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『愛してイルキー』の紙本ができました!

2015年10月〜12月にnoteで連載していた『愛してイルキー』を、BCCKSで昨年12月末に電子書籍化したのですが、準備中だった紙本も発刊できました。

哲学者、果物、歌うたい、炎、糸車……さまざまなモノたちの、99の「つぶやき」を文字とイラストで綴っています。カテゴライズしにくい内容なのですが、寓話のような、詩集のような、絵本のような1冊となっています。

今回、noteで連載していたときにはなかった、「つぶやき」の一部を訳した英文をそれぞれのイラストに添えています。

紙本は新書サイズ・224ページで、価格は1,450円。BCCKSサイト内の「フラスコ書房」にて販売中です。→  http://bccks.jp/store/160478

電子書籍(350円)は、Kindleストアで販売しています。→ http://amazon.co.jp/-/e/B077T643JD


また、巻末には、『愛してイルキー』のなかのモノたちが登場する幻想短篇集『グルグルという名の町にて』より3編(緑色のパイプ、果てしない記憶、歌のゆくえ)を併載しています。


『愛してイルキー』の変遷をあとがきに記しているのですが、ここに転載しておきます。興味をもっていただいた方は、20話ほどタチヨミできるかたちとなっていますので、BCCKSサイトを覗いてみてください。よろしくお願いします。

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あとがき

 この物語が誕生したのは、1992年頃のことです。ある日、ふと、「イルキー」という存在が頭に浮かび、ロットリングでちょこちょこと絵に描いてみました。僕はその絵がとても気に入って、「イルキー」になったつもりで、「イー?」とか言ってふざけたりしていたのですが、それがすべての始まりでした。

 そんなふうに遊んでいるうちに、「イルキー」が出会ういろんな「モノ」たちのひとりごとが、頭の中にあふれ出してきたのです。それがなんだか面白かったので、当時愛用していたパーソナルワープロのキーをカチャカチャたたいて書き留めながら、ひとつひとつに絵をつけていきました。あっという間に70話ほどになったのですが、特に発表するあてもなく、そのまま仕舞いこんでいました。

 しばらくして、インターネットの黎明期がやってきました。

 愛用の筆記具は、パーソナルワープロからマックに変わり、付属していたソフトで個人サイトを作ってみたのですが、その際に「イルキー」のことを思い出し、メインコンテンツとすることにしました。1998年のことです。「モノ」たちのひとりごとを書き足して、99の物語が完結しました。個人サイト自体がまだ珍しく、Yahooで紹介されたこともあって、けっこう多くの方に読まれ、感想のメールをいただいたりもしたのですが、地味な個人サイトへの注目はすぐに薄れて、訪れる人も少なくなっていきました。

 それから15年ほど、「イルキー」は、インターネットの片隅でひっそりと生息していたのですが、2014年に投稿サイトで公開することを思い立ち、ひさしぶりに新しい読者を得ることができました。Epilogueとしている一編は、投稿サイトに公開した際に、感想をくれた人へのお礼として書き贈ったものです。

 今回、一冊の本にまとめるにあたって、「モノ」たちのひとりごとの一節を英訳して、それぞれのイラストに添えています。Google翻訳で下訳して、ニュアンスを調整しながら仕上げました。少しおかしな英文になっているところもあるかもしれませんが、通訳ロボットと共訳しているような感覚で、楽しく作業できました。

 また、『愛してイルキー』の登場人物たちを主人公として、『グルグルという名の町にて』という幻想奇譚の連作を少しずつ書いているのですが、その中から、「緑色のパイプ」、「果てしない記憶」、「歌のゆくえ」を巻末に掲載しています。併せてお楽しみいただければ、幸いです。

2016年12月31日

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