宅建士試験合格講座 報酬額の制限 > 総説・売買・交換の報酬・貸借の報酬
本章からは1問程度出題されます。「報酬」とは、宅建業者が、売買契約などを代理・媒介して成立させた場合の代理・媒介手数料のことです。宅建業法は、法外な手数料を請求し依頼者との間にトラブルが生じないように、報酬の最高限度額を定めています。消費税を含めた正確な計算が求められるので、実際に計算を繰り返し行ってなれることが必要です。
第1節 総説
宅建業者が媒介・代理によって契約をまとめると、依頼者に報酬を請求できます。このときの報酬額には上限があり、大きく①売買・交換の媒介・代理、②貸借の媒介・代理の2パターンがあります。このあと順に見ていきます。その前に以下の2点を説明しておきます。
■ 1 必要経費
報酬以外の必要経費(通常の広告費など)の請求は、原則としてできないことになっています。つまり、必要経費は報酬に込みということです。契約にまで至らなければ報酬は当然請求できないので、その場合の必要経費は業者が負担したままで終わりです。
ただし、例外的に、依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額や、依頼者の特別の依頼によって行う遠隔地への現地調査に要した特別の費用に相当する額は、報酬とは別に受領してよいです。
■ 2 消費税(課税事業者、免税事業者)
国に消費税を納める義務を負う宅建業者を「課税事業者」といい、消費税を納めなくてよい事業者を「免税事業者」といいます。課税事業者は、報酬額に消費税分である「10%」を上乗せできます。
一方の免税事業者であるが、イメージとしては「免税されているのだから消費税分を上乗せするのはおかしい」というものがあるでしょう。しかし、免税事業者でも、仕入れの際には消費税分の支払をしています。これを考慮しないのは不公平なので、4割の「4%」(これを「みなし消費税分」という)の上乗せが認められています。
第2節 売買・交換の報酬
■ 1 売買または交換の「媒介」の報酬額
媒介の報酬額の上限について宅建業法は詳細な規定をおいてはいるが、ややこしいので便宜上、速算式で暗記してしまいましょう。それだけ知っていれば十分です。なお、この段階では消費税は考慮しません。
【速算式】
① 物件の価額が200万円以下の場合・・・価額×0.05
② 物件の価額が200万円を超え400万円以下の場合・・・価額×0.04+2万円
③ 物件の価額が400万円を超える場合・・・価額×0.03+6万円
例えば、1,000万円の物件の媒介をした場合は、1,000万円×0.03+6万円=36万円報酬が得られます。これは、一人の依頼者から得られる上限額です。よって、媒介の場合、売主と買主の双方から依頼を受けていれば、36万円×2=72万円の報酬が最大で得られることになります。
1. 交換の場合において、物件の価額に差のある場合は、その価額の高い方を計算の基準とする。
2. 上記の「最大で72万円」については、例えば、50万円と22万円というような、自由な内訳を認めるものではない。あくまで、一人あたりの上限は「36万円」である。
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