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【セントラルスポーツ・今林開人選手】”スティーブ・ジョブズになりたい”と大学の就職課を尋ねた日

『セカンドキャリアを見える化せよ』連載の第3弾は、セントラルスポーツ所属の現役体操選手 今林開人選手です。Twitterでリプライをいただき、その2日後にお会いしました。スピード感大事!

今林選手は順天堂大学を卒業した後、セントラルスポーツと契約して体操選手となった大卒3年目のアスリートです。
あん馬と鉄棒を得意種目としています。

僕は逆上がりもやっとなので、
もう意味が分かりません!笑


それでは早速、『セカンドキャリアを見える化せよ』の中身に入っていきたいと思います。

■目次

①オフザピッチとオンザピッチから見る今林選手
②ビジョナリーキャリア5つのステージ
③”スティーブ・ジョブズになりたい”と大学の就職課を尋ねた日
④アスリートはリバウンドメンタリティのプロである
⑤結論



①オフザピッチとオンザピッチから見る今林選手

■オンザピッチ

- 5歳から体操競技を始める
- 船橋市立船橋高等学校に進学
- 3年時に主将としてインターハイで団体優勝(市船初)
- 順天堂大学 スポーツ健康科学部に進学
- 1年時に全日本種目別選手権であん馬優勝全日本団体選手権にて順大として10年ぶりの優勝
- 4年時にはユニバーシアード大会に日本代表として出場し、団体金メダルを獲得
- セントラルスポーツに入団

今林選手は千葉県を拠点に体操選手としてのキャリアを積んできました。
改めて並べてみると、歴史塗り替えまくってますね!!凄まじい。

ユニバーシアード団体で優勝されていることも含め、まさに日本を代表して世界で戦うアスリートの1人です。

セントラルスポーツ入団後も全日本シニア選手権の団体で優勝する等、着実にキャリアを積みながら東京五輪出場を目指しています。


■オフザピッチ

- 1994年1月10日生まれ
- 愛知県生まれ、千葉県育ち
- 中高の教職免許取得(保健体育)
- 順天堂大学院 スポーツ健康科学修士を修了

体操選手としてのキャリアを最大化することはもちろん、セカンドキャリアでも輝くために現役中から様々なアクションを起こしていきたいとお話されていた今林選手。

スポーツビジネス、スポーツマーケティングの分野について現在も勉強をしていて、体操競技の普及とビジネス化、スポーツ界全体の市場拡大に取り組みたいとのこと。

体操競技×エンタメのパフォーマンス等も挑戦してみたいとのことで、僕の本業のイベント演出でもご一緒できるのでは(!)と盛り上がりました。現役の体操選手がシルクドソレイユみたいなパフォーマンスをしたって良いですよね。体操競技のファン拡大にも一役買うことが出来そうです。

詳しくは後述しますが、今林選手は行動力抜群で、且つ思考を言語化するのがとても上手でした。先日お会いした米田選手や、その他にも僕が知っている選手を含め、順大卒のアスリートはバイタリティが高い印象です。



②ビジョナリーキャリア5つのステージ

『セカンドキャリアを見える化せよ』の連載では上記のオンザピッチ⇔オフザピッチのキャリア観察と併せて、ビジョナリーキャリアの5つのステージからその選手を定性的に評価します。

今林選手の場合、上記の図の③考えて動いてる(主に情報収集)のステージに位置しており、まもなく④に移行するような状況です。
③→④に移行するために必要な要素は【学習】と【人脈】。
早速、今林選手のやりたいことを一緒に実現できそうなパートナーを紹介させていただきました。今後の展開が楽しみです!



③”スティーブ・ジョブズになりたい”と大学の就職課を尋ねた日

さて、本noteのタイトルにもなっている『”スティーブ・ジョブズになりたい”と大学の就職課を尋ねた日』ですが、キャッチーさを狙って僕が適当に書いている訳ではありません。実話です!笑

今林選手は大学3年の春、手首に重症を負い手術をしました。次の進路を考え始める大事なタイミングで大怪我を負ったことで「体操を続けられないかもしれない、、」と相当な焦りを覚えたと言います。

そして同時に、「今の自分から体操が無くなったら何が残るんだろう。。。」という危機感に襲われた今林選手は、まず大学の就職課へ向かいました。


そして、今林選手は
就職課の職員に対して開口一番、

スティーブ・ジョブズになるにはどうしたら良いですか?


職員は、"ぽかーん・_・"だったそうです。
超絶面白すぎる。。。。笑笑

「月並みではなく、スティーブ・ジョブズのように衝撃的な何かを成し遂げたい!」という一心で真剣に就職課に相談しに行ったとのこと。
うん、天才!

