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腰痛について(パート4)

●自分でできる予防および改善方法
 腰痛の予防や改善には体幹を鍛えることが有効です。
 
体幹の重要性
 体幹とは簡単に言えば、体の中心、つまり胴体のことを言います。体幹には多くの内臓があるため、体幹の骨は内臓を収めるための枠組みとなります。
 体幹は後側にある脊柱、前側にある胸骨と肋骨、そして底部にある骨盤で構成されています。
 では、なぜ腰を守るために体幹が重要なのでしょうか?それは体幹が強くなると脊柱の支持力が高まり、圧迫に対して強くなるためです。
 
重要な「体幹ボックス」筋群
 脊柱を安定させる体幹のボックスを構成するのは、骨盤底筋群、腹筋群、多裂筋群、そして横隔膜です。「体幹ボックス」を構成するこれら4つの筋群は、腹腔内圧を高める際には1つのユニットとして機能します。このことは「体幹ボックス」が呼吸筋としての役割に加え、正しい姿勢を維持する役割も担っていることを意味しています。
 
体幹を鍛えるトレーニング
 サイドプランク、サイドランジ、バランスボールを使ったプランク、
オーバーヘッドスクワット

 呼吸も非常に重要
 呼吸が正常に行えなければ、身体の全ての動きは正常でなくなります。吸気時、横隔膜は求心性収縮(筋の長さが短縮しながら収縮する運動)し、下がって平らになります。すると、腹筋群、骨盤底筋群、多裂筋には圧力がかかります。つまり遠心性収縮(筋の長さが伸張しながら収縮する運動)をすることになり、これによって腹腔内圧が高まるのです。
 
 腰痛に限らず、呼吸の浅い人は肩こり、視力、自律神経に何らかの問題を抱えている場合が多いので、普段からしっかり吐き切る呼吸を意識すると良いでしょう。しっかり吐き切れば、吸気は意識しなくても自然と入ってきます。
 
●お尻の筋肉と大腰筋も腰痛の予防・改善に有効
  腰痛に大きく関係する筋肉として、お尻の筋肉と大腰筋も重要な部位です。
 
●お尻の筋肉について
 お尻の筋肉は「大臀筋、中殿筋、小殿筋」で構成されています。大臀筋は歩行や立ち上がる動作などに使われます。特に片脚で立つときに大きく貢献します。中臀筋は直立時に骨盤を支えます。歩行中などに片脚が浮いたとき、骨盤が落ちないように維持する働きもあります。小殿筋も中臀筋とともに、片脚が浮いたときなどに骨盤が落ちないよう働きます。さらに股関節周辺の筋肉『股関節外旋筋群』(特に梨状筋)も腰の痛みと関わりがあります。これらのお尻周辺の筋群は「走る」「歩く」「ジャンプする」などの動きの他、「バランスをとる」「姿勢の保持」「股関節の外旋」などの下半身の複雑な動きに対応している大切な筋群です。

●お尻の筋肉をほぐすと腰痛が治る!?
 腰痛でお悩みの人に共通した症状があります。それは「お尻の張り」です。ちょっとした負荷で腰痛が発症する人のお尻は、硬く弾力のない筋肉になっていることが多いのです。特に左右それぞれのお尻の中心あたりが硬くなっている人には慢性的な腰痛が見られます。

●なぜお尻が硬くなると腰痛になるの?
 お尻の筋肉というのは、日常における動作や様々なスポーツにおいて体を支え、腰を守るための重要な筋肉なのです。そして常に脚から来る衝撃を受け止める役割も担っています。
 本来、お尻は柔らかい筋肉です。これは座ったり歩いたりする時にクッションの働きをして腰椎への衝撃を軽減するためです。硬いお尻では様々な衝撃が腰に直接伝わってしまい、腰痛の原因を作り出してしまうのです。
 お尻の筋肉(大臀筋、中臀筋)の柔軟性を維持するためには、ストレッチに加えてマッサージを施すと、より効果的です。
 
●腸腰筋(大腰筋+小腰筋+腸骨筋)について
*小腰筋は半数以下の人にしか存在しない特殊な筋肉
 
 腸腰筋とは骨盤周辺にある大腰筋や腸骨筋の総称です。正しい姿勢の維持や下半身を使った動作(歩くや飛ぶ)に深い関わりのある筋肉です。
 大腰筋は胸椎・腰椎と大腿骨をつないでいます。この大腰筋が萎縮すると腰の反りが激しくなり骨盤が前傾してきます。また逆に弱ってくると大殿筋に引っ張れて骨盤が後傾してきます。
 腸骨筋は骨盤の内側と大腿骨を結ぶ筋肉で、先ほどの大腰筋と同じく萎縮によって骨盤は前傾、弱くなると骨盤は後傾する傾向にあります。
 
 骨盤が後傾すると腰椎(腰の骨)の湾曲が無くなり、身体の重心は後側に移動します。重心が後側に移動すると、バランスを取る為に胸椎が丸まって猫背になってしまいます。
 
腸腰筋は: 
● 股関節を曲げる(大腰筋および腸骨筋)
● 脊柱を安定させる(大腰筋)
という働きがあります。従って歩くときや走るときなど脚をあげるときにも腸腰筋が働きます。そのためランナーなどは脚の筋肉だけでなく腸腰筋の状態もタイムに大きく影響してきます。
腸腰筋の中でも「大腰筋」は、脊柱(背骨)を安定させる働きがあります。
 大腰筋の主な役割は脊柱を安定させる、歩く際に脚を挙げる、といった働きをします。一方、腸骨筋の主な役割は、大腰筋と異なり背骨に付着していない為、純粋に脚を挙げる働きをします。歩く際は、太ももをやや外側に捻る働きもします。この働きは大腰筋も行いますが、腸骨筋の方がやや強いです。
 前述したように腸腰筋の主な働きは脚を挙げる作用です。歩く時に脚が前に出るのは腸腰筋が太ももを引き上げているからです。腸腰筋は「歩く、走る、体を起こす」などの日常生活において、なくてはならない動作を担っています。これらの動作をある程度行っていれば腸腰筋はいい状態に維持され、さらに積極的に歩く、走る、体を起こす、などの動作を行えば腸腰筋を鍛えることができます。 
 
 逆に歩く、走る、体を起こす、などの動作が少なくなると、腸腰筋は衰え、弱体化していきます。その典型的な例が長時間椅子に座り続けている事です。椅子に座っている姿勢は、股関節を曲げて腰を下ろしている形になります。その時、腸腰筋は縮んだ状態で動きが止まっています。それが長時間続けば、縮んだまま硬くなってしまうのです。
 
 ランニング時は、出来るだけストライドを大きく、脚を高く上げるようにしましょう。ジョギングで見られがちな、いわゆるチョコチョコ走りはNGです。
  インターバル走も全力で走ることが求められるので、必然的に脚を高く上げることになり、お薦めです。

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