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ちょきんぶた

ぼくのおばあちゃんはお金をためるのがとても上手。
キラキラしていて、チャリチャリいい音のするおばあちゃんのちょきんぶた。お金はとても大切だとおばあちゃんはいう。
大人になるまでにたくさんためておくと、しょうらい、けっこんしたら、およめさんを幸せにできるらしい。
おばあちゃんは今年のぼくの誕生日に4匹のちょきんぶたをくれた。
ちょきんぶたたちはぼくのつくえにはいる。
お金がたまればたまるほど、ぼくはなんでもできそうな気がしてくるんだ。

「シンジ、マッサージお願いできる?」
夕方、ゲートボール帰ってきたおばあちゃんは背中が痛いみたいで、よくぼくにマッサージの仕事を依頼する。
「ご指名ありがとうございます。100円になります。」
ぼくは張り切って引き受ける。
おばあちゃんも元気になってお金ももらえるなんてなんてぼくに向いている仕事だろう。

ぼくはマッサージ後もらったお金はもちろんちょきんぶたに入れる。
「やった〜ヒヤッホーイ。貯金しよう!!よし、ピンクよろしく!」
ピンクは1度お金を口にしたが、はきだした。
「嫌だね」
「どうして?」
「重たいから」
「重たいっていってもそれが君の仕事じゃないか」
「ぼくは好きでこの仕事をしているわけじゃない。向いているからこの仕事をしているだけさ」
「だったら、かんたんなことだろう。仕事してよ。」
「イヤだよ。君はいつもためてばかり、使いやしない。ためていっぱいになったらぼくの仕事はなくなってしまうだろう。わられてしまうだろう。たくさんたまめるということが必ずしもいいことではないんだよ。」
ぼくはピンクのいうことはよく分からなかったけれど、ほかのちょきんぶたにたのむことにした。

「ねぇねぇブルー。このお金入れさせてよ。」
ぼくはちょきんぶたのブルーにちょきんをお願いした。
「ピンクのあとにおれにきたっていうのか。いいごみぶんだな。」
「なんだよ。だれにたのんできたか、じゅんばんがそんなに大事なの?」
「もちろんさ。おかねはだれからだれにわたってきたかが、じゅうようなのさ。」
お金に順番なんてあるのかよく分からなかったけれど、いつもちょきんしていたピンクにことわられたぼくはどうしてもほかのちょきんぶたにちょきんをしてもらわないとこまる。
「だれももらってくれないから、きみだけがたよりなんだよ。たのむよ。」
「もうしわけないけれど、これはゆずれないんだ。どうやって育ったお金なのかがじゅうようなんだ。好きなお金しか入れたくないいだ。ほかをあたってくれ。」
「・・・がんこもの」
「がんこものでけっこう。」
ブルーはあいかわらず動じることもなく机に座ったままだ。お金に好きか嫌いかなんてあるのか、ぼくには分からないけれど、ぼくはしょうがなく自分のポケットにお金を入れておくことにした。

そうしていると、お父さんがいもうとと遊んでいて、いもうとのおかしをかうついでにぼくに500円のおこづかいをくれた。
「やった〜ヒヤッホーイ。貯金しよう!!」
ぼくはさっきのちょきんぶたとはちがうほかのちょきんぶたのキイロにお金をあずけることにした。
「ねえねえ、キイロ。お金だよ。500円だよ」
「すごい。うまい棒が50本買えるじゃないか!!けれど、かくにんさせてくれ。そのお金はくさってないかい?」
「お金はくさらないよ。しょうみきげんもないよ。」
ぼくはキイロの言っていることがまったく分からなかった。キイロはまじまじとそのお金をみている。
「だめだそのお金は。もっぱら食べられない。かんべんしてくれ。ゆるしてくれシンジ。」
「…こちらこそなんかごめん。他のぶたにたのんでみるよ。」
ぶたたちの好ききらいのはげしさにうんざりしながら、
キイロに断られてしまったので、またしょうがなくぼくはポケットにおかねを入れておくことにした。

夕方が近づきだんだんおなかがへってきたときお母さんの声がした。
「シンジー。こんにゃく、たまご、だいこんを買ってきてくれない?」
ぼくはお使い用に1000円もらった。
「わー1000円だ。」
ポケットのお金をあわせるとふだん持ちあるかないきんがくだ。ぼくは不安になったのでそのお金をさっきの2匹とはべつのちょきんぶたの「アカ」に手ものちのお金をあずけることにした。

「まいどあり」アカはよろこんでお金をたくわえた。
「よかった。ちょきんぶたはそうでなくっちゃ。」
ぼくはアカと買い物に出かけた。安心とおかねがたまったことのよろこびであしのりはかるい。
スーパーについて、こんにゃく、たまご、だいこん、お母さんからたのまれたものをあつめレジにならんだ。おかねを用意しないと。
「アカ、1000円をお願い」
「わかりました。1000円をひきだします。そのとき、わたしは200円いただきます。」
「え!そんなぁ。」
200円はぼくのマッサージのしごとの2倍のお金だ。ぼくはあせった。けれど、かいものをしないといけないので、イヤだけどしかたなく200円アカにわたした。
「ぼくのしごとなので悪くおもわないでくださいよ。」
ぼくははアカにおかねをあずけたことをこうかいした。

「ただいまー。」家に帰り、ぼくとアカはさけんだ。
そしてお母さんにたのまれたものをわたす。
「ありがとう。こんばんはこれですてきなものがつくれるわ〜」
おかあさんはとてもよろこんでくれた。よろこんでくれたのだからこれはしごとだ。おつりのお金はぼくのものだ。ぼくはさっきアカにとられた200円とこれから残りのお金を引き出す200円をかんがえ、どうしてもおつりがほしかった。
「おつりは?」
しかし、おつりは手に入らなかった。

ぼくはお金のことを考えるとむなしくてかなしくて、なきたくて、おなかのなかがどんどん熱くなって、その熱さが頭までのぼってきた。
「ちぇ。ケチ。ケチ。ケチ。おかあさんもちょきんぶたもみんなケチだ。お金なんてきえてしまえばいい。


「シンジー。ぶたー。ごはんよー」
ぶたはうれしそうに、声のする方にごはんをもらいに行きます。
その様子をみて、シンジはなんだかくやしいし、ムカムカするし、悲しいけれど、おいしそうなごはんのにおいを嗅いでいたらどうしようもなくなって、ごはんをもりもりと食べました。

「ぼくたちの世界には、お金なんて初めからないのさ」
気がついたら、ケンタくんの周りにはたくさんのぶたがうれしそうにごはんを食べていました。
「どうして、お金は食べないのにごはんを食べるんだよ」
そうすると4匹は声を合わせて話しました。
「だって腐ってないもの」


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Ver.02

書き直しました。もうすこしよくなりそうなので、もうすこし時間をかけて作り直します

Ver.01↓

https://note.com/gohannmentai/n/n4fee218aecc4

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