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幼児期の魚の摂取が神経発達の遅れを防ぐ

 今日のデジタル時代において、神経発達、特にニューロダイバージェンス(神経多様性)をめぐる話題はますます広まっています。
 このような話しの広まりは、すべての脳は標準的な軌跡に沿って発達するという従来の理解に疑問を投げかけるものです。 むしろ、神経発達の範囲は変化に富んでおり、遺伝、環境、そしてとりわけ食生活を含む無数の要因によって、各個人の歩みが形作られているのです。

 ペンシルベニア州立医科大学が最近実施し、『Microorganisms』誌で大きく取り上げられた詳細な研究は、幼児期の栄養が神経発達の結果に与える重大な影響について掘り下げています。この研究によって、ある有力な仮説が明らかになりました。すなわち、形成期に特定の食事を選択することによって、認知機能の成長が促進されたり阻害されたりする可能性があり、個人の学習ペースや神経学的健康全般に影響を及ぼす可能性があるというものです。
 この発見は、早期栄養に対する私たちのアプローチの重要な再評価を促すものです。 では本当に特定の食事パターンと神経発達遅延の発生率との間に直接的な相関関係があるのでしょうか?
 
●脳の発達に影響する幼少期の食事
 科学者たちは、神経発達は一部が自然、一部が成長であると主張しています。 遺伝は変えられませんが、神経発達は環境変数に影響され神経発達には栄養が特に重要となってきます。
 142人の乳児を対象としたある縦断的コホート研究では、微生物の活動が成長期の幼児の脳に与える栄養の影響を変えるという仮説を検証しました。科学者たちは唾液中のマイクロバイオーム活性を測定し、栄養が脳の発達に与える影響をどのように調節するかを調べたのです。

 ペンシルベニア州立大学の科学者たちは、6ヶ月時点の唾液中のマイクロバイオームの作用を測定するためにRNA配列決定を実施しました。乳児の栄養摂取については、乳児の授乳に関する情報を集めた調査票を用いて縦断的分析(一定期間にわたる変数の評価)を行いました。

●幼少期の魚の摂取が神経発達をどのように形成するか
 この研究は幼児期の食生活、特に魚の摂取が脳の発達に大きな影響を与えることを強調しています。 この研究は社会的・環境的要因を考慮した場合でも、魚の摂取と神経発達遅延の減少との間に一貫した関連があることを強調しています。
 ペンシルベニア州立大学小児科のTerrah Keck-Kester(テラー・ケック・ケスター)助教授は、遺伝的要因のほかに、魚を食べるような食習慣などの環境的・社会的要素が神経発達の転帰に大きな影響を与える可能性があると述べています。
 ペンシルベニア州立大学の研究者たちは、魚の摂取が脳の成長にもたらす効果を高める上で、微生物の多様性が重要であることを明らかにしています。 興味深いことに、6ヵ月後の唾液中の微生物活性のような初期の指標でさえ、神経発達の軌跡を予測することができたのです。
 つまり、この研究では幼児の食事に魚を早期に導入し一貫して取り入れることで、神経発達の遅れに対して保護的な効果が得られる可能性があり、子供のマイクロバイオームがそれをサポートする役割を果たしていることが確認できたのです。
 
●離乳食に魚を取り入れる
 離乳食の世界は、親にとって興奮と責任の入り混じった世界です。 栄養価が高く、おいしい離乳食を提供しようとするとき、魚は有力な食材として浮上してきます。 しかし、魚を離乳食に取り入れるには、スムーズな移行を確実にするために入念な準備と独創的なアプローチが必要です。親にとっても赤ちゃんにとっても楽しい食になるように、小さなお子さんの食事にこの食材を取り入れる工夫をいくつかご紹介しましょう。

魚のピューレ:タラのようなマイルドな魚を蒸し、母乳やミルクと混ぜます。
自家製フィッシュスティック:パン粉をつけて黄金色になるまで焼くと、おいしいフィンガーフードになります。
フィッシュケーキ:天然魚と有機マッシュポテト、野菜を合わせて小さなパテにし、軽く焼きます。
魚と野菜のブレンド:蒸した魚にやわらかく煮た野菜を混ぜると、栄養たっぷりのピューレになります。
 
魚は必ず天然ものを選び、よく火を通して骨を取り除いてください。 

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