最初は"ぽかーん・_・"だった就職課の職員ですが、最終的には親身になって相談に乗ってくれ、「とりあえず、君はたくさん本を読んで様々なことを知りなさい」とアドバイスをくれたそうです。

そこからと言うもの、
今林選手の興味の扉が全開になりました。

以下はその後の今林選手の行動をまとめたものですが、完全に解き放たれています(笑)

・とにかく本を読む
・単位取得に関係がない大学の講義にも面白そうであれば出席してみる
・面白そうな教授の研究室をアポ無しで訪ねて話を聞く

同じく順大卒の米田選手も【静岡学園高校のスタッフにとにかく本を読めと言われて、沢山本を読んできた】ことがキッカケで外の世界に興味を持てるようになったと仰っていましたが、読書習慣があることは視野が広いアスリートの共通項なのかもしれません。(アスリートかどうか問わず、だとは思いますが)

結果として、手首の怪我は完治しセントラルスポーツへの入団を果たした今林選手ですが、
大学3年の時に解き放たれた興味の扉は今もふさがることなくフルオープンのまま。

きっと、持ち前の好奇心と行動力で、従来の体操選手像を塗り替える活躍をしてくれることと思います。期待大!



アスリートはリバウンドメンタリティのプロである

僕が今林選手とお話ししていて素晴らしいなと感じたのはネガティブをポジティブに転換する技術です。進路選択のタイミングで選手生命を脅かす怪我を負ったら、ネガティブな世界でふさぎ込んでしまっても不思議ではありません。
大半の人はきっとそうです。

しかし、今林選手の場合は「スティーブ・ジョブズになるにはどうしたら良いですか?」です。
めちゃポジティブです!笑

アスリートは身体が資本ですが、どんなトップアスリートでも大きな怪我や病気の1回や2回は経験しています。

そして、そのリハビリ期間をどんなマインドで過ごすのか、どんな毎日にするのかでその後の選手生活や人生は大きく変わっていきます。

大学3年の時、大きな手術をしたタイミングでなぜネガティブにならなかったのかを今林選手にお聞きしたところ、以下の回答が戻ってきました。

過去に何度もケガをして体操が出来なかった期間があったため、手術が決まった時はショックでしたが「またか」という感じでした。
何度もケガをして長期離脱しましたが、その度にリハビリとトレーニングをして強くなって復帰できていたので、基本的には「今回もこのケガから何かを得て、強くなって戻ってきてやる」という気持ちでした。

その一方で時期が時期だったため、卒業後の競技継続は難しいかもしれないとマイナス思考にもなりましたが、その中でも「じゃあ続けれられないとなったらどうするか」と切り替え、体操以外の道を探すようになりました。こっちの考えは最悪のシナリオを想定したリスクマネジメント的な感じです。


そして、本田圭佑選手とJリーグの村井チェアマンの対談の中では、このメンタリティのことをリバウンドメンタリティと呼んでいました。

リバウンドメンタリティは、アスリートかどうか問わずめちゃくちゃ大切な素質だと僕は思います。

誰しも上手くいくことばかりではありませんが、その時々でいかに状況をポジティブに捉え直すことが出来るのか。その習慣がある人は間違いなく強いし、ネガティブもポジティブに変えて向上していくことが出来ます。

そして、今林選手とお話させていただき、アスリートのリハビリ期間を学び直しの期間と再定義して、リハビリ中のアスリートに対して様々なキャリア支援を行うのは凄く利に適っていると思いました。そんなサービスも作りたいです。



⑤結論

今回、今林選手とお話させていただき【アスリートはリバウンドメンタリティのプロである】ということを感じました。

それは、巷で体育会系を形容するのに用いられる忍耐力や我慢強さの類とは異なります。どれだけ順調にキャリアを駆け上がっているように見えるアスリートでも、その裏では無数の失敗や挫折を経験しています。その度に粘り強くリバウンドして成長してきたからこそ、今の姿・環境があるのです。

そして、ビジネスや社会においてもリバウンドメンタリティは非常に重要な素質です。

僕らの世代は【失敗を恐れる若者たち】のように括られることが多々ありますが(個人的には非常に遺憾です)、失敗をネガティブなまま終わらせることなくポジティブに転換していく技術を持っているアスリートは、まさに失敗を恐れることなくチャレンジし続けられる素質を持った人材です。

アスリートは社会を牽引するエネルギーとなれるポテンシャルを十二分に秘めている、ということを改めて再確認した今林選手との出会いでありました。



今林選手、お忙しい中ありがとうございました!
今後のご活躍&東京オリンピック出場、期待しています!!


次回(こそ)はSpeedo90周年パーティーについて書きたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!


-fin-

五勝出拳一[ごかつでけんいち]
大学サッカー日本代表の主務を務めた経験から、アスリートの持つポテンシャルの偉大さとセカンドキャリアの報われなさに問題意識を持つ。/アスリートのセカンドキャリアをアップデートすべく、NPO法人を設立。/プロサッカー選手育成アカデミー 神村学園淡路島 キャリアアドバイザー/現職は広告屋/東京学芸大学蹴球部OB


いつも読んでいただきありがとうござます:)