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第四十九景 初めて付き合って学んだ事の話

離婚をしてから初めて、彼女がいた期間がある。しかし1ヶ月ほどで別れてしまった。いつも付き合えば長いのに、これほど早くに別れてしまうのは珍しいことであった。

これにはいくつか理由があるが、いちばんは結婚に対する理想や付き合う人に求めるものが出てきたからだと思う。これまでは好きな人と一緒にいることができれば良いという感覚があった。

どちらかというと、自分の意見を言わずに無理してでも相手に合わせることが多かった。そんな感覚で今回も付き合ってみたのだが、思ったより相手に合わせられなくて困った。

相手を無条件に受け入れるという余裕というか、優しさという優しさをどこかへ置いてきてしまった。もしくは底をついてしまったのかもしれない。受け入れられなったことをいくつか羅列していこう。

まず飲み代やランチ代などのデートにかかるお金や相手の生活に使う食材の代金を全額払うことが苦だった。男ならお金を出して当然という価値観の持ち主だった。以前から、自分で使うものや食べたものは自ら払うというスタイルの相手としか交際したことが無かったので面食らった。

好きならば受け入れられるかもと思ったが、やはり無理だった。しかし、結婚していた時は二人の給料をまとめて、各費用に振り分けて、そこからお互いにお小遣いをもらうという形だったので、受け入れられた。それなら良かった。

苦痛だったのは、スーパーでかごを持っているとここぞとばかりに、自分が食べない食材まで買わされることだ。自分の意志とは違う、納得できないものまで入れられる。まだ付き合っているという間柄では理不尽だと思った。

次に、平日の電話が苦痛ということだ。何かと通話をしたがる人だった。話せば数時間を取られる。自分には音楽を聴いたり、勉強をしたり、本を読んだり、自分と向き合う時間が必要だ。

電話に出なければ、あえて出なかったという自分の良心が痛むし、出たとしても、早めに切り上げようとするので良心が痛む。非常に困ってしまって、疲弊した。

それと休みの土日ともに会いに行くのが苦痛だった。往復で4時間くらいかかり、金曜日の夜に会いに行ったら、日曜日の夕方までずっと一緒だ。運転中は音楽を聴いて歌うことくらいしか出来ない。

休みの日には、ひとりの時間も必要で、山にも行きたいし、ひとりでお酒を飲みたい。ふたりで行っても、全額払わなければいけないのも影響していたと思う。自分より食べたり飲んだりする相手に対してだ。やはり理不尽だ。

最後に結婚まで急かされるということだ。まだ1ヶ月も経ってない頃から、親に会いたいと言い出した。流石にこれも参った。言われて思ったのは、自分にはそれほど結婚願望がないということ。それに気づいた。こどもも今のところは欲しくはないし、盛大に結婚式も挙げたくない。

他にも歯磨きをちゃんとしてほしいということ、喫煙しているならちゃんと申告してほしいということもあったが、大まかにはそのような事柄が徐々に耐えられなくなってしまった。

離婚後、初めて付き合って学んだことは、「結婚観はどうか」「金銭感覚が自分と似ているかどうか」「男らしさを押し付けないかどうか」あたりを先に確かめた方が良いということだ。

とは言え、時間を無駄にしたとは思わない。自分の求めていることがはっきりと見えてきたし、二度と同じことは繰り返さないと肝に銘じることが出来た。相手に嫌われようとも、自分の譲れない部分だけはしっかりと持っていようと思えた。

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