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第二十五景 噛み砕いて欲しい話

ビールを飲んでいると、美味い不味いだけではなく、香りや口当たりを表現したくなる場面がある。

その時にフルーティーとか、モルティーとか言われてもなんのことか分かりませんよね?

分かります!分かります?僕は分かりません。
だから一歩踏み込みたい。噛み砕きたい。

例えば、このビールはフルーティーさもありますが、モルティーでもありますね!と言われた場合。

フルーティーにしても、果物には色んな種類があるし、その人が思い浮かべるものが同じ果物とは限りません。

モルティーにしても、飲み慣れてる人、またはビアジャッジやビアテイスターの資格を持っている人でない限り、???が頭に浮かぶはずです。

違うビールなのに、同じようなレビューや商品紹介があると、もやっとしませんか?全部おんなじビールじゃんって!

フルーティーならなんの果物なのか。桃やバナナの香りがすると言われたらなんとなく分かりますし、モルティーなんて言わずに麦の風味が目立ちますねの方が伝わりやすい。

ビールを飲んだ時のことを想像してみよう。大手のものでも、小さいブルワリーが醸造しているものでもなんでもいい。

僕は銀色のヤツ!と呼ばれているビールを飲んだ時の味を思い出してみる。

キンキンに冷えた状態の缶を冷蔵庫から取り出して、程よく綺麗に洗ったグラスに注ぐとする。

始めはグラスを縦に持って泡が立ってきたら、グラスを傾けて、そろそろとグラスの壁に沿わせるように注ぐ。

よく言われる7:3の比率で注げたはずだ。綺麗に注げたことに満足し、今すぐにでも飲みたい衝動を抑え、しばし眺める。

満足したところで、グラスの半分くらいを一気に飲む。ノドで受ける。舌の上で味わうことをせず直接ノドに注ぎ込む。

これが僕的の銀色のヤツ!の飲み方だ。銀色のヤツ!は口の中で余韻を残すとそれほど美味しいとは思えない。

味わってしまうと、鉄のような血のような味を感じるから苦手だ。

でも一杯目として飲む銀色のヤツ!の美味さは飲み慣れているし、段違いで美味い。

確かにカタカナ言葉を使うことはカッコいいし、なんとなく上手く評価している感が出てとても便利だとは思う。

でも伝わるかどうかと言ったら疑問な部分が結構ある。

だから僕はそういった便利な言葉に頼ることなく、しょぼくてもいいから、噛み砕いて伝えるように心がけている。

難しさを感じながらもちょっとは上達している気がする。

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