宅建士試験合格講座 民法総則 > 時効 #1
第5節 時効
時効とは、一定の期間、一定の事実状態が継続すると、権利を得たり(取得時効)または権利が消滅してしまったり(消滅時効)する制度です。つまり真実の権利関係と事実状態とが違っていた場合に、法律は長い間続いていた事実状態を保護することにしたのです。
■ 1 取得時効
(1) 所有権の取得時効
① 所有権の取得時効の要件
一定期間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得することができます。
以下が、所有権の取得時効を主張するのに必要な占有期間です。
「占有」には、以下の種類があります。
[自主占有]
不動産の買主や受贈者の占有は、所有の意思がある占有と推定される。
[他主占有]
不動産の賃借人や預かり主の占有は、所有の意思がない占有と判断される。
[自己占有]
実際に自分自身で占有する場合。
[代理占有]
自分自身の代わりに他人に貸し付ける等により他の者に占有させる場合。
[事例]
Aは、B所有の土地を善意無過失で5年間占有し、引き続き5年間Cに賃貸した。
この場合、Aは「自己占有の5年間」と「Cに賃貸した代理占有の5年間」をあわせて10年間占有を継続したことになり、B所有地を時効取得することができる。
Cには所有の意思がない(他主占有)ため、Cが何年占有を継続したとしても、CはB所有地を時効取得することはできない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?