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がんのリスクを減らすナッツ

 脂肪分が多いにもかかわらず、ナッツ類が健康的な食生活に適していることは以前から知られています。ナッツに含まれるような健康的な脂肪は、脳と心臓の機能に不可欠であり、栄養の吸収率も向上させます。

 さらに、『Nutrients』誌の新しい総説によると、ナッツ類の摂取量の増加は、結腸がん、肺がん、膵臓がんのリスク低減と関連していることがわかったのです。カリフォルニア大学デイビス校による別の研究では、特にクルミが前立腺がんや乳がんの発生率を高めると考えられているホルモンレベルを下げる働きがあることを示す、以前の研究結果を裏付けるさらなる証拠が示されています。
 
●ドライフルーツとナッツのがん予防効果
 上記の総説では、ドライフルーツとナッツの潜在的ながん予防効果について掘り下げ、その豊富な栄養素と植物化学的含有量に焦点を当てています。

 ドライフルーツががんに及ぼす影響に関する証拠は限られていますが、研究によれば、ドライフルーツの摂取は、特定のがんの発症リスクの低下と相関関係がある可能性が示唆されています。 一方、ナッツ類はより具体的ながん予防効果があるようです。 毎日約28gのナッツを食べるだけで、がんの死亡率が大幅に低下する可能性があります。
 
●がんに有効なクルミ
別の研究の主任研究者は『ジャーナル・オブ・メディシナル・フード』誌に、「クルミの効能に注目した研究によれば、クルミそのものとクルミ油が、過剰なコレステロールを減らし、インスリン感受性を高めるだけでなく、前立腺がんやその他の悪性腫瘍に関係するIGF-1というホルモンのレベルを低下させることを示している。」と書いています。

 クルミの心臓への効用を長年研究してきたデイビス校は、ナッツ類が示す高い脂肪分が前立腺がんの増殖に寄与することはないと述べています。それどころか、クルミは全く逆の影響を与えるといいます。

しかし、オメガ3が単独で作用してがんリスクを低減するのではなく、クルミ油を構成する他の物質と組み合わさって脂肪が作用するのです。

●がんのリスクを減らすクルミ
 IGF-1のレベルが低下することで、がんが急速に成長するのを抑えることができると考えられています。さらに、コレステロールが多すぎるとがん細胞の増殖を促進するため、過剰なコレステロールを避けることもがんのリスクを減らすことになります。 なお、コレステロール値が低すぎることも、がんリスクの上昇につながります。
 
 ナッツ類は適量を摂取すれば、心臓に良い影響を与えることが古くから知られています。過去の研究では、ナッツは心臓病やその他多くの健康問題の根本的な原因として知られている炎症を抑えることができることが示されています。この炎症の軽減は、血管を必要に応じて拡張させ、不健康な血圧上昇を減少させます。
 
 しかし、心臓の健康だけでなく、炎症が多くのがんの成長にも関与していることが知られています。デイビス校によれば、クルミはエンドセリンと呼ばれるタンパク質の産生を阻害すると考えられており、このタンパク質は血圧のコントロールと前立腺の成長調節の両方に関係しているといいます。

●2型糖尿病はがんのリスクを高める
 マギル大学腫瘍学部の教授であり、がん予防研究ユニットの責任者であるマイケル・ポラック医学博士は、「高インスリンレベルを伴う2型糖尿病が、がんリスクに関連する最大の問題である。」と述べています。つまり、糖尿病予備軍はがんのリスクが高いということです。

 アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によると、アメリカ人の約38%が糖尿病予備軍です。不健康な加工油脂やトランス脂肪酸の摂取は、メタボリックシンドローム、糖尿病、肥満、そして多くのがんを引き起こす可能性があります。慢性病を避けるためには、自然由来のオーガニック食品を食べることが重要であることは周知の事実です。すべての脂肪が同じように作られ、避ける必要があると、いうことは事実ではありません。
 
 100%牧草飼育の牛肉、放牧飼育の卵、ココナッツオイル、アボカド、クルミなどの適度な量の脂肪と、玄米や雑穀のような全粒穀物からとれる健康的な複合炭水化物は、がんやその他多くの変性疾患の予防に大いに役立ちます。

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