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【凡人の対談 5.「凡人の成長戦略(2)」:「自分は中の上である。」と思いたい気持ちはわかる。】

これは、とある『凡人』が、様々な人間から、彼の経験談、考え方などを根掘り葉掘り聞かれまくるという、しょうもない話である。

〜とある怪しげな一室〜

「凡人さん、こんにちは。」

「はいこんにちは。」

「前回は、『凡人が物事を習得し、結果を出していくためには、周りの人間の優れているところだけを選別し、徹底的に真似をして、自分の中に取り入れていくことだ。』という話をしていただきましたが、

今回は、具体的にあなたがどのように行動してきたのか、についてお話しいただきたいと思います。

「分かりました、よろしくお願いします。」

「あなたは、『飲食店の店長』をされていたとのことでしたが、その最初の時期のお話をお聞かせください。」

「はい。」

「僕は元々、「レストランのアルバイトスタッフ」だったので、一からアルバイトとしてやってきました。」

「そうだったんですね。一からの下積みがあったわけですね。どのように業務を習得していったのですか?」

「はい。僕は最初、接客スタッフとして採用されたのですが、その時お店でアルバイトランクがトップだった主婦さんをひたすら見て、真似してました。」

「なるほど。『見て覚えた』というわけですか。」

「はい。もちろん『マニュアル』があったので、それに沿って店長から教えてもらうこともありましたが、『実際に現場でどう動くか』は、その方の真似をしていました。」

「どうして、初めからそこまで意識して『真似』をしたのですか?普通は、『教わったことを教わった通りにやる』ことから初めそうなものですが。」

「確かに、他の人はそうだったように思います。」

「理由としては、僕は人より少しだけ『臆病』だったんです。」

「と、言いますと?」

「僕は、『できない仕事がある』というのが怖かったんです。そして、お客さんから『知らないこと』を質問されたり、『できないことをお願い』されるのが怖かったんです。」

「そういう『恐怖』から、1日でも早く解放されたかったんです。」

「なるほど。そのためには、教わったことをやっているだけでは遅い。自分で経験していくよりも、できる人の真似をした方が早い。そういうことですね?」

「はい。おっしゃる通りです。」

「また、そのようにして働いていると、他のスタッフ達も目に入ってきます。そして、一部だけであれば、僕がお手本にしていた主婦さんよりも、優れている点があるスタッフ達がいることに気がつきました。」

「料理を運ぶことの手際が特に優れている人、フロアでのお客様対応が優れている人、とにかく作業が早い人、とにかく仕事が丁寧な人、無駄なく効率的な仕事をする人、様々いることに気がついたのです。」

スタッフそれぞれの『長所』に気がついた、というわけですね。」

「はい。それからは、いろんなスタッフ達から、それぞれ特に優れている点のみを抽出して、真似するようになりました。」

「そうして、『良いとこ取り』をしていったわけですね。」

「他にも、この店でこれ以上は無いな、というタイミングで、自ら他店で働かせてもらうこともありました。そこで新たに、優秀なスタッフ達の技能を盗んでいったわけです。」

「なるほど。さらに多くの能力をつけていったわけですね。そのように学んだ結果、最終的にはどうなったのですか?」

「はい。アルバイトランクが、接客・調理、それぞれ5段階ある中で、どちらも最高ランクになりました。いわゆる『カンスト』ってやつです。」

「ちなみに僕の店では、断トツトップになりましたし、その後の社員人生の中でも、数十店舗、何百人のスタッフを見てきましたが、学生アルバイトで『カンスト』しているスタッフは一人も見たことがありません。」

「そうだったんですね。それが、その後の道にも繋がっていったわけですね。」

「はい。もちろんそれだけではないですが、それも大きな理由の一つにはなりました。」

「分かりました。ちなみにですが、

普通、『見て学ぶ』『真似をする』というのは、誰しも、少なからずやることだとは思いますが、何故そこまで意識的にやられたのでしょうか?」

「はい。それは、良い意味で『自分を信じていない』からです。」

「と、言いますと?」

「いわゆる『天才』とか、『元々優秀な人』の気持ちは分かりませんが、大抵の人は、自分は『普通の人間』だということは知っています。」

「そうですね。」

「ただ、『上ではないが、中の上くらいではあるだろう』みたいに思いがちです。」

「仮に、自分の能力が『中の下』とか『下』だと思っている人は、何かできるようになりたいと思ったら、めちゃくちゃ頑張るはずです。」

「はい。」

「ただ、この仕事をしていると、教わったことは教わったままやるが、それ以外のことは、自分なりにやる、とか自分で考えてやる、みたいな人が多いのです。」

「それが何か問題なのですか? 自発的に何もやらない人よりは良いじゃないですか。」

「それはおっしゃる通りです。」

「ただ、世界広くを見れば、本当に優秀な『上』の人間は、アルバイトやら、サラリーマンやら、やりません。『起業』します。アルバイトなんかせず、自分でビジネスなんかを立ち上げて稼ぎます。」

「なるほど。それはそうかも知れません。」

「ですから、アルバイトやサラリーマンをやっている時点でほぼほぼ、『中』です。その中で目立って優秀でも、所詮『中の上』です。」

「大抵の人間はそんなふうにはなれないので、そこそこ優秀で『中の中』、『特にコメントなし』は『中の下』です。もしくは『下』かも知れません。」

「少し厳しい考え方ですね。」

「そうですね。ただ、実際そうです。」

「勉強で言えば、偏差値50の大学で首席でも、東大のドベに遠く及びません。そして、この世には偏差値50以下の人間が人口の半分います。」

「世間が狭く、自分の大学内しか見ていなければ、自分が『上』とか、『中の上』であると勘違いしがちですが、一歩世の中に出れば、自分より優秀な人など腐るほどいます。」

「世間が狭いので、自分を『中の上』だと思いたくなる気持ちはわかりますが、大抵は『中の下』かもしくは『下』、良くても『中の中』です。」

「なるほど。その理論はわかりました。それが真似することと、どう影響するのですか?」

「それは、『中の下』の人間が、自分の頭で考えて、オリジナルでやったら、結果はもちろん、『中の下』どまりなのです。」

「だから、少しでも優秀な人間から、コピーしていくのです。そうして少しづつ自分を高めていくんです。」

「なるほど。一見厳しいようですが、興味深い考え方ですね。」

「ありがとうございます。」

「こうして、元々は『中の下』もしくは『下』だった僕も、『中の上』くらいまでには、もしかすると、成長できたのかも知れません。」

「ありがとうございました。もう少し詳しく聞きたいところですが、どうやらお時間がきたようです。また機会がありましたら、お話お聞かせください。」

「はい、ありがとうございました!」


つづく





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