(連載9)祖母にも好感をあたえたエア・メイル:ロサンゼルス在住アーティストの回顧録:1980年代後半
前回は、ロサンゼルスで、「パブリック・アクセス」という、YouTubeみたいな素人番組に出演、、、、
4大ネットワークじゃないにしろ、一応、自分の顔がテレビのブラウン管に!!
私は「なかなか、いい思い出ができたな〜」と。大満足で日本に帰りました。
その頃、私は大田区の祖母の家に住んでいて、空いていた二階を使わせてもらってました。祖父母は、その昔、下宿屋をやっていたので、日本間の4畳半が7室あり、それぞれの部屋に小さい台所のシンクが付いていました。今風に言えば、ワンルームのシェアハウスですねー。笑
私は、そこを占拠してミシン部屋、寝室、材料部屋と、贅沢に使わせてもらってました。日本家屋なので、雨戸の開閉がかなり大変でしたけども。。。
で、ここに、、、です。。。。。
ある日、祖母が「お手紙がきてたわよ。」と、一通の白い封筒を渡されました。
それは、エアメイルで、あの、前回お話した、トッシュからでした。(詳しくは前回を是非!)
あ。。。。と思って、封を開けたら、まるで、ミミズは這っているようなハンド・ライティング。。。どうにかして読んでみたら、簡単な挨拶とロサンゼルスの自分のたわいもない日常の出来事が書いてありました。
ふーん。。。。て思った。
そして、次の日。。。
祖母が「また、お手紙が、来てましたよ。」と。
同じ「ミミズのハンド・ライティング」の封筒を渡されました。
そして、また次の日。。。。「また、お手紙が来てたのよ〜」
その次の日。。。。「今日も、お手紙よー。」
そして次の日。。。。「なんだか、また同じ方からみたいよー」
その次の日。。。。「本日も、オッ・テッ・ガッ・ミッ!!」
そして、ついに、「毎日、お手紙がくるけど、この方、どなた????」
と、なりました。。。。。
当然ですよね。毎日ですからね。
それで私は、「実は、こうこうで、ロサンジェルスでテレビに誘ってくれた人で、まあ、悪い人ではないみたいなんですけども、知り合ってすぐなのに『君と結婚したい、、』なんて言われたんですよ。」と、言って「この人ですなんですけど。。。」と、写真を見せました。
そしたら、祖母は
「あら〜〜、まあ〜〜〜〜素敵な方じゃない?」
と、言いました。
私は、なんて反応していいのか、迷って「はあ〜、そうですね。」ってな具合いの、その場的な反応をしました。
トッシュの手紙の内容は、別にベタなラブレターではありませんでした。
字がミミズだったので、100%わかってたかどうかは、わかりませんが、ある時は彼の日常、ある時は、天候、ときには、大きいハートのマークだけ。時には、私には理解できないヨーロッパの有名な作家の詩、時には自分がお風呂に入っているとこの、へたくそな絵に、吹き出しで「いつ君がまた、こちらに来るのかなぁ〜?」って書いてあったりとか。などなど、毎回、どうでもいいような内容でしたが、なんかかわいくて、面白かった。
ともかくその封筒は、毎日、毎日、届きました。
で、一ヶ月以上経って、つまり30通くらい届いたあたりで、
祖母は、自分の孫にこんなにせっせと手紙をよこすなんて、「誠実な人に違いない!!」と思い込みました。ロマンチックで、余程、孫を愛していて、それゆえに、結婚したいに違いない!!と。
祖母の時代は、やはり「手紙というものの重要度」が絶大ですからね!昭和の文豪をお読みください。手紙というツールは恋愛にはかかせません!
そうこうしてるうちに、なんだかんだで、九州の実家の母にもこの事が知れわたったので、電話で詳しくこの事態を説明したら、母は、
「もう、すぐ、その人と結婚しなさい!」と言いました。
母から、「こうしなさい」と言われたのは、私の人生で、これがはじめてでした。小さい頃から、勉強しろと言われた事もなかったし、学校も全て自分できめて、母はなんでもオッケーでした。で、思ったんです。今まで何も言わなかったけど、実は母は私に結婚してほしかったんだなーって。
つまり30歳も過ぎて独身、しかも「ルンナ」なんていう名前を自分でつけて、よくわからない事をはじめて、変な服を着て、外国へいったりきたりしてる。。。。これで、大丈夫か?? と思っていたに違いないです。
母は、「もうすぐ結婚しなさい。ともかく子供でもさっさと作ってしまいなさい。逃げられないうちに!」とも、いいました。
これには、さすがの私もビックりですよ。できちゃった婚を狙ってる? こんな事を言う母親なんて、今でも、おりますかね???
つまり母はそんだけ、私の結婚に対して絶望的!!だったのでありましょう。
一方、私も、、言わせてもらえれば、。。。ですよ。
私のそれまでお付き合いしたの「ボーイフレンず」というものは、「自分から、まず一歩!」これが鉄則でした。
コレ、アタシ的には当たり前ですよ!!
ともかく自分が気に入ったと思ったら、自分から、アタック。っていうか。今から考えたら、「相手から」っていうのが、あまりなかったんで、なのかも、、しれません。。。汗
ま、ともかく、「相手の方から積極的」というケースには、今までなかったので、私としては、経験値がゼロ。どう対処したらいいのか、わかりませんでした。
それで、この時点でのトッシュに関しての情報を、思い出しながら、つなぎ合わせてみた。
年齢は私より2つ上
同世代なので、話は、ある程度は、合うだろう。
ロサンゼルス生まれて、ハリウッドに住んでいる
まあ、都会感覚の人だろう。
父親は、もう亡くなっている、ウァラス・バーマンというアーティスト。アンディ・ウォーホールとかも知り合いだった。
そういう親だったら、おそらく、クリエイティブな環境で育った人だろう。
兄弟はいなくて、ひとりっこ!
さぞかし、大切に育てられたんだろう。
私が会ったときは、いつもボウタイにスーツ
着るものにこだわりのある人に違いない
先月まで、ホリデーで、ヨーロッパに1ヶ月くらいかけて、旅行してた
どう間違っても、「ど貧乏」ではないだろう
サンセット・ブルバードにある、ブック・スープという本屋で働いてる
本が好きな人で、おそらく、ちゃんと仕事をしている人だろう
まあ、こんくらい。。。。
そして、どうも。。。
この私の事が本気で好きらしい。。。。。
この時点で手紙は40通を超えていたんで。。。。冷静に考えても、この時点で、「しょーもない人物だったら、とっくにバレてるだろう」とも思いました。
これで、どうよ?
ま、十分じゃない?
ダメだったら、ダメで離婚すればええやん?
祖母も母も超オシオシだし、このトッシュという人物。
お見合い写真判断状態。。。
ま。結婚してみようか?
親孝行だと思って。。。。
そして、じゃーーーん。
あっという間に。
そして、私の性質上、決まったら、もーーーーー即行動です。
自分の周りにあるもの、全てを処分した。
作品以外、ほとんど、捨てた。。。。。
そして、ロサンゼルス行きのチケッットを買いました。
飛行機にのり、空港から直行で、トッシュの働いているブック・スープに行き、
「アタシ、戻ってきたわ!! アイム・バぁ〜ック!!」
と、本屋で叫んだ。。。
次回に続く。。。。。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?