「いつまでも情報収集してないでさっさとやってみればいいじゃん」ってあきれ顔でこっちみんなよ。こっちはそれで着実に進んでるって本気で信じてんだよ。

しゅんしゅしゅんです。

人間それぞれ、どうしても向いていないことがある。

例えば友達と英語を勉強しようと盛り上がったとする。

僕「まずは情報収集だな。今日1日で俺の方で調べるよ」
友「お、悪いな。よろしく」

英語の学び方にはどんな方法があるのかな。抜け漏れなく情報を収集してメリデメを整理しよう。どうせやるなら間違った方法や自分に適していない方法を選んでムダな時間を過ごしたくないからね。

僕「〇〇の理由で、オンライン英会話がよさそうだぜ」
友「そうなんだ、よしじゃあ早速適当に申し込もうぜ」
僕「いやいや、まあ待てよ。どこが一番いいかを次に調べるからさ」
友「ん、そうか。まあじゃあよろしく頼むわ」

有名どころはしらみつぶしに情報収集だ。どうせなら一番よさそうなところを選んで、失敗したくないからね。ランキングの次は口コミをみよう。なるほど、結構違いがあるな。比較表にでもしてまとめてみるか。

僕「ふう、俺が調べた結果、〇〇がいいぜ。間違いない。自信がある」
友「そっかそっか」
僕「いやあ、今日はかなり有意義な時間だったな」
友「うん…まあな」

もう時刻は深夜を回った。僕は充実感に溢れている。友人は少しつまらなそうな顔をしていた。まあいいか。明日は資料請求をしてみて本当に自分の選択に間違いがないか、何かリスクがないかを念のためにもう少し吟味してみるか。

これは例だが、人生を振り返ってみるとこういったことは多かった気がする。あまり気にしたことがなかったが、なぜ今までの友人や彼女がつまらなさそうな顔をしていたのか、理由がわかったかもしれない。

それは「拡散性」と「保全性」の資質の違いだ。

保全性とは本能的に現状維持しようとするため、未知の領域に足を踏み入れることを躊躇する。やりたいことがあっても、「確実にやりたい」、「しっかりと準備してからやりたい」と考える。準備不足で失敗するのは嫌。だから、挑戦自体を先送りにすることもある。一言でいえばとことん慎重な人。

一方、拡散性とは未知の領域に本能的に惹かれる性質をもっている。興味のあることに迷いなく飛び込んでいけるのだ。

ここまでを読んで、「自分は保全性寄りかな」と思ったのではないだろうか。

なぜなら、日本人の7割は保全性の性質で、拡散性の性質をもっているのは残りの3割らしい。そしてこの保全性と拡散性は後天的ではなく先天的な資質らしい。

情報を幅広く集めることは、決して悪いことではない。しかし情報集めに満足して、実行や挑戦が後回しになってしまうと周りからは「逃げている」「遅い」と受け取られることがある。

特に失敗を厭わず、何でもすぐにやろうとする性質の拡散性のあいつらから。

でも、わかってほしい。

我々保全性組は決して逃げているわけではないのです。そんなことはサラサラ思っていない。情報を集めることで、少しでも着実に前進している、と本気で信じているんです。

冒頭のつまらない顔をした友人の話に戻ろう。なぜ彼はつまらない顔をしたのか。それは着実に前進したと充実感に溢れた僕に対して、拡散性の高い彼は、「今日は1日なにも前進しなかった、だって何も始まっていないのだから」と思っていたのだ。彼はやろうと思ったその日のうちに少なくとも体験レッスンでもやらないと進んだという充実感は得られないのだろう。

前進の定義が違う。実に面白い示唆だ。

この前進の定義は先天的な資質から作られたものなので、お互い前進の定義を疑うことはない。

こうしてすれ違いが起きる。友人関係ならまだいい。でも会社組織だったらどうだろう。先輩後輩、上司部下の間で、すれ違いが発生し続けたらどうだろう。ぎこちない、苦しいコミュニケーションが続く。でもその理由はなぜかわからない。

