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【往復書簡エッセイ No.13】プレ介護の現在地・父親編(その1)

レラちゃん、こんにちは!

調整役、お疲れさまです。日常には想定外がたくさんあるものだけど、見事にさばいていて素晴らしい!

今回はエッセイというよりは、自分のための備忘録です。最近時間を使うことが増えた、父の健康状態にまつわること。オチのない話ですが、現状を書き留めてみました。


プレ介護の現在地・父親編

高齢になると不具合がどんどん増えていく。そんなことは当たり前、誰もが知っている、と思っていた。しかし実際に自分の親が弱っていくのを目の当たりにすると、知識と体験は別物なのだと実感する。

乱暴に言ってしまえば、老人とは調子の悪い箇所をいくつも抱えている人々である。砂浜の砂を手ですくうと指の間からサラサラこぼれ落ちていくように、持っていたものを失っていく。もちろん個人差があり、健康体から介護必須まで、一人一人の状況はさまざまだろう。

最近、父の不具合が2か所から3か所に増えた。備忘録として現時点のことを記しておきたいと思う。

元からの不具合は、顎骨骨髄炎と軽度認知障害(MCI)。そこに腰椎と胸椎の圧迫骨折が加わった。

私がプレ介護に関わるキッカケとなったのは、父の顎骨骨髄炎だった。コロナ禍の2020年末、両親ともに80歳になる直前のこと。薬害が原因で一部の顎骨が壊死していて、切除せざるを得なかった。必然的にその上に生えている歯も失った。

一連の検査や手術の過程で父と話していて、しばしば会話のつじつまが合わないことがあった。もしかして認知症なのでは? と気にしつつもすぐに受診には至らなかった。母が「年を取っていれば、多少思い出せなくても普通だ」と取り合わなかったことも影響した。

一年後にようやく物忘れ外来に連れて行き、認知症の手前のグレーゾーン、軽度認知障害と診断された。

この時点で父は介護認定申請をして要支援となり、週1回のデイケア利用を始めた。活動の内容は、軽い運動とゲーム・クイズの組み合わせ。ときどきズル休み(?)をしながらも(基本的には行くのが面倒くさいらしい笑)一年ほど順調に通っていた。

ただ残念なことに、少しずつ認知機能の弱体化は進行しているようで、母ですら「やっぱり変だね」と認めるようになった。ややこしいのは、問題なく処理できるときと怪しいときが、まだら模様で混在している点だ。父自身にも「最近、色々なことを忘れちゃって……」と自覚があり、なんとも切ない。

そんななか、4月下旬に父が腰と背中が痛いと騒ぎ出し、数少ない活動を全部止めてしまった。デイケアの通所、ほぼ唯一の趣味となっていた家庭菜園、そして顎骨骨髄炎の治療のための口腔外科通院も。痛みの原因は腰椎と胸椎の圧迫骨折だった。現在治療中で小康を得ている。

当初、両親だけで対処しようとしていたが、最初に適切な診療科に行かず余分な時間がかかったりして(なぜ? と責めたくなったが)さまざまな面で二人に任せるのは限界があると分かった。今は私が通院の付き添いをしている。ここにきて、プレ介護への関わり方のギアが一段階上がったように思う。

高齢者の不調の範囲というのは、こんなふうにじわじわと広がっていくのだろう。腰痛は治療の目処がついたことだし、そろそろ父を説得して、止まったままの口腔外科受診やデイケアを再開せねば……。

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