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ぼくのお金どこ行った

ある日、ぶたのちょきんばこがしゃべるようになった。
今やぶたたちは、ぼくの家族の一員で4匹のぶたとくらしている。

ぼくのおばあちゃんはお金をためるのがとても上手。キラキラしていて、チャリチャリいい音のするおばあちゃんのちょきんぶた。おばあちゃんのマネをして、お金をもらうごとにちょきんぶたにしまっている。お金はとても大切だとおばあちゃんにおしえてもらった。大人になるまでにたくさんためておくと、しょうらい、けっこんしたら、およめさんを幸せにできるらしい。おばあちゃんは毎年、ちょきんぶたをプレゼントしてくれる。今や4匹のちょきんぶたがぼくのつくえにはいて、お金がたまればたまるほど、なんでもできそうな気がしてくるんだ。

「やった〜ヒヤッホーイ。お小遣いだ!貯金しよう!!よし、ぶたよろしく!」
「嫌だね」
「どうして?」
「重たいから」
「重たいっていってもそれが君の仕事じゃないか」
「ぼくは好きでこの仕事をしているわけじゃない。向いているからこの仕事をしているだけさ」
「だったら、かんたんなことだろう。仕事してよ。」
「イヤだよ。重いだろ。だから、おなかにいれるお金はえらびたいんだ。好きなもので満たしたいんだ。もう今、使っちゃえよ。」
「ケチ。ケチ。ケチ。ケチ。他のぶたにたのんでやる。おなかが空いても知らないよ。」
わがままでなまぐさのぶたの態度にケンタくんは少し怒ってしまいました。

「(よし、次はあのぶたにしよう)ねえねえ、ぶた。お金だよ。」
「触らないで。だれからもらったの?」
「運がよくて、おじちゃんが小遣いとしてくれたんだ。いいでしょ。だれからもらったなんて、かんけいあるの?」
「おじさんのお金はいらない。他のぶたにあげたら?」
「変なぶた。もういいよ。」
ケンタくんはぶたにエサをあげたいだけなのに、ぶたにきょひをされてしまって悲しそうです。

「ねえねえ、ぶた。お金をちょ金したい」
「そのお金はどうしてもらったのですか?」
「え。なんかくれた。いいでしょ。なんのためにもらったなんて、かんけいあるの?」
「もちろんです。どうやって生まれたお金なのかがじゅうようなのです。ちなみにそのお金はわたしのおなかには入れたくありません。」
「変なぶた。もういいよ。ちがうぶたにたのむんだ。」
「ごめんなさいね。」
ぶたはとても気の毒そうにあやまりました。

「ねぇねぇぶた。このお金入れさせてよ。」
「たらいまわしにされておれにきたっていうのか。いいごみぶんだな。」
「なんだよ。だれにたのんできたか、じゅんばんがそんなに大事なの?」
「もちろんさ。だれからだれにわたってきたかが、じゅうようなのさ。」
「だれももらってくれないから、きみだけがたよりなんだよ。たのむよ。」
「もうしわけないけれど、これはゆずれないんだ。ほかをあたってくれ。」
「・・・がんこもの」
「がんこものでけっこう。」
ぶたはあいかわらず動じることもなく、ケンタくんの机に座っています。

「ちょきんぶたのはずなのに、どうしてうちのぶたはみんなお金を貯めたがらないんだろう。」
「おいおい、ケンタ。ぼくがそのお金もらってあげようか。」
「うん!たのむよ。」
「よし分かった。けれど、かくにんさせてくれ。そのお金はくさってないかい?」
「お金はくさらないよ。しょうみきげんもないよ。」
「だめだそのお金は。もっぱら食べられない。かんべんしてくれ。ゆるしてくれケンタ。」
「…こちらこそなんかごめん(くさるお金なんてあるんだろうか…。)他のぶたにたのんでみるよ。」
ぶたたちの好ききらいのはげしさにうんざりしながら、ケンタはさいごのぶたにちょきんをそうだんしてみます。

「すみません。このお金入れさせてください。ぼくはただお金をためたいだけなんです。」
「・・・」
「どうか。お願いします!!」
「そのお金を入れるだけ入れたら、ぼくをたたきわるつもりなんだろう。きみのはらのなかはみえている。」
「そんな!ぼくは貯めることが好きだから、きみを叩き割るつもりはないよ。大事に大事にきみのおなかをいっぱいにしたら、かざってながめるつもりなんだ。」
「そういって、隣の家の子はお金がいっぱいたまったからと言って、隣のぶたをこわしてた。あーこわい。こわい。割れるのはいやだよ。あーこわい。こわい。」
「ぼくは割るもんか」
「じゃぁ、割らない約束してくれるかい。」
「もちろん」
「ここにサインして。はい。お金入れていいよ。」
「ぶた、ほんとうにありがとう。」
「こちらこそ、ありがとう。これでぼくのおなかはぼくのものさ。」
そういって、ぶたは外にさんぽに出ていってしまいました。
「ぼくのお金どこいった?」
周りのぶたは気の毒そうにケンタくんをみつめています。

「ケンター。ぶたー。ごはんよー」
ぶたはうれしそうに、声のする方にごはんをもらいに行きます。
その様子をみて、ケンタはなんだかくやしいし、ムカムカするし、悲しいけれど、おいしそうなごはんのにおいを嗅いでいたらどうしようもなくなって、ごはんをもりもりと食べました。

「ぼくたちの世界には、お金なんて初めからないのさ」
気がついたら、ケンタくんの周りにはたくさんのぶたがうれしそうにごはんを食べていました。


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Ver.01

企画を膨らませる
・もしも、ブタの貯金箱が断捨離好きだったら
魅力
・ぶたがかわいい
・お金が置物としてきれい
・ブロックチェーンのルールを取り入れる


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