第2部 中堅社員編 情報システムとの出会い
こんにちは。かめ🐢と申します。
星の数ほどある記事の中から、こちらをご覧いただき誠にありがとうございます。
この自伝は記録的な意味合いが強く、特に有益な内容を狙ったモノでは御座いません。
ただ、一人のサラリーマンが経験した会社での出来事を徒然なるままに記そうと思います。
いいねやコメントをいただけるとやる気が出て喜びます。
それではどうぞ。
※本編は第1部 新入社員編の続きです。未読の方はそちらを先に読まれた方が良いかもしれませんが、読まなくても良いかもしれません。
第1部 ➡ https://note.com/goldfox/n/n4425306f4734
東京への異動 情報システムとの出会い
20xx年6月 私は営業所での3年間(労働時間としては約6年分)を経て、
東京本社の情報システム部(いわゆる情シス、社内SEとも言う)へ初出社していた。
営業所に比べて本社の立地は抜群であり、都内の一等地 東京駅や銀座にも多少時間はかかるが歩いていける。
毎日作業着に着替えて現場のラインに飛び込んでいた私にとっては、別世界であった。
当時の私の情報システム部に対する認識は以下である。
・情報システムって難しそう
・何も知識の無い素人である私には何も出来ないのではないか
・営業の経験を活かせなそう
・暗いオタクのような人の集まりだろうか
・ネットワークが遅くなったりパソコンが遅いのはこの人たちの責任では
・そもそも何をしている部門なのかさっぱり分からない。
見事にマイナスイメージ。当時と現在(2024年)では大分、システムに対する見え方は変わったと思うが、当時の情報システムに対するイメージは上記であった人が大半ではなかろうか。
簡単に情報システム部(社内SE)の仕事内容を紹介すると以下の通り。
1.基幹系システム※1の運用・保守
2.情報系システム※2の運用・保守
3.インフラ(ネットワーク、サーバー等)の運用・保守
4.会計監査、情報セキュリティ、ガバナンスに関する対応
5.ヘルプデスク(ユーザー問い合わせ対応)
6.パソコンの選定、セットアップ、手配、端末管理などの対応
※1.基幹系システムとは、「販売管理」「在庫管理」「生産管理」「会計」など企業がビジネスを遂行するために必須である業務を効率化するためのシステム。 「基幹」という言葉が分かりづらくしていますが、受発注管理や販売管理、生産管理、在庫管理、会計業務を行うためのシステムと理解して良いでしょう。
※2.情報系システムとは、社内外の情報共有、コミュニケーションの円滑化、事務処理の効率化、意思決定促進などに利用されるシステム。
メール、予定表、掲示板、文書管理、ワークフローなど。
営業と違って、情シスの相手は社内。
従業員の皆様が快適かつ効率よく、安全に、競争力ある業務を遂行できるよう、その土台(仕組み)を整えるのが使命。
そのため、情シスにはIT知識、プログラム知識が備わっているだけでは足りず、業務知識、コミュニケーション力、企画・提案力などが要求される。
毎日、部屋にこもってプログラムだけを書いていれば良いという部署ではない。
※今思えば3年間ではあるが、営業を経験していた私は業務知識、コミュニケーション力、企画・提案力を多少身につけており、そこは畑違いの部門でも活かすことが出来、大いに役立っていた。無駄なことは何一つとして無いということを学べた時期だったと思う。
基幹システム リプレイス デスマーチの始まり
前置きが長くなったが、異動後、早速先輩から部の概要、業務説明を受けた。
情報システム部は約10名。それぞれが前述した業務を割り当てられ対応していた。
大きく分けると
基幹システムA担当
基幹システムB担当
情報系システム担当
インフラ、セキュリティ担当
会計、監査担当
ヘルプデスク、事務担当
といった感じ。
私が情報システム部で最初に担当することになった業務は、基幹システムB(工場の生産管理システム)のリプレイス導入支援であった。
簡単に言うと、古くなったシステムを新しいシステムに入れ替えるので、良い感じに準備、入れ替えしてね となる。
リプレイスと一言に言えば、古いテレビを新しいテレビに買えるだけでしょ、簡単じゃない と思われる方が多いかもしれない。
確かに私も最初はよく分かっていなかったので、その大変さを理解していなかった。
基幹系システムのリプレイスをするということは
・会社、経営層が掲げるビジョン、方針、規定などを理解した上で、
・現状業務の課題を棚卸し、あるべき姿を描き、そこに到達するための方法、手段(Tobe,Canbe)を検討し
・Q(品質)、C(コスト)、D(納期)、セキュリティ、ガバナンスなどを考慮し
・毎日使う従業員の使いやすさ、文化への理解、ステークホルダー(顧客や仕入れ先)への影響調査、
・導入システムの選定(パッケージか独自開発か)や、開発、支援ベンダの検討、選定
など多岐にわたる。
