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英語がうまく話せるようになるために

留学あるいは仕事で海外へ出ていく若者が増えつつあると言うニュースを聞くようになりました。また、ビジネスでの英語のコミュニケーションの重要性が注目されていますよね。

私は留学経験があり、ペラペラではありませんが英語を話すことができます。しかし、留学前は読み書きはある程度できましたが、聞いたり話したりすることは、ほぼ全くできませんでした。

そんな私が話せるまでになる経緯の中で学んだことをお話します。それが、英語のリスニングとスピーキングのスキルの向上や改善に悩んでいる人の参考になれば幸いです。

本日のメッセージ
英語の会話能力の向上に私が工夫して効果のあったこと3つを紹介します。
 ①会話の主導権を持つこと
 ②多様な人との会話をする機会を持つこと
 ③相手に対する関心を示すこと

多様な英語の発音とアクセントに振り回される

英語がうまくなるには、英語のネィティブの人たちとたくさんコミュニケーションをとって聞く話すことで、失敗しながら学びを繰り返すことが大切です。この理由をお話しします。

まず、リスニング力についてです。私たちは、中学、高校、また大学の英語教育を通して基本的な英語の発音を習っています。その基本は大事です。しかし、それだけで英語が聞き取れるかと言うと、ちょっと難しいのです。

理由は簡単です。日常生活で出会う人たちは私たちが教科書で習ったように発音するとは限らないからです。

これは英語に限らずどの言語でも同じではないでしょうか。例えば、日本語でも方言がありますし、標準語に近いものを話していたとしても、アクセントには微妙な違いがあります。

多分、自分の両親が標準語を話していなかった場合には、その子どもの話し方に影響が出ることは皆さんの経験からも簡単に想像できるのではないでしょうか。

英語でも同様で、発音は一人一人異なるのです。英語の語学学校の先生はなるべく癖のない英語を話そうとしていますから、語学学校内にいる限りはその違いからくる障壁はあまり感じないかもしれません。しかし、一旦外の世界へ出ると、多様なアクセントや発音の仕方があることに気づくと思います。

母国語でない言語を習い始めた初心者はその発音の「基本形」が全てと思いがちです。しかし、それだけでは、多様な変形バージョンの英語の発音についていけないのです。つまり、基本形からの微妙なズレを読み取れないと何を言っているのかわからず会話が成立しないと言うことです。これは、基本形に忠実に発音してもらったら理解できるのに、そうでないために聞き取れないという状態ですね。

私もトロントに住み始めて語学学校ではなんとか会話が成立するにに、道を歩く人から話しかけられても何を言っているのか分からず、「キョトン」としていたこともあります。

相手がイライラして何度も繰り返し、ああそうかと気づいたこともあります。特にトロントは人口の半数以上がカナダ以外で生まれた人と言われるほどの多民族な都市です。人々は多様な母国語をもとにそれぞれ異なった英語の発音で話すのです。英語の発音の多様性の幅はとても大きかったように思います。

これを克服するために、私が試みた3つのことをお話しします。

解決法1:会話の主導権を自分も握ること

一つ目は、会話の主導権を自分が握ることです。これはどう言うことか。少し遡って説明させてください。

相手の話を聞き取る上で大事なのは、その会話の文脈(コンテキスト)から想像力を働かせて、その会話の意味を類推することです。もちろん、会話の最中にこれを行うので頭の中はフル回転となります。この方法は有効かつ現実的な方法です。

これは私たちが母国語の日本語で話す時も行なっていることだと思います。無意識なので気が付かないと思いますが、私たちは相手の話している会話の一つ一つの単語を正確に聞き取って会話をしているかと言うと、必ずしもそうではないはずです。

例えば、自分と同じ職場やあるいはいつも一緒に遊ぶ友人などと会話をする時と、異なった業種の人や、同年代でも別の地域の学校に通っている人たちと話すときに、少し戸惑ったりすることがありませんか。なんだか、通じないな〜と思ったりすることはありませんか。

