽くあしらわれたうえに、

          器の大きい人って?

          【読書感想文】「事件」ー著者の体験を追体験する勇気はあるか

           本年2冊目の感想文です。  今回取り上げる本は、フランスの女性作家で2022年ノーベル文学賞を受賞したアニー・エルノー著『事件』です。  1963年、当時女子大生であった著者「わたし」は意図せず妊娠したことに気づく。当時、妊娠中絶は非合法であった。貧困層の生まれであった「わたし」が被支配層から抜け出すためには出産により大学を中退するわけにはいかない。「わたし」は違法であった妊娠中絶処置を秘密裏に受けることを決めるー。  「この話を書きはじめて一週間たつが、この先続けら

          【読書感想文】「事件」ー著者の体験を追体験する勇気はあるか

           【感想】『100分deフェミニズム』ー性の主体性は誰のもの?

           今回は『100分deフェミニズム』というNHKのテレビ番組の感想です。ご存知の方も多いと思いますが、『100分de名著』という番組のお正月特番です。年末年始に上野千鶴子先生の『女ぎらい ニッポンのミソジニー』という本を読んで、フェミニズムへの関心が高まっていたところに特番があったので見てみました。その感想です。 (『女ぎらい ニッポンのミソジニー』の感想はこちらです。よかったらご覧くださいね。)  まずざっくりと番組内容の紹介です。NHKのHPより引用です。  ゲスト

           【感想】『100分deフェミニズム』ー性の主体性は誰のもの?

          【読書感想文】「女ぎらい ニッポンのミソジニー」

           明けましておめでとうございます。  去年から始めたnoteですが、更新をさぼっていました…今年はもう少し読んだ本や見た映画についての感想を書くことを目標にしたいと思います。  本年一つ目の感想文は『女ぎらい ニッポンのミソジニー』上野千鶴子著です。2010年発行ということで、さほど新しい本というわけではありません。ですが、本年一冊目に私が新しいことに触れ合えたことを感謝できる本となりました。  出会いは、去年の年末に年末年始の休みに読む本を図書館で探していたところ、た

          【読書感想文】「女ぎらい ニッポンのミソジニー」

          すっぽりと時空間から消えた私

           しばらくnoteから逃げてました。  Twitterは文字数も少ないので、思ったことをがんがん書いてたのですが。私が何書こうが誰も興味ないよね、なんてちょっぴり落ち込んだり。  もともと眺める専門だったTwitter に書き込むようになったのも、noteに書くようになったのも、ただただ私がアウトプットできる場が欲しかっただけなのに。でも、誰かからいいねもらっちゃうと、いいねがないともうダメなんだ、って思ってしまう。誰からもいいねをもらえないと、すっぽりと時空間から私とい

          すっぽりと時空間から消えた私

          【読書感想文】「タダイマトビラ」 ー「本当の家」ってなんだろうー

           図書館に本を借りにいき、カタカナだけの「タダイマトビラ」というタイトルに目がいった。家に帰るときに言う「ただいま」という言葉から、なんとなく家族の話なのかな、と想像をする。それにしてもどうしてカタカナなんだろう、などと思い手にとってみた。表紙は柔らかなピンクの布に水色のドレスを着た女の子がくるまわれていて可愛らしい。  主人公は子どもを愛せない母親のもとで育った少女、恵奈。虐待をされているわけではなく、食事の用意など家事はしてくれるけど、決して愛情を向けてくれない母親。父

          【読書感想文】「タダイマトビラ」 ー「本当の家」ってなんだろうー

          『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』感想文   ー「真摯に」相手と向き合うことの大切さー

           映画『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』を見てきました。1990年代のニューヨークが舞台なのですが、街並みや服装がおしゃれで音楽も優しく素敵で、派手さはないもののじっくりと心に語りかけてくれる私好みの映画でした。  まずもっての感想はもう映像がおしゃれ!90年代ニューヨークの街並みも素敵だし、なんていったってシガニー・ウィーバー演じる女上司マーガレットの服装が素敵!どの服装もおしゃれなんですけど、グレーのパンツに合わせて辛子色のカーディガンを肩からかけていた服装ができる女上

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          夫との関係をもう一度考える

           今、本当は見た映画とか読んだ本の感想をまず書こうと思ってたんですけど、また夫との関係で自分を見直す機会が来たので、とりあえず言葉に残しておきます。  BSの番組で、各国の国境を歩くっていう番組があるんです。その番組をたまたま夫と一緒に見てたときに、オランダのとある街の中にベルギーの飛地が22もあって、オランダとベルギーの国境が入り乱れてる街を紹介してたんです。  私はそれを見て「日本だとなかなか国境が入り乱れるっていう感覚ないよね。ヨーロッパみたいに国が地続きってまた違

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          『シン・ウルトラマン感想』 父とウルトラマンの思い出

           庵野秀明さん企画・脚本(監督ではないのね)で話題の『シン・ウルトラマン』を一昨日観てきました。  「ウルトラマン、美しい」あの銀と赤に光るすらりとした体躯、なぜか菩薩のようにうっすらと笑っているように見える表情、まっすぐに両手を伸ばして飛翔する姿。美しいー。  とすっかりウルトラマンの虜になっております。米津玄師さんのMVに描かれている姿がとても美しいです。  私は特にウルトラマン世代ではなかったのですが、ウルトラマンは幼い頃の父との思い出の作品なのです。  幼い頃

          『シン・ウルトラマン感想』 父とウルトラマンの思い出

          怒りの気持ちを受け入れること

           子どもの頃から怒りとか悲しみの気持ちを表現するのが苦手だった。少しでもそういう気持ちを出すと怒られたから。でも怒りも悲しみも当然、嬉しいとか楽しいとかそういうポジティブな気持ちと同じで存在する気持ち。でもそういう気持ちを出すと怒られるから、そういうネガティブな気持ちはダメなものなんだ、って思ってた。  つい2日前、また夫と喧嘩してしまった。本当に些細な夫の一言に少し傷ついてしまい、「ちょっと怒ってるんだけど」と言ったら、「怒ったってしょうがないじゃん」と言われたことが決定

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