所詮人間は分かり合えないのか。いや、そんなことはない。

そのヒントがFFS理論にある。

この本で得られる気づきは大きい。「自分の当たり前は人の当たり前ではない」という頭では当たり前にわかっているのだが、実生活では当たり前のようになかったことにされる事実に大いに気づくことができる。

FFS理論のこと、保全性や拡散性のそれぞれの得手不得手、お互いの接し方などは、ぜひ本書を読んでほしい。

保全性寄りのあなたなら共感してくれるであろうことがひとつある。「拡散性の高い人のほうが、果敢で行動力があって成功しやすそう。かっこいい。そうなりたい。」(決して拡散性が成功しやすいわけではないのだが)

僕は、おりにふれてそう思う。

成功者の定義はおいておいて、成功者はよくいう「行動あるのみ」だと。

『インベスターZ』という漫画の中で、こんなセリフがある。「美人の隣に座れるのは美人に告白した男だけだ」

告白して、相手にされなかったら別の美人にアタックすればいいんだよ。大事なことは行動だけ…恋い焦がれて思い悩むことになんの価値もない。そんなヤツは一生美人と恋愛できない。考えるだけではなにも生まれない。行動だけに価値がある

行動は大事だし、行動しなければなにも生まれない。100%同意だ。

だからこそ、われわれ保全性組は拡散性組に憧れている。でも、拡散性組のみなさんは保全性組なんかに憧れてないのでしょうね、きっと。

この本は拡散性組の方にこそ読んでいただきたい。我々がどんな人種で、何を考えているのか。知ってほしい。

「早くやってみればいいじゃん」ってあきれ顔でこっちをみないでいただきたい。進め方が違うんだよ。

「やる気ないの?」って心配にならないでいただきたい。あるよやる気は。やる気があるから確実に仕留めたいと思ってんです。

本書の冒頭に自己理解ついて、こんな一節がある

自己理解は人生の基盤だ

成功者には共通点がある。それは「自分の特性を理解し、強みを活かし、弱みは補完している」ということ。逆に言うと、成功者の個性に何か共通した特徴があるわけではない。知識や経験は豊富なのに「悩み苦しむ人」もいる。その原因を探っていくと、結局のところ、自己理解が不十分か、もしくは間違った自己理解に行きつきます。「自分はこうありたい」という強い憧れから自分自身を偽り、自分の個性に合わないやり方や行動パターンを自らに強いているケースはよく見られます。つまり、「自己理解」は人生を成功に導くための基盤であり、活き活きとキャリアを伸ばしていくための指針ともいえるのです。

様々なビジネス書を読み、他人の成功譚を聞き、それを真似たりする。それで迷走してしまうのは、自分と全く違う特性の人の成功例を試そうとする時だ。自分だったら、どのように成功するかのイメージがないまま、他人の成功例を真似ると失敗する。

自己理解、自己認識の大切さをこんなに短く上手にまとめた一節を知らない。

人間それぞれ、どうしても向いていないことがある。

合わないことを頑張る必要はない。拡散組から学ぶことは素晴らしいことだ。でも無理して拡散組に入ろうとするのはやめよう。どうせ打ちひしがれるだけだよ。適材適所で掛け算の力を生むのがチームだ。

自分にとって異質性は猛獣だ。自分が猛獣になる必要はない。拡散性という猛獣を横に、猛獣使いになればいいのだ。

風呂敷を広げるやつがいれば、畳むやつが要るんだ。

お互いのことを知り合っているチームより、全員が自己理解できているチームのほうがビルディングされるのかもしれない。

ああ、宇宙兄弟を大人買いして、手元に置いておきたいな。

「グーみたいな奴がいて、チョキみたいな奴もいて、パーみたいな奴もいる。誰が一番強いか、答えを知っている奴、いるか?」(『宇宙兄弟』より)

おっしゃるとおりです。

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