見出し画像

だからわたしはnoteをはじめた

どうしても捨てられない絵の具がある。

美術系高校に入学するときに買ってもらったものだ。

それは有名なアニメーションスタジオなどでも使用されている、いわゆる「プロ仕様」のもので、それを持っただけで、自分が「特別な人間」になったような気がしたのをいまでも覚えている。

「この絵の具と一緒に”わたしを表現していくんだ!”」

キラキラした未来を信じて疑わなかった。

そして現在、絵はまったく描いていない。

・・のに、絵の具はまだ押し入れに眠っている。

その絵の具を見るたびに思い出す「あの頃」の話と、そして「これからの想い」を、「いまここで」書いておきたいと思う。

ほめられる喜びを知った幼稚園時代

小さいころから絵を描くのが好きだった。

好きなマンガやアニメのキャラクターをマネして描くのが、ただただ純粋に、シンプルに、楽しかった。

そんなわたしに一つ目の転機が訪れたのは、幼稚園のとき。

当時大好きだったセーラームーンのうさぎちゃんの絵を描いて、先生に見せたところ

めちゃくちゃほめられた。

「わ~!ごまちゃん、じょうずだね~!」

と言ってくれた先生の笑顔は、いまでも忘れられない。(なんならその時着ていたチェックのエプロンすらも覚えている(怖))

その時、幼いわたしは思った。

「わたしは絵が得意なんだ!絵を描いたらこんなにほめてもらえるんだ!」

ほめられる喜びを知った瞬間だった。

それからは、より絵を描くことにのめり込んだ。

中学生くらいになると「絵が得意なわたし」に変なプライドをもつようになって、美術の授業でむりして「抽象的な絵」を描いてみたりしていた。(思い出すと恥ずかしすぎて死ねる)

そんな感じで、すくすくと育っていたプライドをバッキバキにへし折られる二つ目の事件が起きた。

それは冒頭でも話した「美術系高校」の入試の結果をみたとき。

美術系ということで、試験は普通科と美術科の二種類。

まずは普通科。平均85点くらいで、まぁまぁよかった。

そして、問題の美術の点数は・・

50点。

「・・50点。・・50点?」。点数が頭のなかをぐるぐる回った。

ショックやら、情けないやらで、とにかく笑うしかなかった。

簡単に言えば「普通科の点数でなんとか入学できた」ようなものだった。

今思えば、「人それぞれの”表現”に点数をつけるのはどうなんだ?」と思わなくもないが、入試だから仕方がない。

でも、自分なりに一生懸命描いたのだ。

絵が好きな気持ちと、小さなプライドをもって、一生懸命。

でも、50点。

「あぁ・・わたしは50点の絵しか描けないんだ」

そんな”レッテル”を自分自身に貼った瞬間だった。

その後は、授業で絵を描いていても、なにかを作っていても、「50点」がずーっとまとわりついてくる。

まわりには「80点や90点の絵が描ける友達」がたくさんいて、そんな友達をうらやましく思うたび、絵を描くことへの自信はどんどん小さくなっていった。

そして大人になったいま、絵は描いていない。

あんなに好きだった「描くこと」に苦しんでいる自分に気づいてしまったからだ。

純粋な”好き”が、いつしか人からほめられ、認められる手段へと変わっていった。

そして「自分よりすごい人」がたくさんいることに気づいて、それを受け止めることができなくて、みてみぬふりをした。

諦めた・・ふりをしていた。

その証拠に、いまでも押し入れに眠っているあの絵の具。

そう、あれはわたしの”表現すること”への未練だ。

もう我慢したくない

去年の大掃除でも、やっぱり捨てることができなかったあの絵の具。

いつまでとっておくんだろう?

あの絵の具をみるたび「50点」を思い出して、それでも捨てられない自分にうんざりし続けるんだろうか?

・・そんなのいやだ。

自信はない。でもほんとは表現したい。だれかに伝えたい。知ってほしい。認められたい。語り合いたい。

したい。したい。したい。したい。

欲求ばかりでいやになるけど、でもこれは心の底から思っていることだから。求めていることだから。

その欲求をがまんするのはやめよう。

自分の想いを伝えられるのは自分しかいない。

だから、汚くてもいい、へたくそでもいい。

どうしようもない欲求も、日々のしんどいことも、嬉しかったことも、愛する人のことも、ぜんぶ書こう。

だから、わたしはnoteをはじめた。

「こんなことして意味あるん?」って心の中の自分が聞いてくるけど、「そんなん今考えてもわかるわけないやん!」ってことで、やりたいから、やってみます。

あの絵の具についてはいったん保留で。

いつかまた描く日がくるかもしれないし、こなかったらこなかったで、まぁいいや。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?