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「ティカル国立公園にみるマヤ人の神秘的世界観」世界遺産の語り部Cafe

本日は、グアテマラ🇬🇹の【ティカル国立公園】についてお話していきます。

グアテマラは、メキシコ🇲🇽から少し南に位置する中米の国で、コーヒーの一大産地としても知られていますよね。

グアテマラの国名は、“森の多い土地”という意味のアステカ語「クアウテメラン」をスペイン語読みしたことが由来となりました。

名が表す通り、ティカル国立公園はグアテマラ北部の広大なジャングル地帯に位置する、マヤ文明最大級の神殿遺跡群です。

神殿の周辺には石碑や祭壇などが配置され、文字を持たない「アステカ文明」や「インカ文明」とは違って、独自のマヤ文字が刻まれているのも特徴的です。

しかし「ユカタン半島」を中心に栄えたマヤ文明は、1500年代にはほぼ全ての独立国家が滅亡してしまいます。

ユカタン半島に栄えたマヤ文明

マヤ文明には3つの時代があり、起源となる「先古典期(B.C.2000年頃~250年頃)」から「古典期(250年頃~900年頃)」、そして滅亡するまでの「後古典期(900年頃~1500年頃)」に分類されます。

ティカルの起源はマヤ文明最盛期であった先古典期であるとされ、独自の発展を遂げて繁栄を極めますが、古典期後半の9世紀頃から急に衰退を始めました。

衰退した理由は判然としてはいませんが、ティカル最後の記録として残っているのは「石碑11」に刻まれた“西暦869年”に相当するマヤ暦の日付で、以降は更新がないことから廃墟化したと推測されます。

神殿都市遺跡は、1696年に1人のスペイン人修道士が密林に迷い込んだ際、偶然に発見されたものです。

ティカルに初めて調査が入ったのは19世紀の事で、1950年になるとマヤ文字の解読が進んで本格的な調査が開始されました。

神殿都市は「アクロポリス」と呼ばれる複合的な建築物や、「コンプレックス」と呼ばれる4つの建物が1つとなった建築群から形成されており、遺跡の中心には「グラン・プラザ」という中央広場が広がります。

グラン・プラザ
アクロポリス

「ア・カカウ王」の墓や埋葬品が見つかった「1号神殿(ジャガー神殿)」をはじめ、ピラミッド型をした5つの神殿が確認されています。

1号神殿(ジャガー神殿)

ティカル遺跡の入口には、マヤ人にとって聖なる木とされる「セイバ」が高くそびえます。

セイバ

マヤ人が考える世界は、天・地上・地下の3層から成り、地下の冥界は9層から成るものと信じられていました。

9層から成る1号神殿のピラミッド頂上にある屋根飾りの穴は、冥界への通路となる洞窟を表現しています。

さらに特筆すべき点は、当時のマヤ人が有していたであろう高度な天文学知識です。

ティカルのピラミッド型神殿は、驚くことに「おうし座」の散開星団である「プレアデス星団」を模して配置されていました。

プレアデス星団

宇宙の中心はプレアデス星団にあり、人々はそこからやって来たと考えるマヤ人たちの間では、このような伝承が語り継がれています。

‘’夜空のプレアデスが同じ場所に出現する日が72年ごとに1日ずれ、2万5920年を経て再び元の位置に戻ってくる‘’

マヤ人に伝わる伝承は、天文学上の現象である「歳差運動」を示唆するもので、現代天文学における歳差運動周期は約2万5800年だとされますが、誤差はあるにせよ概ねの数値は一致しています。

天体観測器もなく、彼らはどのようにして肉眼だけで星の運行に関する高度な知識を身に付けていったのか、謎に満ちていますよね。

また、マヤ人の世界観のように、世界が三層構造で分かれているという思想は、世界中のいたるところで見受けられます。

例えば北欧神話の世界観では、神々の住むアースガルズ、人間の住むミズガルズ、死者の住むニヴルヘイムの三層構造だとされています。

北欧神話のユグドラシルに成る3つの世界

このように遠く離れた文明同士で共通点が見つかるのは偶然か、はたまた必然か、様々な想像を掻き立てられるのも、人類の歴史について知る1つの面白さかもしれません。

【1979年登録:複合遺産《登録基準(1)(3)(4)(9)(10)》】
@nationalgeographic

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