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発汗に関する科学

 発汗は、多くの人類の発明を支える強力な「動機」として存在しています。エアコンやデオドラントの誕生から、シーツや吸湿発散性生地の人気に至るまで、汗がもたらす課題に対処するために数多くのイノベーションが誕生してきました。簡単に言えば、メーカーは汗をかくという行為に否定的な見方をする傾向があるのです。
 残念ながら、発汗は私たちの体を冷やすという重要な役割を果たすことは知られていますが、その幅広い利点は見過ごされがちです。単に水分を蒸発させて体温を下げるだけでなく、発汗は私たちの健康全般を向上させるさまざまな利点をもたらします。

●汗は重金属や毒素から体を解毒する
 毛穴が広がって汗を出すとき、その機能は体温調節だけにとどまりません。皮膚にはさまざまな有害物質が蓄積され、病原菌や有害化合物にさらされやすくなっています。
 表皮は防護壁として機能し、多くの毒素が体内に侵入するのを防いでくれますが、それでも侵入してしまうものもあります。汗はこれらの毒素の大部分を排出する上で重要な役割を果たしています。 特に、カドミウムのような重金属は血液や尿よりも汗に多く含まれることから汗は重要な排出経路なのです。
 重金属や毒素が組織内に蓄積し、広範かつ永続的な害をもたらすことを考えると、効果的な解毒方法が極めて重要となります。 これは重金属にさらされやすい環境に住んでいる人や働いている人にとっては、特に見逃せないことです。
 
●発汗は免疫機能を改善するのか?
 汗そのものや汗をかく行為が免疫力を高めるわけではありませんが、汗には免疫力を高める側面があります。 汗腺からは抗菌物質が分泌され、皮膚表面の細菌、真菌、ウイルスの増殖を抑制します。 例えば、皮膚炎は軽度の真菌感染によって引き起こされることが多く、汗をかくことでかゆみや皮膚炎の発生を緩和することができるのです。特に運動は実際に免疫力を高める効果があります。運動は血液やリンパ液を動かすのに役立ち、感染症に対応する体の免疫システムを動員するのに貢献します。

●汗を最大限にかく方法
 発汗量を増やす最も簡単な方法のひとつは運動です。 体を動かすことには、心臓血管の強化から免疫機能の向上、精神面の向上、性欲、アンチエイジング効果、長寿、抗がん作用など、数え切れないほどの健康効果があります。 今日からいい汗をかきたい人は、ウォーキングやサイクリング、あるいはピックルボールなどを試してみましょう。 ここで大切なのは、運動をするときは汗をかくのに十分な暖かい服装(重ね着)をすることです。 重ね着をすれば、運動強度はマイルドでも汗をたくさんかくことができます。
 サウナもお薦めです。汗をかくことで血管が柔軟になり、血流が滞ったときに反応しやすくなり、拡張しやすくなるという研究報告もあります。 サウナは認知症やその他の神経変性疾患のリスクを軽減するのに役立つという十分な証拠もあります。
  唐辛子やカイエンペッパーなど、食べ物に辛味を加えるといったことでも、発汗を促し、風味を加え、健康に良い効果をもたらします。
 

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