これは、同じ職場や学校や地域に住んで一緒にいる時間が長いと、相手との会話において同じ文脈を共有するので、話す出来事や現象の詳細を類推することができるのです。ですから、単語の一つ一つを正確に聞き取れなくても、いえ聞き取る努力をしなくても、会話の内容が理解することができ、スムーズなコミュニケーションが成立するのだと思います。

一方、異なった地域に住んでいる人や、異なった職業についている人と話すときには、その出来事や現象の文脈に共通性が少なく、会話の内容を類推することが難しいのです。このような場合には、私たちは会話の内容、つまり単語の一つ一つを正確に聞き取ること、つまり会話をより注意深く聞いていこうとすると思います。

英語でも同じで、自分がその会話の文脈を理解していると、案外単語の一つ二つがわからなくても、全体の意味は理解できることが多いものです。専門領域の学会で発表されることや、同じ業種での会話では割とスムーズに理解できる、という体験をした人も多いと思います。

ですから、会話の内容が聞き取れないなと思った時には、この原理を応用していくのです。今この人は何について話しているのだろうと考え、その文脈で何が語られようとしているのか大筋を掴みます。そうすると、なんとなくですが聞き取れるようになってきます。

このために何よりも効果的なのは、自分から積極的に質問をしてその文脈を掴み取ることです。そうすることで、相手が自分の文脈の理解ができていないことを理解して、話の内容をよりわかりやすく変えてくれることになります。

私は留学中は講義の際には、いつも質問をしていました。例えば北米では人間関係において”power”と言う表現を多用します。日本ではほとんど話題になりませんよね。ですから、この手の話になると、講義で何を一体討議しているのかわからなくなります。

そこで、私は「一体全体あなた方の言うPowerってどういう意味なのか」と質問をしてみました。そうすると、クラスメイトは一瞬戸惑っていましたが、すぐに私の質問の意図を察して、自分たちの文化ではどう言う文脈でこの言葉を使うのか、丁寧に説明してくれました。そこから、そのクラスの討議が一層活発になりましたし、私も意味を理解することで、討議の内容についていけ、積極的に参加できるようになりました。そうでなければ、私はクラスの中で一人取り残されてしまうところでした。

ですから一番ダメなのは、相手の話についていけない時に、相手に延々と話をさせてしまうことです。どんどんわからなくなり、お手上げ状態になります。自分も会話の主導権を失わないように、かといって嫌われない程度に会話に参加して、そしてその会話の文脈を掴み取っていくことです。

解決法2:多様な人と話すことで自分の発音を確認する

次はスピーキング力の改善にも効果的なことです。多様な人と話し、自分の発音やアクセントがどう受け取られているのかを知り、その反応をもとに自分の発音を改善していくことです。

同じ人とばかりいると、少々下手な発音や間違ったアクセントでも、最初は戸惑っても、時間が経つにつれ、だんだんその悪い発音にも慣れ、それをその人の発音の特徴だと学習してくれます。結果、その間違ったままの発音で話しても会話の意図を理解してくれるようになります。

これをそのままにしておくと、私たちの英語の話し方、特に発音やアクセントは一向に改善されません。

そこで、新しい人と出会い、きちんと発音しないと通じないことを体験することが必要なのです。壁打ちみたいなものですね。

例えば、はじめての人と会話をすると、vの発音は唇を前の歯で噛むとか、あるいはpの発音はしっかりと空気を前に出すとか、基本的なことですが、きちんとしていないと、通じないことが多いです。また、アクセントも非常に重要ですので、これを間違えると全く意味が通じないこともあります。

それで、とにかく多様な人と会話する機会を作り、自分の発音のどこを修正しないといけないのか、手がかりを掴むことです。

私がいくつか試みたこととして、ボランティアをしてみました。学生ではビザの関係で就労することが認められていないので働くことができません。でもボランティアは可能でありました。病院でのレクレーションワーカーのアシスタントをしてみたり、ホームレス支援の団体のディサービスのようなところへ出向いてみたりしました。

この時多くの新しい人との出会いで会話を通して、改めて自分の発音が悪いことに気づかされます。その気づきから、私は自分の欠点を知り、次はなんとか相手に伝わるように工夫するようにしました。