私が着任した時には上流工程(企画、提案、システムの選定など)は済んでおり、スクラッチ開発して納品されたシステムの検証を行うという段階まで進んでいた。
検証フェーズでは、仕様書(このシステムはこういう動きをしますと書かれた書類)を確認し、テスト計画を立て、その計画通りに動作確認をする。
普通であれば納品前にシステム開発者がおおよその検証を済ませた上で納品するので、そこまで多くの不具合は見つからないが、これが酷かった。
当時流行りだったオフショア(海外の業者に開発をしてもらう)を採用したようだが、ろくにシステムが動かない。
そもそも仕様書が古かったり、表現が英語だったり、そもそも仕様書が無い箇所もあり検証は困難を極めた。
正直、素人の私でもこの異常事態には気づいていたが、異動直後でもあり
素人で勝手も分からないため、先輩・上司に従うまま、正解の分からない検証を続けていた。
ボタンを押すたびにエラーが発生し、仕様を都度確認。管理台帳に修正箇所を記録して、ベンダにKT(修正箇所を伝える)の繰り返し。
それを半年続け、翌年1月。
遂に初回工場の並行稼働に踏み切る。
並行稼働とは、従来のシステムは今まで通り動かし、それと並行して新しいシステムも動かし、同一のインプット→アウトプットをしたときに差異が無く運用に支障が無いか確認するものである。
大方の予想通り、結果はぐちゃぐちゃ。
同じ内容を登録してもアウトプットが合わない、登録は良いが修正や削除などイレギュラーな入力をするとエラーが出る、マスタ登録結果が反映されないなど散々であった。
その結果、並行稼働の3か月で残業500時間。
若く、営業でボロクソに働いていたので、耐えられたが死人が出てもおかしくない日々であった。
工場からは再三、プロジェクトのやり直しを求められたが、上層部の意向もあり、4月頭から半ば強引にシステムを切替。
先輩は責任を取らされ別の業務へ担当を替えられ
以降、別の先輩と私で対応することとなった。
その後1年かけて国内他の工場も同様に展開。
展開するほどに新しいバグが見つかり、問い合わせも増えるという地獄の様相であったが、若さと怒りとシステム知識や経験をメキメキとつけていた私は全国へのシステム展開をやり抜いた。
今思えば情報システムにきて最初の2年弱で成し遂げた基幹システムの切替が、私を大きく成長させたターニングポイントであった。
自画自賛ではないが、通常の人であればまず耐えられないだろうし、諦めていたと思う。
営業で烙印を押され、どん底だった私が、ここまで頑張れたのは、前述の通り
若さ
怒り
システムという新しい世界に出会えた喜び
がうまく嚙み合ったからであろう。
情報システムマンとして研鑽の日々
異動して2年。完全に体当たりであったが、猛烈に働くことで強制的に基幹システムの仕組み、工場業務の概要を経験、知ることが出来た。
その後は、ネットワーク関連の運用保守。情報セキュリティ対策の企画、提案、ツール選定、導入、フォロー。テレビ会議システムの世界展開(当時、システム部では初となる社長賞を受賞)など、全て体当たりであったが、なんとかこなしていた。
一緒に仕事をする度に、関係者とは仲良くなり信頼を得る。その繰り返しで社内でのプレゼンスを高めて行けたと思う。
(大袈裟だが、イメージで言うとワンピースのルフィのような感覚。旅をする先々で、相手に感謝され仲間が増えていく。)
色々な方々とふれあい、叱咤激励をいただき一度はどん底だった私も、何とか社会人生活を続けることができた。
業務を通じて得た経験も大きいが、一番成長出来た理由は、やはり絶え間ない自己研鑽だったと思う。
ネットワークや情報セキュリティ、システム全般の知識を得るためにインプット、アウトプットを繰り返した。
取得した資格は以下。
【国家資格】
ITパスポート試験
情報セキュリティマネジメント技術者試験
基本情報技術者試験
応用情報技術者試験
【民間資格】
簿記3級
特定化学物質四アルキル鉛等作業主任者
CCENT(Cisco Certified Entry Networking Technician)
CCNA(Cisco Certified Network Associate)
情報セキュリティ管理士試験
情報セキュリティ監査人試験
AWS Certified Cloud Practitioner
ビジネスプロセス革新エンジニア試験
高度試験こそ取得はしていないが、中堅上場企業でベンダコントロールしていく情シスからすれば十分な内容である。
法学部卒のバリバリ文系社員だった私が良くやったと、思いたい。
※現在は苦手な英語を絶賛勉強中。
資格を取ったら仕事が出来るようになるとは思っていない。
仕事を通じて資格を得るにふさわしい業務知識、経験を積んだからこそ取得出来たと思っている。
現時点ではここに書けない出来事もたくさんあったが(それはいずれ番外編で。。)、かれこれ10年。
情報システム部での日々を過ごし、気づけば30半ばとなっていた。
第二部 完
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