この効果を示す例としてネイティブの人と結婚した日本人の発音が良くならないという面白い話があります。

アメリカやカナダの人と結婚をした日本人が現地に長く住むにも関わらず意外と発音が日本人のままである人がいます。

これはなぜか。これは、自分の伴侶とだけ話す時間が多く、そのために、その伴侶(夫や妻)は相手の英語の発音が少々悪くても、長時間いるために慣れてきて、それで修正をしなくても理解できるようになってくれるからだと私は考えました。

私がカナダから日本に帰国する機内での出来事です。隣の席に座っていた女子大生は、母親が日本人、父親がアメリカ人でした。二人は結婚して以来20年以上アメリカで暮らしているそうです。

彼女が、驚いたように私に向かって言ったのは、私の英語の発音は自分の母親よりもずっとネイティブに近いと言うことです。私がまだカナダで住み始めて数年しか経っていない時のことです。その時私は「なるほど」と、私の仮説を検証できたような気がして納得したものです。

解決3:相手に関心を表明する

最後は会話をする相手に対する関心を持ち、それを表明していくと言うことです。

私たちは英会話と言うと、とにかく言葉の問題だと思いがちです。しかし、「会話」と言うのは相手があって成立するものです。一人で壁打ちをするのとはちょっと違います。壁に感情はありませんが、人には感情があります。

つまり、コミュケーションとは言語だけの問題ではなく、相手との関係性が大きく影響するのです。

カナダで現地のネイティブの人でも日本語を話したいと言う方もおられます。そこで、私は日本語の会話の相手となることで少しだけ報酬を得ていた時期があります。

この時に、その相手のカナダの人から言われたのは、多くの日本人とは会話が続かないと言うことです。その人曰く、日本人の若い人たちは会話そのものに関心がなさそうな人が多いと言うのです。

私はそうかなと少し疑問に思いました。私が日本人と話していて会話が弾まないことはまずありませんでした。いつも、たくさんのことを話して楽しい時間を過ごしていました。

と言うことは、そのカナダ人と話した日本人たちは日本人と話す時のように会話ができていないと言うことです。なぜなのだろうと思っていました。

私は、当時すでに40歳を過ぎていましたので、20代、30代の若い人たちがはじめてあったカナダ人とどのように会話を展開するのかよくわからずにいました。

しかし、あるとき日本人同士で話をしていて気がついたのです。日本の若い人たち(当時私が出会った)は、相手に対する関心を示すことがそんなに得意ではないと言うことです。

奥ゆかしさが出てしまうのでしょうか。意思表示が曖昧であったり、関心があるのに関心がなさそうなふりをしてみたり。

多分、私と話すときは、私がそれを読み取って会話をするので、それほど困ることはないのです。しかし、カナダの人と話す時には、それは通用しないのです。

だから、もっと自分の相手に対する関心をどんどん表明していくことが必要だと思いました。私はあなたに関心があり、だからあなたと話がしたいのだと。

これは多分相手に対する関心であり、それを示していくことです。私は、カナダに来て文化の違いをたくさん知りいつも刺激的でした。新しいことを知るのが、とても面白かったのです。ですから、とにかくいつでもどこでも、新しい人に出会うと機会を見つけてはいろんなことを尋ねていました。それはつまり相手に対する関心を示していたことになります。

そのせいか、多くの人が楽しそうに色々な話をしてくれました。これがひいては私の英語力を向上させることにつながったと思います。

日本人は沈黙を大事にする文化ですが、北米は沈黙はさほど評価されません。沈黙していると、何も考えていない、いえ考えられない能力のない人か、自分に関心のない人ちょっと失礼な人と思われてしまいます。

とにかく、北米では自分の意思を表明することが大切です。

失敗したらそこから学ぶことが大切です。沈黙していては失敗もない代わりに、成長もないということです。

どんどん積極的に話しかけていくことです。あなたの英語力がなかったとしてもそれを乗り越えて話しかけてくる人に、北米の人は挑戦する人として歓迎してくれます。

頑張ってください。

ではでは



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